熊野古道 本宮道 横垣峠 2019.06.07
熊野古道 本宮道 横垣峠
熊野市駅…(タクシー)…神木登山口~横垣峠~坂ノ峠~阪本登山口~高千良…(宿の送迎車両)…瀞流荘
2019年は「紀伊半島の霊場と参詣道」が世界遺産登録15周年の記念の年となります。令和を迎える節目の年に「平成への感謝と新時代への祈り」に出かけることにしました。今回歩き終えると「熊野古道伊勢路ガイドマップスタンプ帳」が完了となります。

「千枚田が最も美しい時期を」と待ち続け観光協会に何度も問い合わせ、やっと「虫おくり」の日程が決定されました。さぁ宿を!となった時、旅行会社が部屋を全て押さえており満室状態でした。「熊野古道を歩いている」と言う事を伝え何度も交渉の結果、やっとの思いで部屋を確保しました。その代わりキャンセルは受け付けないと言う条件付きです。今回ばかりはメンバーに日程調整の打診をする間もなく実施日が決定した次第です。その結果ウッチー会長が公務と重なり「欠席」の回答を貰い、どうしたものかと思案していましたら私の同期の桜(やまたび倶楽部会員)の正ちゃんが定年退職してサンデー毎日になっているとのうわさを聞きつけ「仕事ばかりの人生はつまらない!金はあの世で使えない!」と、詐欺まがいの説得をして、予定通りのキャンセルする事無く出発することができました。
●第1日目 6月7日(金)ドシャ雨
大阪上本町発7時10分のおなじみの電車に乗り松坂駅から参宮線の多気駅、紀勢線に乗り換えて熊野市駅12時43分着の予定です。ところがいくら待っても正ちゃんが来ません。発車まであと2分しかありません。前日に「間に合わない時は特急でくればいいよ」と言ったのが本当になってしまいました。「言うんじゃなかった・・・」正ちゃんを乗せぬまま列車は駅を離れてしまいました。(名張駅で特急から降りてきた正ちゃんと合流)なんともアクシデントの多い正ちゃんです。
▲ちょっと試食 ▲ちょっと撮影 ▲なかよしステーション神木で準備を整えて出発です
熊野市駅からタクシーで横垣峠登山口まで行き、いよいよ峠越えがはじまりました。天候はあいにくの雨ですが気分が高揚しているせいか、さほど苦になりません。「雨もまた自然かぁ」なんて強がりを言いながら出発しました。横垣峠は平成19年7月の大雨による地すべり災害の影響で通行止となっていましたが、林道へ迂回することで通り抜けが可能となりました。
▲神木の集落から横垣峠へと入っていきます 
▲熊野古道と林道神木坂本線との交叉点です
▲水壺地蔵
横垣峠入口から、わずかな距離の所に「水壺地蔵」が祀られていました。
水壷地蔵の横に、弘法大師がここを通った際、杖で穴を開けて水を出したという伝説の湧き水がありました。高度を上げていくと東側の一部が開けており、雲海が見えました。晴天ならば、ここから熊野灘の海が見えるはずなんですが・・・今日はあいにくの雨で見えません。地殻変動の際にマグマが波紋状に固まったという、この地方特有の神木流紋岩の石畳が続きます。雨で滑りやすく、なるべく石畳を踏まないようにして歩きました。季節ごとに野花が石畳を彩り、今はアザミが沢山咲いていました。
地蔵の横には、弘法大師がここを通り喉が渇いたので杖をつついて水を沸かしたという湧水が出ています。
日照り続きの今日も水が湧き出ていました。
水壺地蔵は新旧2躰建てられ、新しい地蔵と石灯籠には、嘉永三十二(1850)年、大阪佐藤屋宗七が建立したと刻されています。
大阪の大工宗七は職を求めて熊野に来ましたが仕事が見つからず、横垣地蔵で疲れはてて寝込んでしまいました。その夢枕に地蔵様が現れ、「この下の集落へ行くと仕事がある」と告げられたそうです。さっそく神木集落へ下りてみると仕事があり、その後大繁盛したので、そのお礼に地蔵と石灯籠を献納したという言い伝えが残っています。
▲崩落地を避けて上へ上へと上がって行きます
▲階段でさらに上へあがります ▲途中マムシと遭遇…キャッ! ▲崩落地の近くには階段がつけられています
▲横垣峠です
横垣峠へは、さほど時間を掛けずに到着しました。立派な石碑が立っています。坂ノ峠にスタンプ台と東屋があり、休憩を兼ねて強く降る雨を避けるために東屋へ入りました。その時です。稲光と落雷の音が同時に聞こえ震え上がりました。「歩いていたら落雷に遭っていたかも・・・こわいね」東屋に入っていて助かりました。「木の下を歩かず道の真ん中を歩こう!」と、狭い登山道を注意しながら峠を抜けました。小さな溝は水流が増して飛び石が浸かってしまい飛び越えねばなりません。田圃には水が溢れ、まるで稲が溺れている様に見えました。畦道のところどころには獣除けの柵が掛かっており、猪や鹿と人間との闘いを想像することができました。
▲坂ノ峠の 東屋 ▲横垣峠のスタンプ押印 
▲熊野古道から少し降りて林道坂本神木線に合流します ▲崩壊地を避けて林道歩き
林道に別れを告げ折山神社まで熊野古道を辿ります。 神木流紋岩の石畳は雨に濡れて滑りやすく大変でした
▲神木流紋岩の石畳 ▲稲田 ▲折山神社
峠を抜け坂本の集落を過ぎると 田圃の中に亀島と呼ばれる周囲25m、高さ5mの大岩がありました。頂上には石灯籠が建てられています。亀島の石灯篭です。
下からは見ることができませんでしたが台座には「菊花紋」が彫られているそうです。
 ▲法華塔 ▲高千良バス停に向かって…
阪本の登山口を出ると、しばらく集落の中を歩いていくのですがバス停がありません。人の姿を見つけてバス停までどのくらいかと聞くと「15分」と教えてくれました。しかし、歩いても歩いてもバス停どころか集落さえありません。「15分って車で走って15分?」バスの発車時間が迫ってきています。姫が、どえらいスピードでみんなを引っ張り始めました。どこにそんな力が残っているのかと言うぐらいの速度です。4時のバスに乗り遅れると1時間、雨の中で待たねばなりません。早くホテルに付いて温泉に入りたい・・・やっとバス停が見えてきました。時刻表を見ると何と4時のバスは「土曜日と日曜日のみ運行」と書いてあります。この日は金曜日・・・!「な~んや!あんなにぶっ飛ばさなくても良かったんやわっ!」 ヘナヘナヘナ…しりもちついたあ
ホテルへ到着が遅れる旨の電話を入れると迎えに来てくれそうな雰囲気です。こりゃあ交渉する余地はありそうだと粘りました。高千良のバス停までお迎えの車に来て貰い午後5時過ぎ、入鹿温泉・ホテル瀞流荘に到着です。なかなか高級感の漂うホテルです。部屋に入ると、早速雨具を脱ぎ捨ててお風呂に走りました。しあわせを感じる一瞬です。