『みちのく3000q・毎日一座・1週間の東北登山』

★第7日目(8月12日・木曜日) 『月山1984b』 (青森県)
ルート:8合目登山口→弥陀ヶ原→仏生池小屋→モックラ坂→月山神社→月山頂上小屋→月山神社→仏生池小屋→8合目登山口

居心地のよかった鳥海山・鉾立山荘を後にして、月山に向けて出発したのは午前6時30分でした。
鳥海山スカイラインを下り、月山8合目に向けて四万十号は走ります。
山形自動車道・酒田みなとインター入口は、今日も「高速無料化実施中」コース。米どころの庄内平野を走り抜け、鶴岡インターを出て、月山8合目に午前8時53分に到着しました。太陽が照り、昼過ぎには下山できることから台風の影響はないものと判断しました。
『優しいお山・・・それが月山です。』
資料のイメージから、8合目から頂上までは「片目でケンケンや」と豪語し、ツアー客を追い抜き足早に頂上を目指します。弥陀ヶ原を抜ける頃、体をつの字に折って歩いている老婦人と出遭いました。年のころなら90歳くらいでしょうか。白装束にツゲの笠を被り、胸元には小さな箱のようなものを抱えておられました。周りには10人ほどの青年男女。たぶんお孫さんでしょう。おじいちゃんの散骨に来られたような感じです。昨今100歳以上の老人の行方がわからなかったり、弔いもせずに10数年もの間放置されていたり、忌まわしい事件が後を絶ちません。でもこの信者家族には絶対にそのような問題は発生しないと確信しながらその横を通り過ぎました。
時刻
9:10 8合目登山口
9:30 弥陀ヶ原
10:50 仏生池小屋
12:10 月山神社
12:25 月山頂上小屋
13:00 月山頂上小屋発
13:05 月山神社
14:05 仏生池小屋
15:40 8合目登山口
もう1時間は歩いたでしょうか。木道を過ぎ、石ころ道に変わった頃、雨がポツポツと落ちてきて、ポチが雨に異常な反応を示したため合羽の装着となりました。露岩の登山道は、雨に濡れてとても歩きにくく、少しでも気を抜くとズルッと滑ってしまいます。

二人の若者がサンダル履きで合羽も持たず、私たちを追い抜いて行きます。
「ちょっと〜大丈夫?」 と声をかけると
「予備知識がなくて・・・」 と頭をボリボリとかきながら横をすり抜けていきました。(富士山登山の若者と一緒やなぁ)
若いと言うことはすばらしいですね。装備はともかく、私たちを追い抜いたと思いきや、ぐんぐん間をあけて行きます。ものの2分もしないうちに木陰に隠れてしまいました。
多少雨がポツリポツリしているものの、月山の頂上方面はまだ雲に閉ざされていません。何とか頑張って行けばひどい雨に遭わずにすむかも知れません。心なしか足早になります。
途中で外国人の家族がピクニックを楽しんでおられました。
このころ北の空にくっきりと見えていた鳥海山も雲を被る様になり、上から徐々にその姿を隠していきました。仏生小屋を通過する頃には風も少し出てきて台風の余波を感じます。
頂上近くになると雨が激しくなり、風も強くなってきました。
風速10b(瞬間風速15b)の突風が吹き、歩くこともままならない状態です。根石岳の風もこんな風だったと思い出しながら、足を踏ん張り、それでも2度、3度、風に体を持っていかれかけながら踏ん張って進んでいきます。もうすぐ山頂と言うところで登山道は尾根の東側に出ます。そのとたん今までの風とは違う突風に近い状態の風に見舞われます。
何とか月山神社に到着というところで、登りで追い抜いていった若者二人に再度遭遇。
「大丈夫」
「上でビニール合羽を買って着ました」
「気をつけて降りてね。今日遭った記念に写真撮らせて」
「はい。いいですよ」 とカメラに収まってくれた。
山頂の神社には鳥居の所から手を合わせて、月山頂上小屋に行きました。
「何か温かいものを食べよう」
とにかく早く下山しないと遭難するかも知れないと思いながらも冷えた体を休めるために、頂上小屋で昼食用のお蕎麦を注文し、しばし避難をすることにしました。  ポッチーは月見そば、JONと姫はタヌキそばを注文しました。
一口口に放り込むなり
「わ!。往路で食べた福島の桃や…」
まず〜い「タヌキそば」というよりは、大阪のタヌキそばとは大違い。天かすのみですぞっ!を。何とか食べて早々に、下山することになりました。

風雨は更に強くなり、予定時間を大幅に超えてしまいました。
途中で行き交う登山者は1組の親子だけでした。風に押し戻され、横倒しにされ、ザックカバーを吹き飛ばされながらの下山です。仏生小屋はスルー。雨もかなり降っているようですが、今は風との闘いです。

なんとか頑張って弥陀ヶ原に入ったときにはホッと一息ついた次第です。
登り始めるときには満車状態だった駐車場の車は、ほとんどなく、ことの重大さに驚きました。
テント泊は無理と判断をし、駐車場の片隅にある登山指導センターのおじさんに
「この近くで温泉の付いてる安い宿は無いでしょうか」
と尋ねると麓にある国民宿舎・羽黒山を教えてくださいました。急いで行って見たけどだめ。折からの夏休みと盆休が重なり「満室」とのことでした。
ナビを頼りに1時間ほどさまよい、やっとのことで「北月山荘」にたどり着きました。午後5時を回っていたこともあり、素泊まりならということで今夜は1週間ぶりに布団で寝ることができそうです。部屋には煙感知器が設置してあることから、慎重に部屋食(鍋釜持参でご飯を炊きました。
朝はお粥。
翌日のおにぎりまで炊いちやいましたよ〜)一人3500円、財布にやさしいお宿です

今夜のお宿は北月山荘です。
大阪を出てからはじめての布団 北月山荘 北月山荘全景 自炊ですぞ

文:美智子姫 記