大杉谷トレ① 七兵衛山 大杉谷トレ② 芦屋地獄谷 大杉谷トレ③ 播州・七種山  大杉谷トレ④ 芦屋地獄谷 再び
2020.7.28
ちょっとした油断が怪我に繋がるため再度総点検することにしました。まっ・・そう言いながらみんなと会いたいだけなんですけどね(笑)

大台ケ原・大杉谷縦走のためのトレーニングは七種山が最後だったはずなんですが・・・。
第1案の7月30日の出発は梅雨明け宣言が遅れた為、第2案の8月6日出発とズレでしまいました。七種山での問題点をみんなで解決するために、もう一度トレーニングをしようと言うことになりました。ハーネスは持たずに簡易ハーネスの作り方、岩場への足の置き方の再点検、手の置き方の再点検などなどです。

みんな年は取ってはいますが山の経験豊富揃い(若干1名新人)なので大丈夫とは思いますが念には念の追加トレーニングです。
その経験豊富が事故に繋がり怖いのです。

第2回目のトレーニングは地獄谷から中央稜を下山しましたので今回は地獄谷から地獄谷を下ろうかと提案しました。何年か前に地獄谷を下ったのですが最後ロープ回収時に掛けた枝が根っ子からポッキーン・・・と折れちゃって滝壺ドボーン。怪我はなかったんですが、そのことがあってから地獄谷を下るのは止めていました。
大台ケ原の本番は地獄谷や七種山を訓練場所にしておけば、きっと安全で楽しい山行となることでしょう。問題は屋久島に次ぐ雨の多い地方と言う事だけです。
トレーニング前夜にjunkoちゃんから体調不良で欠席の連絡を貰いました。本番までしっかり休養して貰う事にして4人で追加トレーニングに出かけることにしました。雨こそ降っていませんが重くのしかかる雨雲は、いつ振り出しても可笑しくない曇り空でした。高座の滝に着くまでには、既に汗はしたたり落ちていました。.
「だからタクシーで滝の茶屋まで行こうって言ったのに」とはJONの弁です。そういえば滝の茶屋前でどっかと腰を下ろしてましたね。
高座の滝で休憩していたおじさんに挨拶を交わすと「この間の滝の水量は今日とは問題にならない」と話してくれました。

地獄谷入口で準備をしていると会話がかき消されてしまうほどの水量です。「う~ん・・・この水量では、ここを下るのは危険だな」そう言いつつ、七種山で問題になった登山靴の重さと硬さの調査を始めました。何とジョンさんは計量器持参です。まず靖ちゃんの「靴が重たい!」を解消するために2種類の靴の重量を計りました。靖ちゃんの思っていたより重さに差のないことが証明されました。靴紐の締め具合をきちんとすれば岩場に適した登山靴であることが証明されました。

次は正ちゃんのパックリ口を開けた登山靴、本人はかなりお気に入りの様ですが「これは重症だな・・・!」そう判定されました。諦めきれない正ちゃんは後日登山靴のソール張替え依頼に行くそうです(新しいの買ったら?・・・と外野がウルサイ!)

次は手袋です。指先のある手袋は岩場通過時は、岩がつかみづらく危険です。「これを使ってみる?」指先の出た沢用の手袋を姫が貸すことにしました。使い心地が良かったら参考にして欲しいです。
さあいよいよ登攀開始です。水量が多いのと前日の雨で岩は全てツルツルと滑りやすくなっています。沢靴を履いていれば問題なく歩けるのですが 登山靴でジャブジャブ水の中を歩くわけにもいかず 危険個所だけロープを出して登って行きました。大きな岩が落ちていたり、大木がなぎ倒されていたりと前回来た時とは様変わりしているのに驚きました。危険個所は早々に通過をしサメ岩を目指します。今日の講習場所はサメ岩です。登山者は一人も登ってきません。思う存分練習ができるでしょう。
junkoちゃんからラインが入り、体調が少し回復したので打ち合わせ会場のランチ場所まで出ていくとの事でした。やる気あるわねぇ!いいチームワークだわ!
遡行を開始してすぐに谷の様相が変わっているのに気づきました。石の位置が移動しているように感じます。ここ2週間くらい大雨続きで谷の中が水で浚われているような感じです。所々に大きな石が落ちてきていたり、木が谷の中に横たわっていたりして荒れている状態が確認できます。
岩肌が濡れているために滑りやすく登りにくいのですが ちょっとした安全ポイントで一息ついて次へと進みます
▲登りで支点をとるところが無い時は 肩がらみでサポートします ▲サメ岩で講習後一休みして下ります
さて予定通り地獄谷を下ることになり不安は少々あるものの七種山であれほどの辛いコースを成し遂げたのだから大丈夫と、自分自身に太鼓判を押して下山開始です。地獄谷の下りは想像以上に辛くて危険です。岩が濡れているため滑りやすい、どこに足を置けば安全なのか見極めなければなりません。前を歩く人の足の置き場をよく見て進んで行きました。
最初の滝の懸垂下降です。大木にロープで支点を取り最終は引き抜きでロープ回収できるようにしなければなりません。まず一人目が懸垂下降をした後は水没したロープを持ちビレイします。もし下降中に足を滑らせればビレイヤーが止めなければなりません。一つ目の滝はクリヤーできました。2つ目もクリヤー。3つ目の滝を懸垂下降しようとした時、若者チームが元気よく登ってきました。トレイルランの人達なのか荷物は何も持たずTシャツに短パン、軽い靴のいで立ちです。
外国の人もいたなぁ。「ご安全にね」
懸垂下降は垂直の上から下への移動に使われるだけの技術ではありません 支点になる木を求めて水平移動の安全策に使ったり 岩場のトラバースにも使います 横移動は懸垂下降とは言いませんが そのシステムは同じです 安全に移動できる手段としてどのような条件下においてもシステムを構築できるように訓練しておく必要があります
そして最後の滝は、ほぼ垂直に懸垂下降しなければなりません。「わー空中懸垂じゃん」 最初の一歩が、怖くてなかなか踏み出せません。あれほど懸垂下降の好きな姫が躊躇っています。やっと決心がついたのか「行きますっ!」と声を発し、降りて行きました。下降後はロープを持って次の懸垂下降者を補助します 緊急の場合下降者のビレイをし全員無事に降りてきました。滝の全てを懸垂下降し、しばらくゴツゴツした岩場を歩き登山口まで戻ってきました。中年のおじさんが躊躇っているのか滝の方を見上げ思案していました。私達の完全武装をみて更に驚いたようです。
ロープの始末は弟子の仕事です(笑)濡れたロープは重くて肩に食い込みました。次回からは少しづつ譲って行きましょうかねえ
無事に下りてきました 登山する条件下では いつどこでどのような窮地の陥るかもしれません どのような条件下でも臆することなく 脱出しなければなりません
それには様々な用具を携行しなければなりませんし また携行しているならば積極的に使わなければ意味を成しません 
「こんな所でロープは要らないだろう」とか「ヘルメットをかぶって大袈裟に…」などと言うハイカーに出会うのも2度や3度ではありません 医療機関もない医療従事者もいない山間部で トラブルを起こしてはいけないとグッと我慢をし会釈して擦れ違います  哀れな登山者にならないために お互いに注意したいものです 
近代登山発祥の地・六甲山系でもこんな言葉を浴びせられます でも誰も命を守ってはくれません 自分や仲間の命はみんなで守っていかなければならないのです。
予定通りの時間に無事下山し、junkoちゃんの待つJR芦屋駅まで移動しました。
少し遅めのランチタイムとなりましたが、大台ケ原の打ち合わせをしっかりと済ませ解散となりました。疲れたけど中身の濃い追加トレーニングであったと思います。

感   想
 今日の反省点:懸垂下降時、ロープを等分に揃えていなくて長さが足りなくなり懸垂中の人を危険にさらしたこと大いに反省しています。
● ひめの感想 
いやぁ~地獄谷の下りがこんなにも難しいとは想定外でした。特にこの日は長雨が続き岩が全部濡れてツルンツルン、どこに足を置いても滑りました。その中で安定した岩を見つけて進んでいきました。フリークライミングの様に決まったゲレンデの登攀下降と違い、どんな形容の場所が出てくるかわからない全てが違う支点の取り方、懸垂下降の仕方も全部違いました。終わってみると疲れは、さほど無くて、とても楽しかったです。ロープの始末は弟子の仕事です(笑)濡れたロープは重くて肩に食い込みました。帰ってからロープを洗濯、リンスして陰干ししています。あとは本番を待つのみとなりました。楽しみ~!
● 留守番ポッチーさんの感想
みなさん、追加トレーニングとは熱心ですね。それぐらい念を入れておけば大台ケ原は楽しく行けると思います。ご安全に!下山届忘れないで下さいね。
● ジェンヌさんの感想

申し訳ございません。今回のトレーニングどうも行けそうにありません。夕方ストレッチをしていて、アレーと思ったとたん、右腰から股関節に動作と動作の間に激痛が走りどうにかこうにか家に帰って来ました。トレーニング後の昼食会は、もし歩いて余り響かないようでしたら大杉谷の件もありますので伺いたいと思います。

● JONの感想 
年齢とともに行きたい山を選ぶことは大切です トレーニングさえ怠らなければ どの山に行けるというものでもありません リーダーとしても年々目が行き届かなくなってきています 懸垂下降の支点を選択してロープセットするだけでも大変です メンバーのハーネス、ATC、カラビナ、手袋、降下体制などチェックしようとしているのですが チェック漏れが起きてしまいます 最小限自分のことは自分でやりパートナーチェックを先輩に受ける そういうリズムを再検討しなければ 事故は必ず起きると思います。
●毎回同じことを言わせない ●危険個所では言われる前に自己ビレイをとる ●他人の危険を見過ごさない ●危険かどうかは自分で判断する ●岩場では気を抜かない
用具の点検、使い方などスムーズに練習しておくことも大切です 装備品ですが良い品物を選ぶことも大切です 時間ができたら日々少しづつでも練習しておきましょう。
 
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