小さな「熊野古道」の木製看板を見ながら、車止めのある森の中の「琵琶ノ岸懸越えコース」を行くことにしました。資料によると琵琶越えは危険コースのため通行止めとも書かれていましたが、フィックスロープも張ってあり、自己責任と言うことで、無理ならば引き返す事も想定内として進みました。「びわがけまで50m、地蔵堂王子150m」と標識に書いてありました。琵琶ケ岸懸伝説は『昔、琵琶法師が熊野古道を思い立ち琵琶を背に、この谷まで来た時、突風に思わず杖を取られてしまって真っ逆さまに山中川に転落してしまった。法師の亡骸は川底に横たわり愛用の琵琶が途中の崖の木に引っかかっていたという。その後、谷底を流れる水音が「コロン、コロン」と琵琶を奏でるように聞こえるので人々はこの谷を「琵琶ケ岸懸」と呼ぶようになった』と伝えられています。熊野古道の山中川沿いに進むこの道は、きわめて危険で熊野参詣の難所のひとつとも言われていました。今もわずかに一人が通れるくらいの道幅で下は断崖絶壁であり廃道となっています。わずか300mの距離ではありますが、昔、高貴なお方を駕籠に乗せての通過はさぞかし難所であったろうと想像することができました。 |