上信越&北関東の日本100名山を辿って  第6日目皇海山(2143.6m) 6月13日土曜日・晴れ)
雨飾山・苗場山・奥白根山・男体山・武尊山皇海山
皇海橋ゲート06:00~二股06:30~不動沢のコル07:50~皇海山頂08:50ー09:30~不動沢のコル10:20~二股11:40~皇海橋12:00 
皇海山(すかいさん)は、栃木県日光市と群馬県沼田市との境界にある山です。
栃木県側の銀山平から庚申山・鋸山をへて皇海山にいたる伝統的なルートと、群馬県側の不動沢からのルートがあります。栃木県側の庚申山から鋸山までの尾根は鋸尾根と呼ばれ、11のピークがあり、この尾根伝いに11のピークを登降するルートのほか、尾根の南側を巻くようにして六林班峠を経由して皇海山に至るルートや群馬県側の不動沢ルートなどがあります。今回はこの不動沢ルートを登ります。
夜中の2時に宇都宮チームが道の駅「白沢」に到着。Fitの横に駐車して夜明けまで仮眠をし、朝を迎えました。
Fitを道の駅に残し宇都宮号に乗り込み午前4時15分、道の駅・白沢を出発しました。途中でコンビニに立ち寄り朝食用のサンドイッチを購入しました。老神温泉郷の中を通り悪路で有名な栗原川林道を約1時間走りました。内臓が口から飛び出るのではないかと思うほどの悪路です。対向車が来たときは一体どうするのだろうかと思うほどの細い道が続きます。お喋りをしていたら舌を噛み切る恐れもあります。そんなデコボコ道を走り登山口へと向かいました。前方に赤いストップランプが確認できました。所沢ナンバーのレンタカーは車高が低く腹を擦りそうな感じで走っています。宇都宮号はハイエースの4輪駆動車なのでまったく気にならないのですが、車幅が広いため木々をすりながらの走行です。ドライバーのリジュ君はハンドルを持ちながら時々頭を低くしたり、横に向けたりして木々をよけています。
「お~い車の中だから大丈夫だよ~!」午前5時30分駐車場に到着です。
皇海橋のたもとの駐車スペースで準備をします
小高いところに立っているトイレは何と清潔な水洗トイレです。  出発準備完了…今から登ります 
準備をして林道を少し登り不動沢に掛かる橋を渡ると登山口の車止めゲートです。その横をすり抜けて登って行きました。広葉樹林帯の静かな道です。沢に沿って歩いて行きます。ときおり聞こえてくるカッコーの声やウグイスの声に山深さを感じます。このころから後続の登山者が、どんどん追い抜いて行きます。ほとんどが単独行です。ディパック、スニーカー、ツーストック、CWXにランニングシューズ、トレランとみんなリュックが小さいので足が早いです。あたりの林が針葉樹林帯に変わる頃、人影もほとんどいなくなり、ワイワイガヤガヤ楽しく話をしながら登って行きました。
不動沢コースの「ハーフハーフ地点」に到着。なんとなく早く快適に登れている感じがします。 ここを過ぎたころから道は急登になり沢から落ちてきた石を踏んだり、木の根を掴んだり、またフィックスロープを掴みながらの歩行の連続です。前方の林の中に光が差し込みだした頃、道は急に険しくなり最後の急登です。どうにかこうにか重たい身体を引きずりながら不動沢のコルに到着しました。目の前に鋸岳がそびえています。そこから派生する尾根は鋸岳11峰と呼ばれる岩峰です。ここでしばらく休憩です。レーションのサクランボを頬張り生気を取り戻しました。
 不動沢のコルから見上げる 鋸岳11峰です
こここからおよそ1時間の登り、針葉樹林帯の中をゆっくりと歩きながら景色を楽しみますがほとんどが木立に遮られていて背後にそびえる不動岳が木立の合間から見え隠れします。九十九折れの道を繰り返し、倒木をまたぎ、木の根を踏みおよそ50分、

1本の青銅の剣が出迎えてくれました。ここから5分で頂上に到着です。頂上に到着でーす。残念ながら見晴らしはありません。
土曜日とあって頂上は大勢の人たちで賑わっていました。「じゃあここで昼食にしようか」いやいや時間からすれば午前9時なので朝食です。それぞれが用意した好みの弁当に舌鼓を打ちました。

頂上だーい 若い人と登るのは楽しいなあ
食事が終わって顔をあげるといつの間にやら登山者がさらに増え銀座並の混雑です。 
下山スタートするころには登山者の数もぐっと増え登山道を譲るのに一苦労です。降りるにしたがって登山者の数が増え、狭い頂上であふれはしないかと心配するほどでした。下山時の不動沢の分岐で休憩を取りました。登ってくる登山者と頻繁にすれ違い、山慣れしていないグループは安全な方を空けて危険な方で待機している私たちの方めがけて登ってくるし「こちらは大変だからそちら側が楽ですよ」と言ったにもかかわらず「私はこっちが良いのです」とわけのわからないことを言い出す人もいました。不動沢を降り始めて30分間くらいは木の根やフィックスロープを掴んで上り下りですれ違いにくい状態が続きました。登り優先の原則にちなんで極力譲ってはいますが、我が物顔で登って行く人もいれば待っていてくれる登山者もいます。「ハーフハーフ地点」まで戻ってきました。 
前方を見ると40人くらいの団体が登ってくるのが見えます。時間は11時を過ぎていますのでもう出会うことはないだろうと思っていましたが登山者の数はいっこうに減ることはありませんでした。一体入山予定時間を何時に設定しているのだろうか?と、常識を疑いたくなります。先頭のリーダーは無線機を持っているものの、対向者が来たことを知らせるでなく途切れなく登ってきました。ジョンがブチ切れるまでに姫がブチ切れないと大変なことになります。「みなさ~ん、そこで少し待ってください。下山者4名通過させてくださ~い」と優しくお願いしましたが無視してどんどん登ってきます。「30人も40人もグループも組まず登るなんて非常識ですよ!山のマナーを守れないなら登山する資格はないよっ!」少し切れ気味に小言を申し上げました。後ろを歩くトモちゃんが「姫・・・怖い~!」と言うほどでしたので相手にも怒り具合が伝わっていると思います。

百名山を巡るツアーらしく有名な双子のスキーヤーのネーミングバリューを利用したツアーらしい。きっと上でもトラブル全開だろう!
フィックスロープのあたりであの団体と出合わした登山者は不運としか言いようがありません。
到着でーす
登山口まで降りてくると林道に並べられた駐車車両は50台以上にも膨らんでいました。百名山人気とはいえものすごい人数である。9人乗りタクシーが4台、先ほどの団体客を乗せて下山まで待つと言います。ほんまに呆れる団体でした。

早々に荷物整理をして、もと来た悪路を引き返します。突然前から出てきたバイクとおっとっとの場面もありましたがリジュ君のハンドルさばきはお見事でした。道の駅にFitを回収に立ち寄り魚沼市にある大湯温泉郷「友家ホテル」で宇都宮のジュリ君とトモちゃんの太っ腹な接待を受けることになりました。とにかくお風呂に入り、ビールで乾杯し豪華な夕食を頂き山の話に時間を忘れるほどでした。何と言っても雨飾山での滑落体験は今後のかれらの登山に大きな教訓となったことでしょう。
文:美智子姫