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宿の小池さんに見送られて | あの遠い峰を越えます | 貧乏沢の入り口にて | |||||||||
天丈沢の出合いから上流に進み北鎌沢の出合いを探しますが、ここがそうだと言う確信に触れる場所が見あたりません。ここで間違えば大変なことになります。しばらく河原を歩いていると石を積み上げたケルンを見つけ「ここや!。間違いない」そう確信し北鎌沢左俣の出合いまですすみます。谷に流れる水は冷たくて、昨日歩いて汗臭くなった身体と衣類を洗い、朝食をとることにしました。 | |||||||||||
雪渓が大きく口を開けていました | 涸滝を下ります | 雪渓のトラバース | |||||||||
滝をアンザイレンで下降 | 大滝 | ↑天井沢 ↓岩小屋 | |||||||||
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北鎌尾根への道しるべを何者かが無断で取り付けていたらしいですが。経験不足の登山者の入山によって遭難事故が多発することを恐れて関係者が取り外したと聞きました。気合いも充分に入りDVDで予備知識をいれていた「左から来た沢には入らず右にいく」を忠実にまもり順調に登っていきました。北鎌のコルの草付が見え隠れする頃右からの沢が合流したのです。お互いが迷わず「右」と判断し、右をとりました。ハンガーピンは打ってある、ロープシュリンゲは下がっている、テープは巻いてある、ゴミは落ちている、人の滑った様な跡がある、草が倒れている。そんな情報を読み取りながら、1時間以上登った頃、全く道がなくなったのです。 | |||||||||||
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「その道が北鎌尾根や。よく見て、道が続いているやろ」 「続いてません。道らしいのは此処だけです」 「そんなことは無い。間違いなく北鎌尾根や」 よく見ると北側にこんもりとしたピークが見えます。 「あれがP6や。南にとると北鎌のコルや。やっと脱出したな」 南北に延びる尾根筋に道はありました。ただハイマツによって隠されていたのでした。 時計を見ると3:45だった。2時間ほど無駄な動きをしたわけです。 北鎌のコルよりも100メートル近く上に登り無駄な動きをしたことになります。北鎌のコルに下るのには、木の根を掴み垂直に降りていくような場所もあり大変でしたが、どうにか北鎌のコルに辿りつきました。コルにはデポした荷物があり、ヘリの救助があったらしい形跡が伺えます。 |
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我々がいま無事にコルに立てていることに喜びを感じつつも更に明日のコースを考えて少しでも進もうということになり北鎌のコルより少し先でテントを張ることにしました。北鎌沢の出発から6時間以上も経過してしまいました。長袖のシャツを着ていたのですが「暑さ」か「傷」かを選択した時、長袖シャツを脱いだため腕はひっかき傷が無数に出来て血だらけです 「これも北鎌の勲章やな」 テントサイトを見つけた安堵からか、やっと冗談が出るようになっていました。時間は5時になりかけています。ここでビバークをしようということになりテントを張る場所を探しますが蚊の大群に迫られテントを張るとすぐ燻すための薪拾いをし、アルファ米ごはんとメザシと柴漬けと海苔の豪華メニューで今日の無事を喜び合いました。午後7時をすぎると意識がなくなるほどに爆睡をし満天の星を眺めたのはそれから7時間あとの午前2時でした。 |
【パートナー・JONの声】 | ||
北鎌沢右俣の上部で、道迷いをしてしまった。右に有った沢の大岩に打ってあったハンガーと残置シュリンゲを信用したためだが、あの場所に何故あったのか。何故突然ルートが消えてしまったのか。迷い込まなければ何の問題も無かったのだが、残置されていたストック2本とタオル、所々に落ちていたゴミは何なのか。ストックの持ち主は無事に脱出できたのだろうか、それともあの近くに眠っているのだろうか。 地図読みを正確に行い、正しくルートファインディングをしなければ同じミスは発生する。大いに反省するところである。 |
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