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9月4日(金曜日)。 朝、空は重く曇っているものの幸いな事に雨は上がっています。ザアザアと聞こえていたのは沢の音のようです。 どんよりとした空が好天に転じることを祈りながら、朝食を済ませ、身支度を整え、折立登山口へむけて午前6時30分にロッジを出発しました。 まだ見ぬ赤木沢への期待は大きく膨らみ、車の中は大音量で運転の妨げになるのではないかと思う程、みんなの心ははずんでいました。標高1350メートメルの地にある折立駐車場に車を停め、いよいよ登山開始です。 |
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折立ヒュッテ前にて | |||
お昼までには太郎平小屋に到着する予定で、サスケ先生を先頭に、ゆっくりと歩を進めて行きます。このルートは取り付きから急登が始まります。ゆっくりゆっくりと歩を刻んでいきます。見通しが悪く、ただ足元を見ながら歩いていきます。 | |||
折立登山口を出発です | 折立ヒュッテ前を通過 | いよいよ急登にかかります | ゆくりと刻んでいきます |
この辺りが最後の急登です | 順調に登って行きます | ここから樹林帯に別れを告げます | 標高1870mの三角点 |
標高1870mの三角点をすぎ、樹林帯を抜けて標高2196mの五光岩ベンチに差し掛かる頃、天気は晴に変わり、、空は青く、森の緑は素晴らしい景色に変わりました。左手には薬師岳がくっきりとその山容を現しています。右手の頂に避難小屋とケルンが見えます。左手に少し下ってさらに登ったところが頂上です。 「明後日、あの頂に立てればいいなあ」 全員そう願っていたに違いありません。 冷夕谷キャンプ場でみんなで準備をした大きなおにぎりを頬張り、幾度かの休憩を摂りながら太郎平小屋(2330メートル)に到着しました。 |
樹林帯を出て見晴らしもよく | 石ころ道が続きます | 皆さん軽やかです | リードのサスケさん |
やっちゃんも元気 | みまっちも頑張ってます | ポチも姫もルンルン | 天気もよくなってきました |
太郎平小屋が見えてきました | 小屋はもうすぐです | 太郎平小屋到着 | 太郎平小屋 |
太郎平小屋受付に、明日宿泊する事を告げ、外のベンチで昼食タイムです。小屋の正面には薬師岳、背後には太郎山、東の方向には槍ヶ岳が聳えています。このコースは、湧き水が豊富で水分補給には困ることはありませんでした。ここで水を補給して、薬師沢小屋を目指します。 小屋横からまっすぐ行けば北ノ俣岳、赤木岳を越えて黒部五郎岳方面に行き、左を取れば薬師沢小屋から雲ノ平、高天原方面へとつながります。 私達は左にとって、おおよそ2時間半ほどの所にある薬師沢小屋を目指します。 薬師沢左俣出合までは急な傾斜を下り続けます。そこからは更に登ったり、下ったりを繰り返しながらさらに谷底にある薬師沢小屋に向けて、下り続けます。このあたりからトツプは姫に交代となりました。 途中大小無数の沢を越えただひたすらに歩き続けます。 太郎小屋を出てまもなく追い越していった富山市のパーティはもう小屋に着くのかなあ。左俣で追い越していった3人組のパーティはどのあたりまでいったでしょうか。そんなことを考えながらリードしていきます。 |
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太郎平で記念撮影 |
ここは左にとります | 太郎平小屋に別れを告げて | ガラガラの急坂を下ります | いくつかの沢を越えて |
ここ数ヶ月というものリーダーから徹底的に鍛えなおされました。 「荷物は13kg以上背負え」 重い荷物を背負って歩荷もしました。15kg弱で穂高も登りました。 ザイルを結んだまま六甲山系を歩き回りました。歩く速度が遅いと言っては引きずり倒され、早いといっては後ろからザイルを引っ張られ、岩場でいいかげんな登り方をしていたら叱責され、沢登りではほぼ垂直に近い岩壁を登らされ、泣きの涙でしごかれて来ました。 そんな苦しい思いが蘇って来ます。 「足が痛い」と言ったら「歩き方が悪い、山を止めろ」と怒鳴られ、ロープの操作が悪いと「メンバーを殺す気か」と罵声がとんでくる。ガチャを足元に落とそうものなら「死ぬ気かー」目から火が出るほど怒られました。 「ロープ操作やフィックスで絶対にミスをするな、やり方は一つだけでいい確実に覚えろ」 「何が起こっても対処できるようにしろ」 どうしてこんなにしごかれるのか解りませんでしたが、今メンバーの前を歩いていて少しだけ解ったような気がしています。 メンバーから信頼されなければリーダーは出来ないということ、もちろんサブリーダーも出来ないということ。それには少しでも体力や技術を身につけなければならないと言う事を。 |
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薬師沢左俣出合で休憩 |
天気が悪くなり急ぎます | 濡れた熊笹の中を | 薬師沢小屋です | 薬師沢小屋到着 |
間もなく薬師沢小屋に到着かと言う頃、空は一転暗くなり、雷鳴が轟き、いつ雨が落ちてきてもおかしくないような天気です。そんな中を急いで下っていきましたが、案の定、雨と雷の洗礼を受けることとなりました。カミナリの音がすると姫の足が速まります。北鎌尾根で落雷寸前だった恐怖が蘇るのです。(こわかったわ〜) 午後2時20分薬師沢小屋到着。 |
薬師沢吊橋でのサスケさん | やっちゃん…橋の下は黒部川 | 姫、吊橋がたわんでるぞ | ベガさん…怖くないのですか |
後ろは黒部川です | 小屋のテラスにて | 夕食おいしかったよ | ポチもJONも元気 |
みんな疲れも無く | 夕食を楽しんでいます | ネコさん明日が試練だね | 小屋のイラスト |
少しの雨には遭いましたが、合羽を使わずに山小屋に到着したのは久しぶりの出来事です。小屋到着と同時に更に雨粒は大きくなり雷鳴も小屋を揺るがすほどでした。(セーフッ!) 小屋の前を流れる黒部川の水は透き通り、どのくらい冷たいのか想像もつきませんが、確かめに行く体力もなく、部屋からぼんやりと眺めて楽しみました。とにかく水の色は限りなく「透明」です。 小屋前の赤い吊橋は、雲ノ平や高天原方面へのルートです。 夕食時隣の席に座った芦屋のお兄さんから得た情報によると、水位は今が一番低く、水温も一番高い時だそうです。 前日の雨で水量が心配でしたが、これで明日の遡行は安全に行けそうです。 今日は早く休んで朝6時に出発します。 私達は明日小屋前のテラスから黒部川に降りて遡行します。 |
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文;美智子姫0写真協力;鹿島秀元0000 | ||||||||||||
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