上信越&北関東の日本100名山を辿って 第2日目苗場山(2145.2m)6月8日(月曜日・晴れ)
雨飾山苗場山・奥白根山・男体山・武尊山・皇海山
3合目登山口06:00~和山温泉合流点10:00~苗場山山頂11:00〜12:00~和山温泉合流点12:30~3合目ゴール16:30 
上信越高原国立公園内にある山。かつてはブナの原生林をたどった登山道は、スキー場造成の伐開やリフト架設で昔の面影を失いましたが、自然保護のため木道が敷かれて登山者に喜ばれています。一等三角点の頂上には天然の苗田と見られた池塘群には湿原植物が多彩です。
雨飾山の登山を終え秋山郷の路肩でさわやかな朝を迎えました。天候は晴れ。よく整備された林道を走り3合目駐車場に到着しました。先客に奈良ナンバーの車が2台とまっているだけです。昨日の疲れは早寝早起きのおかげですっきり取れています。少し肌寒さを感じます。3合目の大駐車場は約50台の駐車が可能の大きなスペースです。 
私たちの山行時間は写真撮影が主たる目的に入っています。だから山行時間が「遅いなっ」と感じた時は景色が美しかったんだなと判断して頂ければ幸いです。決して「あいつ等、へばっとんなぁ!」とは判断しないでほしいです。よしんば、へばっていたとしても顔には出さず、どの山も笑顔で登りたいと思っています。
登山開始は午前6時、疲れはすっきり取れたとはいえ、やはり昨日の疲れが尾を引いているのか4合目あたりまで調子が出ませんでした。5合目付近で雪と出会いましたがアイゼンを履くほどではありません。雨飾山での出来事があるため「帰り道はアイゼンを履こう」と2人で相談しながら歩いて行きました。林の中の残雪は迷路のような進路でありトレースがあったと喜んで歩くと、その先が途切れていたり、人の踏み跡の多いところには踏み跡が突然消えていたりと林の中では悪戦苦闘を強いられました。
5合目を過ぎると岩場が出てきて楽しくなりました。が、それもつかの間、雪渓のトラバースが待ち構えていました。6合目の道しるべを通過すると、かなり傾斜のきつい雪壁が現れてきました。「お~い昨日の二の舞になるなよ。登りは大丈夫でも下りは尻シェードで降りようか・・ちょっと無茶かな?」何とか登り詰めて藪漕ぎをし通常ルートと合流。続いて雪渓をトラバースして岩を登り詰めました。その先にまたまた雪壁が待ち構えていて初日の悪夢がよみがえります。
  頂上の大地はかなりの雪のためアイゼンをつけました。雪壁を駈けあがると一面真っ白!冬場の雪の多さがうかがえます。ベンガラ色のルートも黒く変色してわかりにくく、ところどころにはテープもあるのですが強風で飛んでしまっているところもあり不明瞭な点が目立ちました。テープを探しながら進むと木道が見えてきました。岩場もあり頂上直下では既にガスもかかり右も左もわからない状態でした。そんな中にあって1本のテグスが頂上方向をしるしていました。ところどころにはピンク色のテープが結ばれていて登山者を確実に小屋へと導いてくれていました。ガスの中にかすんだ小屋が見えてきました。「ああ!あそこらへんが頂上やねっ!」どうにか到着です。
頂上にある小屋の玄関から先の方に三角点があり、それに触れてから小屋のドアをたたきました。ストーブが焚かれていて、一人300円支払うと温かいお茶も頂けて、しばし休憩させてもらいました。お弁当を食べ終わり小屋の外へ一歩出てみるとあたりは真っ白のホワイトアウト状態に変わっていました。ジョンがあらかじめ小屋の方向を確認していましたので方向を間違うことなく右手方向に進むことができました。やがて濃霧も薄らぎ、赤いリボンを頼りに、下山方向へと進みました。
もうあたりは真っ白だ~い
和山温泉への分岐点あたりは強い風が吹いていてまっすぐに立っていられません
雪渓のトラバースにはラビットノットでカラビナをロープにかけて安全策を講じます↑ 
岩場では、実際にこのように両手で鎖を持つことはありません。片手は必ず岩を持っています。
6合目の雪壁まで到着です。登りよりかなり傾斜がきつく感じます。「シュリンゲとカラビナを残置してでもいいので懸垂下降で降りたい」と姫が言い出しました。前日の恐怖がよみがえった様子です。「じゃあ懸垂下降の用意をしよう」ロープが30メートルしかありませんので下まで降りることはできませんが、ザイル回収装置を使えば28メートルまでならば懸垂下降が可能です。ロープ回収のセットをして姫がĄTCをセットし懸垂下降です(楽しいっ~)
「セットを変えるのでテンションかけてっ!」上からジョンの声がしました。テンションを掛けたり、緩めたりを2回繰り返しセット完了。ジョンは反マストで懸垂下降「解除するまでロープをしっかり持ってて!」解除後ロープを緩めると30メートルロープはアッと言う間に手元にロープダウンされました
林を抜け、5合目、4合目と下り3合目駐車場にたどり着いたのは午後4時30分でした。「帰ったどぉ~苗場山制覇~!」近くの川で靴やピッケルを洗い、楽養温泉館の湯につかって次なる山、白根山に向かいました。
この日は谷川岳サービスエリアで一夜を過ごします。荷物の整理をして、谷川岳サービスエリア内にある名水でごはんを焚き、大阪より持参したおかずで車の中にテーブルを出して狭いながらも楽しい夕食を済ませました。雨がポツポツと降り始めました。天気予報では明日は午前中は雨との事。やけくそでふて寝。オヤスミナサイ。
文:美智子姫