東大台散策 大台ケ原~堂倉滝 堂倉滝~桃ノ木山の家 桃ノ木山の家~宮川第3発電所
●第3日目 8月8日(土曜日)晴れ
最終日のコースは 「桃の木吊橋(40分)-平等嵓前(35分)-シシ淵(50分)-千尋滝前休憩所(120分)-宮川第三発電所(15分)-大杉渓谷登山口」
最終日はゴールの登山口に正午には到着しなければなりません。ポイントからポイントまでは、1時間とありますので休憩はポイントに到着して「5分間」と決めました。(登山口発12時10分発の予約バスに何としても乗らねばなりません。)
▲桃ノ木小屋を午前6時に出発して、桃ノ木吊り橋を渡り小屋とお別れです。
 至る所に滝を観ながらのトレッキング。黒部の主と云われる、冠松次郎氏も絶賛された大杉渓谷。直漠で那智の滝よりも落差の有る滝を観ることが出来ます。此の付近の岩質は硬砂岩が多く風化が少ないのか川床にも砂利の堆積が少ない欠消床であり迫力の有る渓谷美を堪能出来るところです。
 ▲平等嵓  ▲さぁ、気合を入れていきましょうか!
▲ 朝陽を浴びながら平等嵓吊り橋を渡る
 ▲平等嵓の吊り橋  ▲平等嵓 
▲ニコニコの滝
▲シシ淵とニコニコの滝
 平等嵓吊り橋を渡ると平等嵓、そしてシシ淵と進んで行きました。シシ淵は岩の間から流れる滝と、エメラルドグリーンの美しい清流を見ることができました。地獄谷吊橋、能谷吊り橋を渡り、千尋滝休憩所で水分補給をし、時間的にも20分遅れで、みんな大船に乗った気持ちで「よしっ!これならバスに間に合うぞっ!」誰しもがそう思いました。しかし、千尋滝から河原歩きや崖歩き、鎖場歩きと難所が続き、それに前日の疲れが拍車をかけたのか、思った以上に時間がかかり過ぎてしまいました。京良谷を過ぎたあたりで「バスは間に合わない、もうあきらめよう!あとはゆっくり歩いてタクシーを呼ぼう」そう決めた途端に張り詰めていた糸がプツッと音を立てて切れた気がしました。その場で寝転ぶ者、熟睡する者、弁当を食べる者と自由に時間を過ごしました。(今思い出しても笑えてくるわぁ~)
▲谷から落ちる清水で思わず「シャワー」 ▲イワタバコの群生 ▲険しい道が続きます
時折登山者とすれ違い「バスでこられたのですか?」と聞くと「そうです、運転手さんが皆さんを待っていましたよ」そう言われて時計を見ると予約時間を30分過ぎています。「待ってるはずないわなぁ~」そう言いながら谷筋から流れ落ち、苔で浄化された美味しい水で喉を潤しました。ジョンはヘルメットに水を汲み頭からシャワーを浴びでいました。 (ヘルメット・・・穴あいてるでぇ) 
 ▲千尋ノ滝
▲登山バスで到着した登山者たち「バスが待っていましたよ~」と声をかけてすれ違いました
▲大日嵓の景勝
▲宮川第三発電所
大日嵓を通過、宮川第三発電所の建物が見えてきました。「近いぞっ!」そう思った途端足が軽くなりスムーズに前に進めました。やがてゴールの大杉渓谷登山口についたのが13時を過ぎていたと思います。みんな放心状態です。バスはとっくに発車した後だしタクシー会社へ電話をすべく300円を投入したその時・・・遥か彼方から男性が歩いてきます。「ひょっとしてバスのドライバーさんですかぁ~?」と大声で叫ぶと大きくうなずきました。受話器の向こうでは「モシモシ、モシモシ」と言っていましたがガチャンと切りました。何とバスが1時間も待っていてくれたのです。帰り便の乗客が私達だけだった事も幸いしました。「宿から送れるかもと連絡貰っていましたので」と優しい声・・・人の優しさ、有難さに少しウルウルしました。

大杉谷を知り尽くしたドライバーさんだからこそ私達が必死に歩いている姿が想像できたのだと思います。1時間も待ったと言うことを鼻にかけることなく、ごく自然に「ご無事でよかったです!」と言って頂きました。「松田 保」ドライバーさんありがとうございました。そして登山バス会社の配車係の方の心遣いにも感謝申し上げます。 
 ▲奥伊勢おおだい道の駅で 「伊勢うどん」 舌鼓を打ちホッと一息つきました。
▲奥伊勢おおだい道の駅からは三重交通の路線バスで松阪へ。そこから近鉄電車を利用して家路につきました 
色々アクシデントもありましたが、日本三大峡谷のひとつ大杉谷渓谷を堪能することができました。(富山県・黒部峡谷、新潟県・清津峡、三重県・大杉谷峡谷)幸い大台ケ原名物の大雨にも遭わず、誰一人怪我も無く無事に健脚向けと言われる大杉谷縦走を終了できました。トレーニングをしてメンバーの意思統一が出来ていたからこその成果だと思っています。ただひとつ残念だったのはjunkoちゃんの体調不良による不参加でした。私達よりも本人が一番悔しかったのではないでしょうか。旅の土産話を待っててね~! 
まとめ
大杉谷コースは4回のトレーニングを経ても困難なコースであったと思っています。連続する鎖場通過では足の置き方、滑落防止のカラビナ掛け替えの時間ロス、速度、小屋への到着時間の遅れ、翌日の抜けきらぬ疲労など加齢に伴う体力不足を感じました。ロープの携行もリーダーの負担となり「共同装備」と言いながら分担できる体力のなさに後悔しております。しかし山容の美しさはこの世の物とは思えないほどの美しい景色の連続でした。大台ケ原でいちども雨に遭わなかったことの方が珍しく、戻って荷物をほどいて見て使用しなかった物と言えば「雨具」だけでした。苦労は多かったけれども生涯忘れることは無いでしょう。

次回への教訓として宿泊を伴う山行の場合は、出発直前に、当日携行の荷物をリュックに詰めて「荷詰めチェック」を訓練しなければならないと思いました。時間指定のあるバスの利用は避けて、少々高くついてもタクシー利用の方が私達の山行に見合っているのではとも思いました。しばらく「次回の予定」はありませんが、それぞれが思い当たる点を考えれば、進歩に繋ながり更に楽しい山行になるのではないでしょうか。
 ●エス・パール交通株式会社様
突然のお手紙で失礼します。私は8月8日、宮川ダム登山口から登山バスを利用させて頂きました代表の久田美智子と申します。お詫びとお礼を申し上げたくてお手紙をさせて頂きました。まずはお詫びをしなければなりません。予約当初5名で予約をしておりましたが突然の腰痛で1名キャンセルとなりました。楽しみにしておりましたが苦渋の決断を致しました。我々が大杉谷を歩いてみて苦渋の決断が正しかったと思っています。事前の連絡もせずに4名となり申し訳ありませんでした。
8月7日、桃ノ木小屋到着が大幅に遅れ、小屋のスタッフが心配してバス会社に連絡を入れておきますと言う寛大な処置をしてくださいました。案の定、前日の疲労をひきずり思う様に到着することが出来ないかも知れないと時間ばかり気にしていました。
丁度バスが登山者を乗せて到着した折、すれ違いざまに「バスが待っていましたよ」と声を掛けてくれました。もう既に出発時間は過ぎているし、そんなはずないわと言いながらやっとの思いで、登山口に到着しました。
ヘロヘロになりその場にへたり込んでいましたところ前方から松田保ドライバー様が登山口に向かって歩いて来られました。何と1時間も待っていて下さったんです。驚きと感動で言葉が出ませんでした。勿論会社の方針であったと思いますが心より感謝申し上げます。
松田保ドライバー様は優しいまなざしで「無事でよかったです」と声をかけて下さいました。有難かったです。大台ケ原は景色も素晴らしいですが人の優しさで維持されていることを感じました。本当にありがとうございました。桃ノ木小屋と御社の連携プレーに心からお礼申し上げます。松田保ドライバー様にもよろしくお礼申し上げて下さい。 
感   想
 ● ひめの感想 
「ハチキン姫」で、10回に渡り大台ケ原の事を書き続けみんなの気持ちを盛り上げトレーニングに励み無事に大台ケ原大杉谷を訪れることができました。辛くなったり、疲れた時は雄大な景色が「ガンバレ」と応援してくれている様で元気を貰いました。久しぶりに重いザックを背負った気がします。持病のすべり症も顔を出すことなく快適でした。シャクナゲや紅葉などのシーズンでなかったことは少し心残りではありますが、濃厚接触の心配もなく、太陽の沈む時間が遅いのが救いでした。秋の頃だと午後4時と言えば薄暗く不安だったのではないかと思います。私達は何よりも「安全登山」がモットーです。大杉谷と言うコースは一筋縄では行かない秘境中の秘境で、そこを歩けたと言う自信が今後の人生に大きく左右されると思っています。「努力無しでは目的地にはたどり着けない」
 ● 留守番ポッチーさんの感想
お天気に恵まれて良かったですね。いい思い出が又ひとつできましたね、おめでとうございます。お疲れ様。下山報告も宜しくね。→(疲れ果てて下山報告を全員が忘れており、ポッチーの下山報告を促すラインで無事下山届け出来ました)
 ● 靖ちゃんの感想
3日間とも天気に恵まれて良かったです、思いがけなく宿の屋根で星空ショーが見れたことに感動しました。辛い道のりでしたが、体力の限界を感じつつ、この場に来なければ出合えなかった沢山の滝など多くの感動の旅でした。どの宿にもお風呂が合ったことが嬉しかったです。今回はスマホの故障で写真が送信出来ずごめんなさい。重たくても水分は余分に必要だと思いました。山からの湧水も美味しかったです。ジュンコちゃんが不参加で寂しかったです。あの感動を一緒に味わいたかったです。素晴らしい企画をありがとうございました。
 ● 正ちゃんの感想
大台ヶ原・大杉谷縦走コース"に参加させて戴き、大変ありがとうございました。若い頃から大台ヶ原のことはしばしば聞いていて興味があったものの、やたら雨が多いことの他には知識が無かったので今回、皆さんと一緒に行くことができて大変満足です。大台ヶ原東コースでは、あたり一面に茂る笹原に点々と立ち残る白い骨のような枯れ大木は絵のような風景でしたね。また大蛇嵓のてっぺんに登ると絶壁頂上から見下ろす眺望は見事でしたが、あまりの高さに脚ムズムズして早々に退却しました。
大杉谷コースでは、延々と広がるシャクナゲの群生林は凄い。その後は岩や崖の登り下りの連続でキツかったですナ~。しんどいコース中でも、幾つもの滝・渓流みるとしばし気分がリフレッシュしたものです。それにしても2日目はキツくて宿到着の前には脚も引き摺り勝ちで、やっとこさで宿に着きました。この頃ジョンさんは、「正ちゃん大丈夫か?あの橋越えたら小屋に着くで」 と、再々励まされながら宿に着いた。宿では2階の上がり下りにも、脚が鉛の重くてやっとの状態でした。3日目は体調も回復し、だいぶマシになりましたね。皆さんには大変お世話なりました。特にリーダーのジョンさんは大変気苦労を掛けてしまいましたね。"できの悪いメンバーが居るとリーダーは大変しんどい!"と言う見本のように思いました。皆さん、大変お疲れさんでした。私も今日は筋肉痛で脚がパンパンで~す。日帰りでは無く数日掛けての山歩き、しかも岩や崖沿いの難所で、足を滑らせたり、バランスを崩してコケたりすると、崖下に真っ逆さまで一巻の終わりという危険なコースを体験しました。これは「やまたび倶楽部」 以外では味わえない体験でしたね。今回思ったのは、幾ら頑張る気持ちがあっても筋力・体力が無いと体がついて来ない。日頃からのトレーニングが肝心やと。それから危険個所の歩行ではバランスが大事で、バランスを取るのがマズいと余計に筋力を使って疲れやすい。そして疲れて来ると踏ん張る力が乏しくなるので更にバランスがとり難くなってくると。 それにしても、女性陣は達者ですナ~。多分日頃からトレーニングしているからに違い無い。ワテもこれから、筋トレに励むことにしよう!さて、次回はいつかな?
 ● ジェンヌさんの感想
残念ながら私、大台ヶ原、大杉谷の山行を断念致しました。レインウェアー、靴、リュックに防水スプレーをしたり、色々気付く物を早くから準備していただけに残念です。先日昼食会をご一緒させていただいた日以降、整形外科に通うも症状が悪化し、本日は立っているのも辛い状態です。皆さんの楽しい山行を願っています。計画表を見ながら今、どこの辺りと図をえがいています。

●山行のレポートを読んで
皆さん、いつも沢山の素晴らしい写真をありがとうございます 偶然にも1990年、30年前に大台ヶ原、大杉谷に行った時の記録が出てきました。なんと哀れな一緒に行った仲間達との写真が四、五枚と計画書のみ、大台ヶ原から直接桃の木小屋に泊、宮川からバスで松阪に帰っていました。今や誰でも持っているカメラに時代を感じました。費用に関することは書いていましたが、感想文らしきものは一言もありませんでした。覚えているのは雨で桃の木小屋に二泊したことと、水量が多くロープを張ってもらって川を渡ったことぐらい、悲し~いくらい思い出が乏しいです。
 
 ● JONの感想 
今回の大杉谷山行は「運が良かった」の一言であったような気がします 時間が遅れながらも無事に到着できたこと、天気も三日間良かったこと帰りのバスにもバス会社の計らいで乗せてもらえたこと  下山の次の日8月9日には大台町に大雨注意報が出ていました こんな運のよい山行は もうないでしょう。
 
東大台散策 大台ケ原~堂倉滝 堂倉滝~桃ノ木山の家 桃ノ木山の家~宮川第3発電所