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樹令3000年以上、太古よりひっそりと息づく縄文杉や洋上のアルプスといわれる宮之浦岳、緑と清流が織り成す神秘の島、世界遺産・屋久島に出かけました。決してツアーでは体験できない屋久島の魅力に迫り、多くを堪能してきました。これらはそのささやかな記録です。

 第6日目(10月26日・火曜日)0「天気・晴れ」
広島グループが午前4時を過ぎると出発の準備のためにガサゴソと起き始めたので我々も支度に取りかかりました。
温かい紅茶とパンで朝食を済ませ、先発隊の広島の人たちを午前5時に見送り、使用したスペースを綺麗に掃除。
我々は夜明けを待って出発します。東京の大滝さんともここでお別れです。安全に良い山行を続けてくださいと声を掛けます。
ジョンもかつてはソロ山行を楽しんでいただけに単独行者の気持ちは良くわかるようです。今はもう体力も落ち歩行速度も落ちたためにゆっくり登山を楽しんでいるようです。

午前6時10分に「どなたさまもお先に!」と声をかけ、新高塚小屋に別れを告げ、東京の大滝さんと別れの挨拶を交わし、出発することとなりました。幸いにヒメネズミの被害はなく、楽しい一夜でした。
新高塚小屋を出発
霧が晴れると宮之浦岳だくっきりと顔を出しました
平石の岩屋です。ビバーグにはちょうど良い場所です
永田岳もくっきり 小高塚山も綺麗です
栗生岳を過ぎると宮之浦岳は近い
遠くでヤクシカの啼く声がしている中を雨こそ降ってはいませんが霧が濃くて合羽を装着しての出発となりました。5時に出発した人たちは、暗闇の木の根道を上手に歩けたのだろうかと人ごとながら心配になりました。空は青く、雲ひとつなく、山々の緑と奇形をなす岩々の風景を楽しみながら「第1展望台、第2展望台、平石」と疲れも見せず順調に通過し、午前8時55分、「焼野三又路」で広島グループを追い越しました。このころになると6日ぶりに太陽も出て「屋久島にも太陽が出るんやね」と感動しながら、午前9時30分には宮之浦岳頂上に到着です。勿論「デンの記撮影会」を済ませ、三角点と熱いキスまで交わしちゃいました。
宮之浦岳(1936b)は、屋久島中央部にそびえる山で、九州地方の最高峰と言われており日本百名山のひとつです。山域は、ユネスコの世界遺産「屋久島」として登録されていて、 永田岳(1886b)、黒味岳(1831b)とで屋久島三山と言われています。宮之浦岳流水は名水百選に選定されていて美しい水が流れており、至るところで美味しい水と出会うことができました。宮之浦岳は、いくつかの資料で「西日本の最高峰」と言われていますが、正しくは四国の石鎚山(1982b) が151b高く、西日本最高峰であります。
オリオンさん ジョン ふかっち みまっち
九州の最高峰 海上アルプス 宮之浦岳到着
屋久島では、麓より見える山を「前岳」(モッチョム岳・愛子岳等)、麓より見えない山を「奥岳」と呼んでおり、宮之浦岳は奥岳の一峰で屋久島最高峰です。海岸沿いの人里からは、姿を望むことが出来ず、山の上か海上からしか見ることが出来ません。地質は花崗岩からなり、山上では侵食された奇岩が多く見られます。植生は山頂部は風衝草原で、その下に屋久杉の多い樹林帯が広がります。(風衝草原とは高山の中でも風あたりが強く、積雪の少ない尾根部のこと)宮之浦集落の山岳信仰(岳参り)の山として登られたので、「宮之浦岳」と名付けられましたそうです。
やまたび倶楽部名物 「デンの記撮影会」
宮之浦岳を制覇した後は投石平、投石の岩屋、黒味岳分岐、と短い休憩をとりながら岩場の下りをロープを伝いながら、またある時は木の根道や木道をツルツルとすべらぬ様に天国の様な美しさと言われる花之江河に向けて、安全第一に歩いて行きました。
花之江河到着は午後1時20分、多くの観光客がテラスに腰を下ろして美しい景色にみとれていました。予想より早く到着したことから、長めの休憩を取ることにしてそれぞれが行動食を頬張り、写真撮影、美しい景色を楽しみました。休憩中に、ガイドが近寄ってきて「ストックにプロテクターを付けて下さい。木道に穴があきます!」と注意を受けました。(プロテクターの必要性は充分承知していますが使い分けも必要です。木道以外の場所ではプロテクターを外していないと人間が危険です)ガイドさん!「木道の上はプロテクターをつけて下さいね」って、もう少しやさしく注意してもらえませんか。
花之江河から淀川登山口までは一気に下りだとガイドの話を小耳に挟みましたが、何の、何の、アップダウンたっぷりの道でした。トーフを切った様な形の岩場が見られると言う「高盤岳展望所」や「樅の大木」「杉の大木」などがあるらしいですが看板がなく、たぶんこれであろうと言うことしかわかりませんでした。(ガイド付きでないとわからないようにしているのかも知れません)川の流れが耳に入る様になると、当初の計画で泊まる予定であった淀川小屋に到着しました。美しい川の流れのそばに建つ小屋には、多くの宿泊者がいる様子で、翌日に宮之浦岳へと向かう予定の様です(天気だといいね)
花之江河をあとに 淀川架橋を渡ると 淀川小屋です
タクシーの迎えを午後5時に依頼しているので、何とか間に合いそうですが、既に10時間も歩き続けているため、みんな相当疲れています。ちょっとした段差につまづき、「おっとっと危なかった〜」の声があちこちから聞こえ始めました。「もう少しでゴール、気合い入れて行こう」と声をかけ、アスファルト道がチラリと見えました。淀川登山口です。午後4時15分到着です。登山者を見送ったガイド達がミーティングをしていました「我々はいかに早く登山者を下ろすかと言うことが使命だ」と話しているのが聞こえました。(果たしてそれでいいのかと疑問に感じました)

ドロドロの登山靴を洗っていたらお迎えのタクシーが30分早くやってきました。「下山が早かったですね〜」と驚いておられました。
帰り道の紀元杉周辺で、我々が常念岳に登っていた日に、淀川小屋上空でヘリコプターが脱落した事故の捜索がされておりました。
淀川登山口に到着 帰路のタクシーの中から太忠岳の天柱石がくっきり

宿に帰るとお風呂が沸いており、何よりものご馳走と、疲れた身体を癒し、この夜は全ての予定が終了したことを祝い、お酒もチョッピリ出て、賑やかなパーティとなりました。屋久島名物の首折れ鯖の刺身もあり、それぞれに山の思い出や楽しい歌声も響き、遅くまで屋久島の夜を楽しみました。


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文:美智子姫00000