「錦秋の常念岳」は胸突き八丁・口八丁・おまけに空は姫天気

第3日目(9月28日)
 出発予定時刻の午前5時30分に合わせて、4時30分ごろ目を覚ますと常念小屋のトタンを叩く雨音に驚きです。外は大粒の雨。とても午前5時30分には出発できそうもありません。天気予報によると9時過ぎには雨が上がるとのことですので、常念岳の山頂に上がったころに雨がやむことを祈りながら午前8時20分の出発となりました。
出発時間を遅らせたことで徳沢園までの長丁場は無理と判断をして、徳沢園に予約取り消しの連絡をいれました。併せて急遽、蝶ケ岳ヒュッテに予約をいれると「こんな雨の中、宿泊ですか?」と呆れられてしまいました。現在、常念小屋にいることを告げると、じゃあ気を付けて来て下さいとのことです。
常念小屋で朝食用のパンとスポーツドリンクを受け取り、小屋を後にすることにしました。天気は霧雨です。小屋から2時間ほどで常念岳到着です。
小屋の階段を登ると常念乗越、ここで簡単なミーティングを終えて出発です。
常念岳の山頂まではガレ場と石積みの連続です
こんな地形を歩くときは姿勢を良くしてリズム良く歩くことが大切です
常念岳は、飛騨山脈(北アルプス)にある標高2857b山で日本百名山のひとつです。日本百名山の登山記録がまたひとつ増えたことになります。天気が良ければ安曇野からは全容が望め、ピラミッド型のその形は誰もが常念岳とわかります。なお、ホテルのあった安曇野から眺められる北アルプスは、常念山脈が主役で、穂高岳、槍ヶ岳といった山々は、常念岳、蝶ヶ岳、大滝山といった常念山脈に隠れ、雨の日も天気の日も見ることができません。常念岳の名前の由来は資料によると、坂上田村麻呂がこの地に遠征した際に、重臣である常念坊がこの山へ逃げ込んだとされることから付けられたといいます。なお、初夏になると、山体に常念坊の雪形が浮かび上がるのがみんなの知るところです。
前常念岳への分岐
頂上に向けて最後の登りです
雨で視界はありませんが常念岳の頂上です
常念岳山頂を楽しんだあとは、蝶槍に向かいます。
ここからしばらくは登った分だけ下るようになります。岩稜とガレ場とザレ場の連続になります。滑らないように一歩また一歩
。岩稜帯のヤセ尾根を400m下ってコルへ、そこから60m上がって2512ピークを踏みます。またまた50m下り、ゴロゴロ岩の上を石飛をしながらしばらく水平歩行をして、樹林帯の中に入っていって130m登って2592ピークに達します。ここにはナナカマドや白樺が色付き秋の様相を見せてくれます。今まで歩いてきた景色がうそのようです。草つきの道を140m下って池の東側を巻いて2462のコルに降り付きます。この辺りはナナカマドの群生地です。ここでしばらく休憩。

蝶槍を過ぎると縦走路は岩稜帯の中を下ります。このころから前方に沢山のケルンが積まれた緩やかな台地が顔を覗かせます。266.4.3ピークです。
ここから地形は緩やかになり蝶ケ岳が見えてきます。
常念岳からは岩稜とガレ場とザレ場の連続
この辺りで一羽の雷鳥が飛び出してきましたがカメラに収めることはできませんでした…残念
ここから樹林帯の中のガレた道を蝶槍を目指して一気に上がっていきます。木の根を掴み、木の根を踏み、岩を掴み、浮石を踏んで、ゆっくりと登っていきます。樹林帯を抜け出ると岩峰が顔を出します。ここで列詰めをして蝶槍の頂上へ。
蝶槍の頂上は岩稜帯で変化があり登っていても楽しくなります。雨も上がり風が出て雲を蹴散らしてくれます。槍ヶ岳、穂高連峰がクッキリと見えました。感動に浸っていると「予定より遅れているので小屋へ急ごう!」とリーダーに押され臨時宿泊となった蝶が岳フュッテへ急ぎます。
列詰めをして蝶槍へ 超槍からはなだらかな266.4.3ピークが見えます
超槍からコルに下っていき振り返ると蝶槍の大きな山塊が聳え立っています
なだらかな266.4.3ピーク雪の頃は方向を失いそうです
266.4.3ピーク。この辺りで青空が見えるようになって来ました
穂高や槍も時々雲間に姿を現します ここで「穂高よさらば」を大合唱
266.4.3ピークをくだり 谷底に梓川を見ながら 横尾への分岐を分けると 蝶ケ岳ヒュッテはすぐそこです
ここを登れば瞑想の丘 蝶ケ岳ヒュッテ前の瞑想の丘にある方位盤
途中「瞑想の丘」と名付けた展望指示板横を通り午後4時、蝶ケ岳フュッテ到着、何と8時間もかかった事になります。最初の予定の徳沢泊まりだとビバーク間違いなしの状態です。「変更して良かった〜」
今夜はビールで乾杯! 今夜はここでぐっすりです
小屋でのチェックインをする前に乾燥室に直行し、雨と汗に濡れた衣服やリュック、登山靴を乾かし部屋に案内されました。受付時に朝の食事はシューマイ・ウインナー弁当でなく、おにぎり2個と漬け物タップリでいいからと特注をし快諾をえることができました。どこの小屋でもそうですが朝食用弁当は何故あんなにおかずタップリなんだろうか不思議でなりません。おにぎり、漬け物、焼き魚があれば上等。食べ残しの弁当をリュックの中に終日入れて歩くのはどうも気になります。平日と雨が重なり宿泊客は私達とあと2人組がいるだけです。敷きフトンは2人で使用する仕組みになっており、上布団だけ各自に配布されるシステムとなっています。案内をしてくれた人の良さそうなスタツフに「部屋が沢山空いているので、まさか、隣に別の人が来ないよね〜」「ハイその様に配慮します」安心してくつろぐことにしました。目の前に、蝶ヶ岳(2664b)が見えますが、帰路にここを通らねば上高地に出れないため、頂上を踏むのは翌日に回し、夕食までの時間を荷物の整理をすることにしました。すると何としたことか単独行の男性が同じ部屋に入ってきて、リュックの荷物を所狭しと並べだしました。突然、その場から姫が消え次に戻ったときは小屋のスタッフを連れて戻っていました。「配慮不足で申し訳ありません。お客様!すみませんが別のお部屋にご案内します」と先ほど到着した単独行の男性と共に消えて行きました。「何を言うたんや? 」とみんなけげんな顔をしています。受付のスタッフに「貴方がお客様だとして、今の状態が快適かどうか聞いただけ〜」と涼しい顔をしています。一瞬の出来事でしたが、ジョンが他の男性と一夜を共にしなければならない羽目になるところでした。(但し満室、悪天候等の時はこの限りにあらず)


GPSデータ
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文:美智子姫00000 写真・GPSデータ提供:鹿島秀元