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第8日目 最終日 5月7日 土曜日
 
 篠尾辻〜五大尊山〜六道ノ辻〜大黒天神岳〜吹越峠〜大斎原展望台〜備崎経石群〜熊野川渡渉〜熊野本宮大社 証誠殿
▲雨の中朝食を済ませテントをたたんで 午前6:00  岸ノ宿跡を出発です
登山道脇のテント場で雨の朝を迎えました。朝食を済ませ荷詰めをするのですが 濡れたテントは最後になるため 仮りの荷作りとなります。7泊もするとリュックの荷詰めも短時間で上手くなり 手際よく出来るようになりました。
行動食は夏蜜柑1個、お茶2本だけで飴1個も残っていません。テントを撤収し重い荷物と重い足を引きずるようにして歩き始めました。2人とも顔に浮腫みがきている様ですがそのことにはお互いが触れずで無口で歩いていくと わずかな時間で篠原辻に到着しました。昨日の予定はここまでだったのですが薄暗い登山道は木の根がはびこり危険だったんです。記録写真を撮るためジョンが雨用の手袋片手を外したのですが、しばらく歩いてから落としたことに気が付きました。わずかな距離でしたが 引き返す体力が無く あきらめるしかありません

今日はレーションも少なく最初の休憩では夏みかん4分の1をそれぞれが食べて飢えをしのぎました。お茶も残り少なくゴクゴクと飲むのではなく ゴクだけにしようと申し合わせて行きます。幸いにして水分摂取が少なくてすんだのは 雨天のおかげでした。
雨の中の急坂は歩くのが大変。岩が滑る、木の根が滑る、落ち葉が滑る。転んでは大変なので確実に歩を進めて降りていきます。
 ▲篠尾辻 ▲ 切畑ノ辻 ▲雨の木の根道は歩きづらい
 ▲雨の奥駈道は神秘的です
▲五大尊岳
五大尊岳は尾根を通る奥駈道に突き出した見晴らしのいいピークで、七十五靡(なびき)のうち第七靡です。山頂では、修験者が供えた行者札を見つけることができました。五大尊とは、密教で不動明王を中心に四方を守る明王たちのことで、山頂には不動明王の石像が祀られていました。
▲石楠花岳ではまだ固かった蕾も この辺りまで来ると綺麗に咲き誇っていました。 雨に濡れる花びらは とても綺麗に感じられました。
▲おっ。姫ー落ちたんかぁ…ちゃうちゃう この写り方はカメラマンが落ちた写り方やあ なんでもええけど 気いつけやあ
▲六道ノ辻 金剛多和ノ宿跡
 七十五靡の第六靡で、石積みの祠の中に役行者の石像が祀られていました。また、この辺りは西に流れる熊野川と東に流れる篠尾川の集落を結ぶ峠で、六道の辻とも呼ばれています。六道とは生前の行いによって分けられる冥界の種類で、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天を表し、あの世への入口を連想させています。仏教用語が古道沿いの地名に付けられているのが興味深かったです
▲石楠花も見ごろ ▲熊野川が見え隠れします
▲やっと大黒天神岳まできました
ここまで快調に来ましたがこの辺りからJONの体調が悪くな り歩くのも大変な状態になってきました。
後日胃カメラ検査の結果、胃の中に出血痕があり、この頃大量の出血があった とのことです。
▲姫はすこぶる元気 ▲熊野川の向こうは大居地区、後ろの山は果無山脈です ▲JONはダウン寸前
▲宝篋印塔 ▲杉木立の中を行く
▲山在峠です
 ▲大峯山奥駈道最後の峠 吹越峠、そして七越峰に向かいます
▲七越峰から見る景色は 熊野本宮名勝八景のひとつで 熊野本宮大社や、旧社地大斎原や日本一の大鳥居など本宮の里が一望できます。
▲七越峰
熊野本宮大斎原の展望台に到着した頃は飲料水もレーションも底をついた状態です。
吹越峠で熊野川沿いの集落を見た頃から気力は失せ、体力に限界を感じるほどでした。重いザックがより重く感じられ、単調な杉木立の中は疲れを一層ひどいものにしたような感じです。ここで昨日玉置神社に宿泊されたという方に追い越されました。私たちがいかにゆっくりかお解かりいただけると思います。
▲備崎の熊野川渡渉まで まだあの峰を越えていかなければならないのです
▲ポチさんと合流できました
今日はポチが熊野本宮に車で出迎えにきてくれると連絡が入っていました。バスの時間を気にすることなくお風呂にも入れそうです。少し希望の光が差し込んできました。五大尊岳、大黒天神岳、吹越峠など峠と山と峰の繰り返しで 「♪ひとつ山越しゃ、ほんだらったホイホイ〜♪ も一つ山越しゃほんだらったホイホイ〜♪越しても越してもほんだらほだらたほーいほい」 とジョンが植木等さんの歌を口ずさみはじめるほどでした。「祈りの道でこの歌は不謹慎かなあ。」「そんなことあらへんオイラ壊れてしもてん」
そんな折、ポチからの連絡が入り「本宮に到着。車をおいて逆から歩き七越峰まで来ている」とのことでした。「私達飲まず喰わずで、もう歩けませ〜ん!」と返信すると、店を探して麓に帰り、また登り返して来てくれました。七越峰を下ったところで再会し買ってきてくれた弁当をむさぼり、お茶を一気に飲み干しました。 もう少しで脱水症状をおこすところでした。
ここで名張の先生が追いついてこられ少し話をしました。昨夜はテントに雨が入ったとこぼしておられました。先生のウエストポーチから落としたはずの手袋がポロリ! 「拾って下さったんですね。ありがとうございました」 持ち物には名前は書いておくものですねぇ。助かりました。
▲備崎から熊野川の渡渉です  大峯山奥駈道のクライマックスです 
今は備崎橋を渡って国道168号を北へ歩いて本宮を目指すようですが
私たちは古式にならって熊野川を渡渉することにしました。川のほとりに降り立ってから なかなか渡渉点がわからず行ったりきたりしましたが フィックスロープを使って石段を降り 川原に降り立ちました。水量は膝下くらいですが さざ波の立っている浅瀬を辿って渡渉しました。水は冷たく流れも強く一歩また一歩と踏み出して行きます。対岸の大斎原の森も少しづつ近づいてきます。大峰奥駈道の結びとして感動の一瞬です。
▲熊野本宮大社 大斎原に到着です。 ▲熊野本宮大社参道
 ここは全熊野古道(参詣道)の終着点であり、よみがえりの出発点としてユネスコが世界文化遺産として認定し登録された国の史跡です。
▲東日本早期復興祈願の記帳もすませました。
▲熊野本宮大社 証誠殿に参詣し今回の大峰奥駈道の結びとしました。
バス停で手を振る名張のお医者さんに窓を開け「さようなら!ありがとうございました!」と大きな声でお別れを済ませると涙がとどめなく溢れてきました「終わったんや」実感がにじみでてきたんですね。熊野の温泉に浸かり、後から後から出てくる垢が勲章の様に思えてなりませんでした。
体力が回復したら女人大峯と呼ばれる「稲村ケ岳」を登り 吉野の靡にお参りすれば大峰奥駈道の完結となります。                  
第八日目 最終日 5月7日 土曜日 大阪着20時30分
  ★あとがき★
★姫
縦走を終えての感想としては、「興味本位に歩く所ではない」この一言につきると思っています。
大峯・奥駈道は、現在でも立派な修験道であり存在価値は計り知れない奥深いものだと思っています。縦走登山中に、自然の織りなす中で、体を酷使する事により達成されるものであり、無神論者の私でさえ縦走を終えた時、修行の心に通じるものが芽生えた様に思いました。今回私達は吉野から本宮に向かう逆峯(ぎゃくふ)を廻ることにしましたが 行き交う人の中には逆峯を終え、本宮から吉野に向かう順峯(じゅんぷ)を歩いておられる方や、今回3度目だと言う方もおられ驚きました。それほどに魅力のある奥駈道であるということなのでしょう。

7泊8日という長い日程の中で入浴は勿論、水や食料もままならず、震災で避難生活をされている方達のご不便な生活が、いかに苦しく大変なことか、ほんの少しだけ体験させていただきました。「水は天からもらい水」と唄にもありますが奥駈道で一番困ったのは水の調達です。食糧不足は自己責任としても「水場」と明記してある場所から30分かけて谷底まで降りて行ったとしても渇水しており、来た道をまた30分以上かけて登り返した時の辛かった事。水道の蛇口をひねると水が出ることがこんなにも贅沢な事だとは思いませんでした。

「風呂に入らんでも死にゃあせん、水さえあれば生き延びられる」奥駈道を歩ききったことで私の人生が大きく変わる事は期待できませんが、少なくても物への有り難さ、人への感謝の気持ちは大きく変わったのではないでしょうか。
「来年行こう」・・・・と先延ばしにすることによって身体機能は低下して行きます。あせる必要はありませんが行きたいと思った時が吉日と決め無理のない計画を立てることが残りの人生を悔いなく生きていける気がしています。
そして良きパートナーを見つけることです。山行中、天候やコース上で危険にさらされます。正しい判断の出来るパートナーを見つける事も大切だと思っています。私にはその良きパートナーと良き協力者がいた事に感謝しています。

阿弥陀ケ森の女人結界門のところに行方不明者のチラシが貼ってありました。今年は雪も多く、5月3日の大峯戸開の日も滑落事故があったと聞きます。私達が、予定通り怪我もなく生きて帰れたことが不思議なくらい、決して大袈裟ではなく、それほどに厳しく、それでいて偉大な「祈りの道」であったと思っています。ありがとうございました。
大峰で姫が災難
  ダニが付いた状態        ダニを取った後       タカサゴキララマダニ 
ここで形成外科に行き診てもらうと「これは蜘蛛です」と言いながら治療に入ったのですが、あの手この手でもなかなか取れず、ついに麻酔をし切開してとってもらいました。「これは一帯何なのか」「25年の医師生活の中で初めて診た」「保健所で何か調べてもらおう」帰りに保健所に持ち込むと、時間をおいて電話がかかってきました。
タカサゴキララマダニ
です。毒性はありませんので心配はありません。とのことでした。
リアルなやりとりは 姫のおうち【2529回をご覧いただければおもしろいと思います
 JONの一言
3度北奥駈の経験はありましたが 奥駈道を通すとなれば大変さは倍増していきます。目的をはっきりさせて淡々とこなしていくことが熊野へつながる方法だと感じました。一日の予定時間を充分に使ってゆっくりと歩くこと。食事の配分や水の配分も大切です。早く踏破をすることを目的としている方も多いようですが 奥駈道を歩くという目的なら 何日かかろうとゆっくり歩いていくことが大切だと思いました。
文:美智子姫  
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