Yamatabi-CLUB000
初日:高野山〜萱小屋 2日:萱小屋〜三浦峠 3日:三浦峠〜七色分岐 4日:七色分岐〜熊野本宮 コロのお話
三浦峠〜西川…(十津川バス)…蕨尾〜柳本橋〜果無集落〜果無峠〜七色分岐

夜中にトイレに行くために目を覚ますと、コロの目がキラリと輝いていました。朝を迎え、さすがに帰ってしまっているだろうとテントから出ると、尾を振るコロがいました。「おはよう!帰らへんかったんか?」人間の朝食の心配よりも犬の餌の心配をするなんて前代未聞だと思いつつも忠犬ハチ公の様な愛おしさに、ご飯の上にメザシを小さく刻み差し出すと美味しそうに食べ始めました。
我々も同じ食事を取り、温かい紅茶を飲みたいところなのですが、タンク水漏れ事件があったため、それもできずで出発準備をすることにしました。
「コロ!峠でお別れやで!家に帰りや」 そんな言葉をかけて今日のコースは下りが多いことから膝を痛めないように細心の注意をはらいながらトップを姫が歩くことにしました。どうもコロの事が気がかりで振り向くと何とまだついて歩いているではありませんか。「そうか〜西中集落の母親に会いたいのか」と私達も別れづらくなっていたため一緒に歩くことを喜びと感じて歩いて行くと谷を流れる水の音がしてきました。
「顔を洗って歯磨きをしよう」 リュックをおろして久しぶりに水に触れることができました。コロは昨夜から喉が渇いていたのでしょうか。谷から流れる水をペチャペチャと音をたてながら美味しそうに飲んでいました。古屋倉跡にさしかかったとき、ジョンがGPSを落とした事に気が付きました。さっきの洗顔場所の様です。
リュックを置き、今来た道を少しだけ戻るのですがコロもまた一緒について来てくれました。リュックはないと言いながらも登りの道が身体に少しきつく感じて
「なぁ、ここで待っていようか?」そうコロに言いながらジョンがGPSを片手に戻ってくるのを途中の岩に腰をかけて待っていました。その後はリュックにしっかりと固定し矢倉観音堂、西中バス停へと、緩やかな道を快適に歩くことができました。
タイムスケジュール
第3日目(4月11日・月曜日)
三浦峠 06時00分 歩行開始
古屋倉跡 06時40分  
出店跡 07時15分  
矢倉観音堂 08時25分  
西中バス停 09時10分
西中バス停 10時10分 発車
柳本橋まで、車道のためバス利用
果無登山口 10時55分 通過
果無集落 14時50分  
果無峠 14時50分  
観音堂 13時50分  
三十丁石 16時00分  
七色分岐 17時00分
テント泊
三浦峠を出発 谷川の水で洗顔 ただひたすら下ります 平らな尾根筋は快適
果無峠遠望…まだあの峰を越えていかなければなりません
五輪の塔 しばし休憩 コロも一緒 矢倉観音堂
観音様 西中集落到着 集落の道はわかり辛く 念入りに見ます
西中バス停界隈
西中の集落に出た車道で1台の軽トラのおじさんが「お前また来たのか?」とコロに話しかけてきました。「おじさん、この犬知っているのですか」と今までのいきさつを話し、何とか飼い主に連絡をしてほしいと頼むと「なぁに大丈夫さ、いつもの事だから」と言って、その場を去って行きました。
小さな雑貨屋を覗いてみると、ちくわが売っていました。コロのご褒美にちくわを買い、道端に腰を下ろし、十津川行きのバスを待つことにしました。さきほどの軽トラのおじさんが戻ってきて「ほほぅ〜コロはリラックスしてるのぉ、腹を見せてるやないか〜」そう言われて見ると、姫に寄りかかり股を広げおっぱい丸出しの姿で寝ころんでいました。五百瀬集落から西中集落まで13qあります。犬とは言え疲れたのでしょう。西中バス停から昴の里までは歩道のない車道歩きとなるためバスを利用する事にしました。コロに別れを告げ、十津川村営バスに乗り込みました。
私達が一番つらくてしんどかった三浦峠越えコースを共に歩いて励ましたくれたことに感謝をしコロとの別れを惜しみました
いよいよコロとお別れです 奥に入ったバスを迎えに 十津川バス 蕨尾を目指します
バスの乗客は私達3人だけです。運転手さんが気安く話しかけてくれたので、昴の里付近で食料の調達がしたい事を告げると、「蕨尾に行けばお店があるからそこで降りれば良いですよ」と優しく教えてくださいました。蕨尾のバス停を過ぎ食料品店の前でバスを停めてくれました。
豆腐、漬け物、天ぷら、巻きずしなどを買い込み、ザックはいっぱいです。眼下に広がる湖面はダム湖特有のエメラルドグリーン色していて限りなく美しく、水面には桜の花ビラが浮かび、さらに美しく感じました。車道を歩き、工事中の柳本橋を渡って、小辺路ルートに再び入ります。
十津川のダム湖 ダム湖特有の色 小辺路の入り口 小辺路の果無口
小辺路の案内板 果無の集落へ向かいます 石畳の道を 果無集落の標識
静かな集落 果無の里
大きな道標に従い果無登山口にさしかかりました。ここからは三十三観音に見守られながら果無峠を越えるコースとなります。また急な登りが続きそうです。果無集落までは石畳の登りが果てしなく続き(だからハテナシか?)三十三観音の立て看板を頼りに登っていくと、その瞬間、ここは天国かと思うほどの美しい風景に到着しました。
果無集落です。石畳の道を挟んで手入れの行き届いた古い民家の縁側には70歳ぐらいの女性が2人、少し離れた庭先にはその母親と思われる90歳ぐらいのおばあちゃんが立っていました。
 
「どこから歩いて来られたのかね?まあ水でも飲んで休んで行くといいよ!」そんなやさしい言葉に甘えてりっぱな水飲み場から溢れる清水をいただきました。今まで谷の水を沸騰してでないと口にすることができませんでしたので何よりのご馳走でした。ジョンが「あのぉ・・・この集落に酒屋はありませんか?」と尋ねると70歳ぐらいの女性が「酒屋どころか、ここは人間もいませんで〜」と大笑いされてしまいました。バスは1週間に1度、月曜日だけ走っているとも話してくれました。この女性達はここに住んでいるわけではなく年老いた母親の安否を訪ねて来た様子で子供の頃には麓の学校まで通ったことなどを話してくれました。ねんごろに礼を述べ石畳を上がると、そこもまた別世界の様な枝垂れ桜が咲き誇り、民家の玄関先では車椅子に座るおじいちゃんが美しい桜を眺めていました。
しばらく歩くと水仙の香りが風に乗って漂ってきます。良い香りの方向を見ると斜面を利用した畑いっぱいに水仙の花が植えられていました。腰の曲がったおばあちゃんが杖をついて畑の中を歩いていましたので
「きれいですね〜おばあちゃんが育ててるのですかぁ〜?」と大声をだすと、頭を大きく縦にふり満足げな笑みを返してくれました。こんな美しいところで人生終われたら素敵だろうなと思わずにはいられませんでした。
果無から八木尾は三十三観音の巡拝地です
果無集落を過ぎると、急な登りも多く道も狭く、崖の様なところもあり緊張が走ります。三十三観音は33番、32番31番と、八木尾集落にある1番までの間、さまざまな形で立っていました。手を合わす観音様や考え事をしている観音様、琵琶の様なシャモジの様な物を抱える観音様など見ていてとても心穏やかにさせてくれました。観音堂で水タンクに水を補給し、手元にあるペットボトルにもたっぷり水を補給できました。荷物は重くなったものの三浦峠での水の不安は解消できました。出発してから8時間30分、やっと果無峠に到着しました。展望もよく「デンの記撮影会」も済ますことができました。
果無峠に到着です
果無峠で果てた姫 いたって元気なポチさん 熊野川を見ながら テント場に到着
今夜はここら辺でテントを張りたいのですが、風がつよくもうしばらく下って場所を探すことにしました。岩のゴツゴツした狭い下り道は荷物が重いため膝にズッキン、ズッキン堪えます。もう体力も限界に近いため早くテント場を見つけなければなりません。果無峠から急ぎ足で1時間ばかり下った所に三十三観音の9番があり七色分岐が目の前に見えている場所を宿泊場所と決めました。先客がテントを張ったの形跡が残っていました。まずテントを張り、雨対策のためツエルトにリュックをかぶせ、手間でも大きな木にロープで縛り付けました。この手間が夜中の強風に耐えられる結果となったのです。
 
柳本橋のたもとで仕入れた食料で豪華な夕食です。水もたっぷりあるため紅茶もいただけます。翌朝のお茶も沸かすことができました。
「明日はアッという間に熊野本宮に到着やから出発は7時でええなぁ」 もう出口が見えたことから心の余裕ができ、今までのコースを振り返ることができました。風が出てきたため、もう一度ツエルトの荷物を確認、ゴミ袋が飛ばされないようにしっかりと縛りテントの中に入りました。時間にして午後10時を過ぎた頃でしょうか風の音が激しくなってきました。
「峠の広場にテントを張っていたら、テントごと吹き飛ばされてたなぁ」それほどに強い風でトイレに出たジョンが寒さに震えながら戻ってきました。続いてポチもオシッコに出て同じ様に震えて戻ってきました。姫はその姿を見て、とうとう朝までテントから出ることができませんでした。
 
ゴオーッ、ゴオーッと風のうなりで一睡もできず不安なため「なぁもう寝てる?起きてる?」と声をかけるのですがジョンもポチも風の音に負けないぐらいのイビキの音をたてて深い眠りについています。仕方がないので両手の人差し指で耳栓をして、まんじりともしない朝を迎えました。風の音が消えウトウトしたら、もう朝でした。
前半の行程000000000000000 000000000000000000後半の行程
本日の歩行距離24.0q、所用時間9時間00分

初日:高野山〜萱小屋 2日:萱小屋〜三浦峠 3日:三浦峠〜七色分岐 4日:七色分岐〜熊野本宮 コロのお話
文:美智子姫00000 写真/GPSデータ:JON