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第5日目 5月4日・水曜日
 
 深仙ノ宿〜太古の辻〜天狗山〜嫁越峠〜地蔵岳〜涅槃岳〜証誠無漏岳〜持経ノ宿〜平治ノ宿
今日は5日目です。この日くらいから日にちの感覚が狂ってきています。昨夜は少々雨が降りましたが、朝方には星も見えていました。今日は大日の岩場が登れます。うれしいです。前鬼に向けて下山すると言う天満の澤森さんと八尾のシェフさんから無洗米を頂きました。ありがたかったです。これで水さえあれば2日間はお粥が食べられます。天満の澤森さんと八尾のシェフさんは早々と発って行かれました。 
深仙ノ宿前広場
今日は5日目です。この日くらいから日にちの感覚が狂ってきています。昨夜は少々雨が降りましたが、朝方には星も見えていました。今日は大日の岩場が登れます。うれしいです。前鬼に向けて下山すると言う天満の澤森さんと八尾のシェフさんから無洗米を頂きました。ありがたかったです。これで水さえあれば2日間はお粥が食べられます。朝のお粥は体が温もり最高です。天満の澤森さんと八尾のシェフさんは早々と発って行かれました。
私たちも準備完了したので後発の名張のお医者さんに別れを告げ、大日の行場に向かいます。大日岳分岐にリュックをデポし大日岳を目指します。「山ひとつまるまる岩場」こう形容した方がよくわかってもらえると思います。奥駈の荒行場の一つである大日の行場はクライミングをしている者にとって「通過」は心残りです。また山上ケ岳の荒行場を体験できない私にとって唯一やりたい行場なのです。かなりの危険が伴い、私達の後続に2人が登攀中でしたが、途中で断念して引き返して行くのが岩の上から見えました。
大日岳の行場 ▲大日岳の行場を登る姫
▲ 大日岳山頂の不動明王座像 上左」:大日岳山頂 上右:四十雀 下左右:大日岳からの下山路
頂上まであと一歩と言うところで「あかん!落ちるわ!」落ちたら命はありません。鎖はあるものの手を滑らせれば真っ逆さまに落ちて行きます。岩の割れ目に身体をしっかりと入れ、スリスリと岩場に身体をすり寄せて体制を整え、再度挑戦し何とか頂上を踏めました。
頂上には凛と立つ不動明王の像が立っていたのです。無事に登り終えたことに感謝の手を合わせ巻き道を下りました。
 ▲大日岳より北奥駈 深仙の宿、釈迦ヶ岳を望む
 ▲ 大日岳より南奥駈方面を望む
▲太古ノ辻・これより南側を南奥駈、北側を北奥駈と言います 
太古ノ辻を過ぎ、大日岳を背にして登っていくと、突然出会う大きな岩がです。その大きさに圧倒されながら登下降を進めていくと、石楠花岳。この辺りから振り返ると釈迦岳の上に如来像がくっきりと見えます。  
 ▲仙人舞台石  ▲振り返れば釈迦ヶ岳の上の釈迦像がくっきり
▲石楠花岳に続く尾根のシャクナゲの群落 ▲ 石楠花岳
 ▲天狗山
  ▲奥守岳   ▲嫁越峠
 ▲ 嫁越峠
  ▲天狗の稽古場
天狗岳の上でしばし休息。バイケイソウの群落や倒木のフォルムを楽しみながら進んでいくと奥守岳のてっぺん。そこから下って嫁越峠を過ぎると天狗の稽古場と呼ばれる草地。なるほどよく見ると天狗が修行をするのに相応しいような広場です。 
▲地蔵岳 ▲般若岳
▲南奥駈は景色が優しい ▲ここでもシジュウガラ ▲昼食はカップうどん
▲滝川辻で静岡の猛者さんとすれ違いました。彼は順峯で那智から吉野へ通すのだそうです
地蔵岳、般若岳、滝川辻と進んで行くと本宮方面から一人の猛者が上がってきました。今回の山行中、ジョンの背負うザックより大きな荷物の登山者に巡り合いました。尋ねると静岡からのようで以前逆峰をやっておられるようで今回は順峰、それも那智からのスタートだそうです。荷物の大きさに重さを聞いてみると「30kgは無いけど27〜28kgはあるかなあ」「静岡ではアルファ米は手に入りましたか」「私は山での食事は家庭の延長です。アルファ米など贅沢はしません」とのことでした。なかなか気骨のある山男のようでしたので記念写真を撮らせていただきました。般若岳にむかって登っていく後姿を見送りながら山での食事について考えさせられた次第です。
▲涅槃岳 乾光門 (拝み返しの宿跡)
 ▲涅槃岳 (1375.9m) の山頂で 
 ▲証誠無漏岳  
   ▲阿須迦利岳
南奥駈に入って南下するにつれ、石楠花はまだ蕾固しと言うところですが、咲く花の数が一つ二つと増えてきたように感じます。北奥駈に比べて日当たりも良い様で明るい感じが漂っています。▲ここから降りていけば持経ノ宿です
  ▲やっと持経ノ宿だあ     ▲名張の先生と むらよしさんと姫
 ▲持経ノ宿にて、新宮山彦グループの むらよしさん と  
 朝7時に出発してもう9時間近くたっています。やっと持経ノ宿に到着です。小屋前では私たちが大日の行場を登っている間に追い越して行った、名張の先生がいらっしゃいました。
「どこで追い越しました」私たちも一瞬考えて 「大日の行場に登っている間に追い越されたんだと思います」「そうですか-。あのデポしていたザックがそうでしたか 理解できました」 
「平治まで行かれませんか」「私はここで泊まります」「私たちは7日にゴールしたいので平治まで進みますね」
 携行する水がほとんど無かっため、小屋前のポリタンクに入っている水を分けていただけないか小屋の中で作業中の管理人さんにお尋ねしました。
「平治の小屋まで行きたいのですが、水が切れかけていますので少し分けていただけないでしょうか」
「平治まで行かれるのですか。真ん中のタンクの水を持っていってください」 快くお返事をいただきました。私たちは少々あつかましく感じたのですが一人一本づついただきました。多忙にもかかわらず撮影の依頼に応えていただき表まで出てきてくださいました。
「今日は5月の4日でしょうか」 「日にちもわからなくなってるんですか」 ニコニコ顔でこたえてくださいます。
「私は今日で4日風呂に入っていません」
「連休中ここに いらっしゃったんですか」 「そうです、持経の臨時管理人です。私は今日小屋を降ります。もう一晩ここにいるのなら、無理を言ってでもここに泊まっていただくのに残念です」 とおっしゃってくださいました。
大峰の話や、奥駈の話などお伺いしたい話は山ほどあったのですが、私たちも残念です。
「平治の水場には枡がつけられていますので充分汲んでいただけると思います」 そう教えてくださいました。深仙ノ宿の香水(こうずい)のイメージがあったもので一升枡くらいの枡に水がたまっているだろうと思いながら、持経ノ宿をあとにしました。
 ▲持経の千年檜  ▲持経千年檜不動尊  ▲持経の千年檜
昔、山下の吉野山蔵王堂から七十五靡(なびき)の霊場を経て、修験者たちは難行しながら山上の蔵王権現に祈願しました。
さらに奥駆けといって、ここから熊野まで修行を続けました。熊野から山上に至るのを逆峰といい、何日もかけて修験の山路を辿りました。
その一つである持経宿(じきょうのしゅく)は大峰七十五靡の第22番の行場で、役行者所持の孔雀明王経をおさめたと伝えられています。この持経千年桧は持経宿の神木として保護されています。
▲両又分岐
 ▲今夜は天満の澤森さんと八尾のシェフさんに頂いた無洗米でおいしいお粥をご馳走になりました。     ▲平治ノ宿の水枡
 GPSで記録したデータによりますと、平治の宿は国土地理院の地形図に記されている位置から約300mほど南東方向 (熊野寄り) にありました。
奥駈道の西側に表記されていますが実際は奥駈道の東側でした。水場の位置も記録しましたので掲載しておきます。
平治の宿は持経ノ宿の近くにあるためか利用者が少なく、今日も誰も利用者がいない様子で私達が一番乗りです。荷物を置き谷底まで水汲みに行くことにしました。看板には「水場まで10分」と書いてありますが、疲れた体での水汲みは往復30分ほどかかりました。一升枡なんて小さなものではなく、とても大きな枡に充分溜まっており、有り難いことに、8リットルほど頂きました。

夕暮れが迫る頃、広島県のタナッチョさんがやってきました。なかなかの好青年です。葛川辻の水場の状況を尋ねると「今日は地蔵岳を通らず上葛川から谷沿いに葛川辻に上がってきました。谷筋は水が一杯でしたので敢えて水場の確認はしていません」とのことです。情報交換や山での話、奥駈道を歩く動機などを仲良く話し夕食も終えて横になった頃でした。時間は19時30分頃だったと思います。
暗闇の中5人組がやって来ました。もう寝袋に入っていましたが「暗いから大変だったでしょ」と簡単な挨拶を交わしたら「私たちは慣れていますから!」そんな返事をいただきました。日が暮れてから小屋入りすることに慣れていてはいかんやろう。
一瞬ムカッとしますがそこは祈りの旅の途中です…
 第五日目 5月4日 水曜日平治の宿 小屋泊
 JONの一言
今夜の同宿者はトレイルランナーのようでした。私たちも俄か信者みたいなものですが、世界遺産 紀伊山地の霊場と参詣道を訪れるにあたってはいろいろな心構えが必要だと言うことを学びながらの行脚です。奥駈道はトレイルランナーの早く駆けるだけのトレーニングコースには使ってほしくないルートだと思います。高野山町石道で出会ったマウンテンバイクの二人の青年しかりですよ。奥駈道が吉野から熊野まで繋がっているのは,新宮山彦ぐるーぷの方たちの力によって支えられていることを私も今回の行脚の中で学びました。道は歩かなければ荒廃し自然に還っていく、そうならないように残していくには大変な力が必要です。奥駈道に足跡を残させていただいた者として、何かをしたい、何かをしなければならないと考えているところです。
文:美智子姫  
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