『みちのく3000q・毎日一座・1週間の東北登山』

★第4日目(8月9日・月曜日) 『 白神岳 1235m 』 (青森県)
ルート: 白神岳登山口駐車場→白神岳登山口→二股分岐→蟶山(まてやま)分岐→十二湖分岐→白神岳→二股分岐→白神岳登山口

白神山地は、青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる山地で、人の手が加えられていないブナの原生林からなる地域です。今日は白神山地の西側に君臨する「白神岳」に登ります。
十二湖キャンプ場を午前6時に出発し前日に下見をしていた白神登山口に到着しました。登山口には立派な休憩所や広い駐車場があり人気の多さを感じます。

ここから15分ほど登ったところが登山口。ここで登山届けを出して入山です。

昼間でもうっそうとしたブナ林、アオモリトドマツ、ダケカンバの並木道を進むと二股分岐、此処を北にとってマテ山方面に進みます。ここで最初の休憩をとっていると雨がポツポツと落ち始めてきました。木立の中でそう気にはならなかったのですが、蟶山(まてやま)分岐まで来ると、大粒の雨に変わり、おまけに雷もゴロゴロと鳴り始めたため、雨具を装着しました。
登山道は渓流と化し、足の重さに拍車をかけました。水を避けて、山側や谷側の足場を探して登って行きました。登山道の段差は小滝状態となり、まるで沢登りの様でした。路肩の笹の葉を1枚取り、笹舟を作って流して見ましたが、浮かべた途端に、濁流に飲まれて消えてしまいました。(こんな一大事に、ようそんなことして遊ぶなぁ)
稜線に延びる樹林帯の登山道は樹木に遮られて見通しも悪く、ただ黙々と歩くだけ。木々が密集していて林を楽しむというわけにはいきません。
時刻 ポイント
6:30 白神岳登山口・駐車場
6:45 白神岳登山口
7:25 二股分岐
9:00 蟶山(まてやま)分岐
10:40 十二湖分岐
11:00 白神岳到着
11:35 白神岳下山開始
11:45 十二湖分岐
13:00 蟶山(まてやま)分岐
13:55 二股分岐
14:25 白神岳登山口
14:35 白神岳登山口・駐車場
最初は快適に登っていましたが二股の分岐を過ぎる頃から雨が降ってきました。
マテ山の分岐までは急坂です マテ山の分岐 尾根に出ると登山道は川状態
笹舟をつくって浮かべてみる もうドロドロ
大雨もなんのその これが白神山地だ 雨でもサイコー
大雨の中を、慌てて下山してくる登山者がいて「何時に出発されましたか?」と聞いて見ると「登山口を午前4時20分です」と答えてくれました。私たちは午前7時に登り初めていましたが、それにしても早い下山だと思いました。十二湖分岐までの間に5組のパーティとすれ違い、私たちはここからまだ頂上まで15分歩かなければなりません。雨で重くなった体と足にとって、わすが15分がとても遠くて長い時間の様に思えます。しかしこのころになると、大雨は止み、遠くには日本海が見え、背後には白神の峰峰、白神岳へと続くスカイラインが雨上がりの稜線に、くっきりと映えています。いくつかの小さなアップダウンを超え、白神避難小屋に到着しました。2人の女性が休憩中で、軽く挨拶を交わし頂上へと急ぎました。
頂上の小屋が 十二湖分岐
頂上避難小屋 白神岳山頂 デンの記
後ろは白神山地 来てよかった ちょっとハイのJON
JONのデンの記 疲れたなあ さあ下山開始だ
頂上に到着。ついに着きました。
いつもの様に三角点を探し「デンの記撮影会」を済ませました。
頂上からの遠望。雲海の中に浮かぶ白神の峰峰。圧倒されるほどの迫力です。折り重なる峰峰の間を雲が埋め、稜線をくっきりと浮かべています。雨模様だからこそ、この演出が映えているのではないでしょうか。晴れていればこの感動を得る事は無かったと考えます。この山地にはずば抜けて高いはありません。いくつのピークで形成されているのかはわかりませんが、すべて寄せ集めて白神山地なんだなあと妙に納得です。
頂上でたっぷり遊んで午前11時25分下山開始。このころから再び雨がポツポツと落ちて来ましたが、登りに遇った雨に比べれれば、どうこう言うことはない雨量です。十二湖分岐を過ぎると登山道が、きれいに掃除されていて、落ち葉に隠れていた木の根も、はっきり顔を出し、妙に歩きやすいのです。大雨の流れが登山道の落ち葉をきれいに流し掃除をしてくれたのでしょう。登りには感じることが出来なかった風景に驚きながら快適に下山をすることができました。蟶山(まてやま)分岐を過ぎ、急激に高度を下げて行くと、ブナの樹林帯が目に飛び込んできます。実に瑞々しくて美しいです。樹木は生き生きとしています。この白神山地で長い年月を生き抜き寿命を全うして倒れ、朽ちていった大木を目にすることはありましたが、立ち枯れた木は1本も見あたりませんでした。
白神山地には雨がよく似合います。この雨量が木々に十分な栄養をもたらしているのかもしれません。
1235bの白神岳は、標高のわりには、かなりきつい山でした。それもそのはずで、標高200b地点からの出発なのです。1000m以上の標高差を登っているのですからきついわけですね。
白神山地は広くて、雄大で、おりなす峰峰が、そのすごさを表現していました。早く歩いているのでもなく、後続者に追いつかれるわけでもなく、ゆっくり白神のブナ林を楽しみながらの登山でした。

下山口にトイレと、水道とタワシなどが置いてありドロドロの登山靴を洗えることが嬉しい。14時30分ゴール。
尾根の向こうに岩木山が見える 稜線にあがる雲
白神山地のブナ林

今夜のお宿も 十二湖・いこいの村キャンプ場 です。
テントサイトはがらがら 温泉施設 洗濯物を抱えて 静かな夜です
今日は白神岳の帰りに食材を求めに麓の集落を訪れました。
「この辺りにスーパーのようなお店は無いでしょうか」地元の人に尋ねてみます。
「この辺りには何にも無いですねえ。この先のトンネルの手前に魚屋さんがありますけど」との返事です。町に1軒しかないと言う魚屋(何でも売ってる雑貨屋さん)さんのようです。
「魚かあ…」ジョンが喜んでアクセルを踏みます。ところが勢いあまって通過。
「あそこやで」姫が目ざとく見つけてUターン。どう見ても営業中のようには見えません。恐る恐る引き戸を開けて尋ねると
「いらっしゃい。魚ありますよ」津軽弁で応えてくれます。姫に続いてJONも入ります。
「カレイ2匹とガシラ1匹ください」
「ガシラ1匹やと喧嘩したらいけないので1匹サービスしてあげるワ」うれしいお言葉。店内をよーくみたら、豆腐、パン、なすび、たまねぎ、何でもあるある。
「魚炊くのに醤油ください」
「醤油はうちが使っているのしか無いからペットボトルに入れてあげるワ」 言うが早いかペットボトルを水で洗いいれてくれた。
「お饅頭もください」
「はいはい、ありがとう」 手際よく袋に入れてくれる。その間、そこに遊びに来ている老婦人と話が弾む。
「白神さんに登ってきたの?!、でも今日の雨はすごかったでしょう」
「今日の白神山。雨はすごかったですよ。昨日の岩木山は良い天気だったのにね」
「そうでしょう。今日の雨は久しぶりの大雨やでね」
「白神岳はいい山でしたよ」
「元気だねー。岩木山はお兄さんで白神さんは妹やから、両方登れて良かったね」  そんな会話を楽しんでいるうち清算となった。
「おいくらですか」 レジは骨董物の五つ玉の算盤。手際よくパチパチやりながら
「1000円です。醤油と、なすび2個とガシラ1匹はおまけ」
「わー。うれしい」 感謝の言葉を述べて魚屋さんをあとにした。
わずかな時間でしたが津軽弁と82歳の店主との会話に土地柄のよさを感じました。

十二湖キャンプ場に戻り、フロントに行くと
「今日、白神岳に登ってこられたんですか。すごい雨だったでしょう。今日は今年初めての大雨ですよ。よりによってこんなに日に」
スタッフのお兄さんに呆れられる。
「大雨の白神岳、負け惜しみではなく最高でしたよ」
「それは良くわかっているんですけどね」 つかの間の会話を楽しむ。

たまりにたまった洗濯物を持ってアオネー温泉の洗濯機2台に汚れ物を放り込み、ゆっくりと雨に濡れ冷えた体を、温かいお湯に浸けて、極楽極楽。お風呂から出ると洗濯が終わっており、更に30分乾燥機にかけて洗濯完了。汚れ物もきれいになり、垢も落としサッパリとしたところで夕食。豪華な日本料理を食べることができました。夕食の片づけを済ませ、テントに入り、津軽地方の歌を歌っていると隣のテントから拍手が鳴り響きました(やろめと言うことか?上手いということか?)午後9時には爆睡〜!
文:美智子姫 記000