Yamatabi-CLUB000
往路 1日目 2日目 3日目 4日目 復路
「台風6号をUターンさせて、爺ケ岳&鹿島槍ケ岳&五竜岳&唐松岳 登頂」
 
●(第5日目・7月21日(木曜日)天候 雨のち晴れ )

今日はいよいよ最終日となりました。乾燥させた合羽を今日も濡らすことになりました。霧雨が降っているみたいです。弁当のゴミを少しでも少なくするため朝食を済ませてから出発することにしました。午前5時30分出発です。食欲不振のオリオンさんが心配ですが顔色もよく出発に影響はなさそうです。小屋の玄関で出発準備をしていると山岳パトロール隊の方が「みなさん、ヘルメットをきちんとかぶっているんですね。牛首はかなり危険ですので早めにストックをリュックにしまい、両手で登ってくださいね。気を付けて」と親切に声をかけてくれて記念写真も撮らせてもらえました。

視界の悪い中ではありますが、「大丈夫!今ガスがかかっていても唐松山頂に到着したら、ガスは晴れるから!ガンバロー!」と何の確証もない姫のお天気おばさんが始まりました。天気になってほしいと期待して念じていれば何とかなるというのです。過去に何度もうれしい場面がありました。信じて行きましょう!ここからが牛首かなと思われる個所には鎖がかけられていて新しい鎖、古くていまにも切れそうな鎖も、ところどころにあり「全身を鎖にゆだねないで岩をしっかりつかんで行きましょう」
タイムスケジュール
 05:30 五竜山荘  出発
 07:50 牛首
 08:45 唐松山荘
 09:20 唐松岳
 10:30 パノラマショー
 10:50 唐松山荘
 12:00 丸山ケルン
13:35 八方池
13:50 八方ケルン
14:30 八方リフト(ゴール)
五竜山荘出発 常駐隊の方々に見送られて 常駐隊腕章と無線機 頑張ろう
最後の休憩 頑張ってるぞー
雷鳥と遭遇
本日の難所 牛首を行く
雨もほとんどあがり岩陰から雷鳥の姿も見ることができました。登山道をこわがりもせず静かに歩いています。五竜山荘を出発してから3時間ほどで唐松岳頂上小屋に到着しました。ここに泊まりリュックをデポして空身で山頂に行く予定でしたが宿泊をしていないこともあってリュックを背負ったまま唐松岳山頂へ行くことにしました。ここで姫が山荘前の道を間違えて歩き、バックすることになりました。ロスタイム10分、「このロスタイムは山頂でガスが晴れる丁度の時間調整やわ〜」そんな冗談を交わしながら、山頂まであと5メートルというところに来て雲が突然流れ始め、地面には人影が写るほどに太陽が照り始めました。いままで足を引きずり気味にあるいていたはずですのに、5メートルを駆け上がりました。登山中に駆け足したのは生まれて初めてです。
唐松岳頂上から見た不帰ノ嶮から白馬連峰
唐松岳頂上から見た剱岳
唐松岳頂上から見た五竜岳
唐松岳頂上山荘から見た唐松岳
「見えた!見えた!きゃあ〜!素敵〜!ホラホラ!」靖ちゃんと涙を流しながら抱き合っているとオリオンさんに「少女みたいに騒がんとき〜」とやんわり注意を受けてしまいましたが聞き入れるすべも知らず騒ぎ続けていました。幸い頂上には我々4人だけしかおらず、貸切大パノラマショーを約1時間堪能することができました。4日間のつらかった行程すべてこの一瞬で飛んでしまいました。おまけに美しい虹まで見えました。
雲が切れて ブロッケン現象のような虹がたつ 
唐松岳頂上にて 唐松岳 デンの記 撮影会
唐松岳頂上山荘 下山路にて 雪道を修理する小屋のスタッフ オリオンさん 下が大変だ
「まだ居たいよね」そんな私たちの気持ちを察してか山々にはガスがかかり帰宅時間が迫っていることにやっとわれに返ることができた次第です。唐松山荘で休憩をし八方池リフト乗り場に向けて下山するのみとなりました。危険場所をすべて通過したことから高山植物との出合いを楽しむことができました。
長野県長野市立信更中学校の生徒たち 丸山ケルン
丸山ケルンまで降りてくると長野県長野市立信更中学校の生徒たちが夏山登山をしておりにぎやかにお弁当を食べていました。「こんにちは!テレビのおひさまで長野も有名ですね」と言うと「ありがとうございます」と何とも爽やかな少年たちでした。八方池あたりはニッコウキスゲが群生しており、あたり一面黄色で染められていました。登山道ですれ違った別の中学校の生徒に、われわれとすれ違い際に靖ちゃんが「くっさっ〜!」と言われたらしく、自分たちの汗臭さを再確認しあわててハッカ油を全身に振り掛けることとなりました(ハッハッハッ〜か!)
丸山から見た白馬連峰
扇雪渓と学校登山の中学生 雪渓を下ります
下の樺(しものかんば)にて 霧に霞む八方池
ゴンドラとリフトを利用すれば気軽に来れることもあり八方池は、カメラを首からぶら下げたハイカーの方たちでにぎわっていました。木道を下り、やっと八方池山荘前でゴールとなりました。ゴンドラとリフトを乗り換えて山麓駅に戻りました。タクシーを利用してJR白馬駅まで行き、オリオンさんが山小屋毎にスタンプを押して下さっていた葉書を持って観光協会に入り記念のピンバッジをもらいました。JR大糸線の白馬駅から信濃木崎まで乗車し最初の日に利用したユースホステルにもどることができました。預けておいた車も無事で〜す。5日ぶりの汗と垢を落とし、ここで登山終了という気分になり、まずはビールで乾杯!あとは部屋にて山談義となりました。
ゴーーーール  リフトで山麓へ下ります リフトに乗って
今回の4日間の山行中、爺ケ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳において種種多様な高山植物と出合いました。

クロユリ コマクサ チングルマ ハクサンイチゲ カラマツ草 ウルップ草 イワツメ草 イワキキョウ リネン草 コバイ草 ミヤマオダマキ ハクサンフーロ ハクサンシャクナゲ キヌガサ草 エンレイ草 コケモモ マイズル草 ニッコウキスゲ ミヤマタンポポなどの花々との出合については「花との出合い」編でお楽しみいただきます。
木崎湖は、長野県大町市にあり、仁科三湖(青木湖、中綱湖、木崎湖)のうちのひとつで最も南側に位置する湖です。近くの葛温泉からお湯を引き木崎湖温泉を擁し、湖畔には総合温泉施設ゆーぷる木崎湖があり、
木崎湖温泉の湯をふんだんに使ったさまざまな風呂や温水プールがあるといいます。
ユースホステル到着時間は16時30分です。

                            白馬山麓 レイクサイ ドユースホステル 泊
  オリオンさんのこの日の感想
五竜山荘を出て岩場を通りましたが、その前々日のキレットよりは楽。
唐松岳に登るとき霧や雨が晴れて、上に行くと剣岳や五竜岳が眺められたあの景色が最高でした。八方池を下るコースは、結構つらかったけどゴールできてよかったです。
  オリオンさんの全体を振り返って…みんなの広場より転載しました。
今回、私の名前を冠した山ということで参加しましたが、「何とか無事に帰ってこれました!」というのが、第一声です。途中、危険を感じる箇所が一杯でした。
私が「これはヤバイー!」と感じたのは、太目の針金?(実際は鉄棒なのですが、ちゃちっぽい)で作られた垂直の梯子を降りた時です。別の所にあった岩に付けられた一本丸太の上を横方向に歩いた際も、「エェーッ、ここを渡るのー!」と思いましたが、万が一に丸太が外れても、一応、スワミベルトで結ばれた鎖があるので、二重の安全が担保されているというように感じられます。しかし、垂直梯子で降りる時は梯子のみに全身を委ねているので、万が一にですが、梯子が外れた場合には、13キロ強のリュックを背負っていて重心が後ろにあるので、下の谷底に真っ逆さまということになります。もう1つ、この垂直梯子の危うさは、降りたところが、崖の中間にある幅の狭い岩棚の通路ということです。気をつけて降りた後、もちろん、鎖は渡してありますが、横歩きでそこを抜けました。何人もの人が通過されているということで、大丈夫だろうと信じて降りましたが、本当に危険な通過ポイントでした。
後、困ったのは、メガネのハンディです。霧雨の様な雨なので、すぐに視界が真っ白になり、何も見えません。やむを得ず、メガネを外していましたが、そのしわ寄せが夜寝てからの視神経疲労と思われる頭痛となり、吐き気までして大変でした。頭痛薬を持っていなかったのですが、目薬を持っていたので、目薬を点したところ、少し楽になったようにおもいました。
最後に、帰ってからのことなのですが、右手の小指の先が痛くて腫れてきたことです。たかが小指なので、そのままで様子見しようかと思ったのですが、土曜日は午前中のみの診察なので、近くの外科に行きました。塗り薬と抗炎症薬をもらって、痛みも少なくなったので、もう大丈夫です。ひどくなったら、爪を剥がすことになるとのことで、早い目に行って良かったかなと思っています。手袋をしていたのですが、岩を掴むのに指先のない手袋で、尖った岩で指先を傷つけた様です。

もう1つ、失敗がありました。デジカメの電池が切れたことです。予備電池の1つが充電されていなかったことと、充電用のアダプタを忘れたので、電池切れ〜、バチバチ撮りが出来ませんでした。後半、姫さんのカメラを借用しました。
いろいろありましたが、流れている雲(ガス)が切れた時に現れた山々、雲海、虹など、素晴らしい眺めとの出会いは筆舌に尽くせないものでした。きついところを頑張ってきたことにより、これらの出会いになったと思っています。
  靖ちゃんのこの日の感想
最後の日は、前の日の天気予報では、朝から晴れる感じでしたので雨具を片づけてたんですが、朝から雨が降り、がっかりです。雨具をきて頑張りました。
唐松の小屋に行くまでに、体力の限界を感じ、めっちゃしんどかったです。
途中に荷物を置いて頂上に上がると、だんだん晴れて視界が素晴らしくて、虹も出て雲が切れる様子が嬉しくて、ぎゃあぎゃあ、わぁわぁ子供みたいにはしゃぎました。
本当に素敵で、しんどいのも吹っ飛びました。下りは、そんなにしんどくはなかったです、高山植物もたくさん咲いていて、とにかくすごくきれいに咲き乱れていました
  JONのこの日の感想
雪の五竜唐松間は2度山行しているのですが、夏山は初めてです。白岳、大黒岳は冬も夏も大きな変化は感じませんでしたが、牛首と呼ばれる難所は、アイゼン、ピッケルが確実に使えたら積雪期のほうが楽に感じました。
唐松岳では四方の峰峰がくっきり見えたのが印象的でした。とくに白馬連峰が素敵でした。早い機会に通過したいと考えています。
唐松岳頂上山荘でハーネスを着けクライミングギアをラックにつけたガイドさんのような人と出会いました。「いまから生徒を迎えに行ってきます」 そういい残して小屋から消えていかれました。ガイドさんなのかそれとも学校の先生なのでしょうか、いずれにしても人を指導する立場にある人は確実な装備と技術で接しなければならないことを学びました。
  姫のこの日の感想
唐松岳山頂での快晴は信じてもらえないかもしれないほどの奇跡でした。
山頂から真下に見える不帰の剣のやせた馬の背が魅力的で来年はぜひ実現したいです。
今回のような難しい山は、1歳でも若い間に行っておかないと、眺めるだけになってしまいそうです。ガンバロ


美智子姫:記    写真/GPSデータ:鹿島秀元000
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