2013.10.09〜15・雲取山・天城山・丹沢山・筑波山を訪ねて
10月9日・水曜日 台風24号日本海を通過中・・・大雨
剱岳登攀を終えたばかりだと言うのに、雪の降り積もる前にどうしても行っておきたい山々がありテントを担ぎ出かけることにしました。
今回は「百名山のピークを踏む」のが目的のため最短距離コースを選び三座をめぐります。土砂崩れで止む無く撤退した雲取山も無念さを返上しなければなりません。当初は大阪から名神・東名を使い天城山の麓へ向けて行く予定でしたが日程を180度ひっくり返し、まずは雲取山から攻めて行くことにしました。

台風24号とは、どこですれ違うのでしょうか?すれ違うどころか大雨と同時発車となり名神に乗った途端に50q制限にひっかかってしまいました。渋滞が続き真正面に見えるはずの近江富士の姿は全く見えませんでした。黒丸パーキングあたりで一旦、小雨になりましたが再び大雨となり11時過ぎにやっと雨が上がりました。恵那サービスエリアでトイレ休憩とドライバー交代をしました。少し早めの昼食ではありますが焼豚入りチャーハンと大判きつねきしめんを食べ、ひたすら奥秩父に向かって走りました。双葉サービスエリアで運転交代。さっきの雨はどこへやらで青空さえも見えてきました。勝沼インター出口から7月に通ったばかりの大菩薩ラインは桃の季節からブドウの季節に変わっていました。
06:20 小袖集落駐車場発
06:23 小袖登山口
08:00 堂所
08:06
08:57 七ツ石小屋下
09:57 ブナ坂
10:30 奥多摩小屋
(水汲み往復20分含む) 
10:50
12:00 雲取山山頂
(雲取山避難小屋泊) 
豪雨の中の名神高速 恵那峡サービスエリア 恵那山トンネル 小袖の駐車場
テント泊をする予定の道の駅「たばやま」には15時14分に到着しました。テントを広げるには人目もあるし翌日の登山口を偵察に行くことにして
「小袖」と言う集落を目指しました。「ここやっ!間違いない!」ジョンの自信に満ちた声に安堵するも何と山肌にへばり付く様に立ち並ぶ集落の中をグルリと一周し、再び国道へ戻ってきました。「あれれっ?さっき通った道や!オイラも焼きが廻ったなぁ」と独り言を言いながら気を取り直してもう一度挑戦、鋭角に曲がる細い道を見落としていました。そこを曲がって小袖集落の上にある駐車場を探し当てました。
「私有地」と看板を出している大きな駐車場には、平日とあって2台だけしか車は停まっていませんでした。「道の駅に引き返さず、ここでテントを張ろう!」という事になり、まずは夕食の準備に取り掛かりました。秋を彩るススキの穂が沢山生えていましたので2〜3本失敬してペットボトルに挿し食卓を飾っていると、下山したばかりの72歳だと言う男性が近づいてきて「風流ですなぁ焼酎を少し差し上げましょう」と言って下さいました。2台の車が立ち去るのを見送ってから満天の星の下にテントを張りイビキがうるさければ車の中に退避できるようにして、早々に長旅の疲れを取るために就寝となりました。
きっと明日は良い天気 三日月を見ながら ススキを立てて
●10月10(木) 晴れのち霧のち晴れ
雲取山は東京都・埼玉県・山梨県の境界にある標高2,017mの山。奥多摩と奥秩父の二つの山域の境界に位置し、東京都の最高峰・最西端である。山頂には一等三角点がある。奥多摩山域の中では比較的人里から奥深くにある山である。妙法が岳、白岩山とともに三峰山の三山の一つである。深田久弥は『煤煙とコンクリートの壁とネオンサインのみが、いたずらに増えていく東京に有って、原生林に覆われた雲取山の存在は誇っていいだろう』と記しています。
登山口を出発でーす 快適な登山道 廃墟が一つ二つ 七ツ石小屋下
午前5時30分、車の音で目が覚めました。駐車場には多摩ナンバー、千葉ナンバー、富山ナンバーのマイクロバスが止っています。キツネが2匹少し遠くから私達の様子を伺っていました。きっと食べ物があると知っているみたいです。以前に利用した山小屋でテンにタマゴを持って行かれてから食べ物やナマゴミには充分配慮をしています。人間の食べ物が容易に手に入ると自然の中で暮らしていけなくなるのです。朝食を済ませテントをたたみ不要の荷物を車の中に入れて、万が一、日中小屋が満杯の場合を想定してツエルトを持ち、食材、寝袋、水入れなどをリュックに詰め込みました。水は途中の小屋に湧き出ていると情報を得ています。堂所(どうどころ)までは、歩きやすいのですがとても長く感じました。水分補給だけを済ませるとまた黙々と歩き続けます。1時間もすると七ツ石小屋に行く分岐に差し掛かりましたがブナ坂コースを取り、ゆっくりと確実に一歩ずつを踏みしめて奥多摩小屋前に到着しました。
堂所です
霧の中のルートは神秘的です 石尾根との合流点…ブナ坂です
防火帯の中を歩いていきます 雲取山ヘリポートです
「おいしい水」と言う看板に魅せられて往復20分かけて谷に向かっておりていきました。リュックに水が増えたことで急に背中が重くなり「ヨモギの頭」を登る時のしんどいこと、しんどいこと!此の頃になると霧が濃くなり視界がなくなりました。山を走るトレイルランナーの女性が軽やかなリズムで、喘ぎながら登る私達の横をすり抜けていきました。
美味しい水を汲みに谷を降りていきました
 ヨモギの頭 霧の中の奥多摩小屋 
もうすぐ頂上です
避難小屋が霧の合間から見えてきました。「着いたみたいねっ!」小屋の前には10人程の若者が出発するための準備をしていました。ほとんどが外国人で流暢な日本語で「私達は東京CAJスクールの高校生です」と話してくれました。国籍はそれぞれが別で留学生の団体の様です。(同じ夜の宿泊だったらと思うと・・・・) 
 雲取山の山頂だあ〜い 留学生の団体さん 
留学生の団体さんはお昼過ぎ、鷹巣山を目指して下山していきました
避難小屋の中は清潔で、清掃道具も完備さていて利用者のマナーが行き届いている様子でした。雲取山荘に予約をしていると言う男性が雨具を身に付けるために小屋の中に入ってきました。「小屋まであと20分くらいですかな」と言い置いて霧の中を消えて行かれました。その後入れ違うように若者が避難小屋を利用するために入室してきました。武笠さんと言う若者は物静かで私達の質問に二・三答えてはまた黙々と夕餉の支度をしていました。手間のかかる夕食ではないためお互いがすぐに夕食も済ませ、あとは暗闇の中、寝袋に身体を横たわらすだけとなりました。午後6時、かすかに扉の開く音を耳にしました。「誰が来たのかな?」そう思いましたがそれ以上の物音はしませんでした。「なぁ、なぁ今誰か来たんと違う?」
「ねぼけるな・・・」そう言われて、そうだったのかと納得しそのまま深い眠りに陥りました。
 ●10月11日 (金曜日・濃霧) 雲取山から下山
この日は雲取山から下山し再び道の駅「たばやま」付近でテント泊もしくは車中泊をするため、あわてず急がずで午前7時20分小屋発の予定です。外は霧雨が降っており視界が悪いです。
6時半ごろジョンが「熊鈴の音がする、下のテント場から登ってきているのかなあ」と言っていますが、私には聞こえませんでした。
同室の若者に挨拶を済ませ下山することにしました。
帰りは「ヨモギの頭」を通過せず「巻き道」を通り奥多摩小屋を過ぎ、ヘリポートからの下り辺りで、どこからともなく熊鈴の音がしています。
07:20  雲取山山頂発
07:57 奥多摩小屋
09:20 マムシ岩
09:50 堂所
11:11 小袖集落駐車場
 やがて霧の中に黄色い雨具が薄ぼんやりと見えてきました。今朝、雲取山避難小屋で聞いた熊鈴の音はこの人だったのか、「おはようございます。昨夜はどこにお泊りだったんですか?」と聞くと「避難小屋です」えっ〜!避難小屋には私達と若い男性の2組しか宿泊者はいませんでした。何度聞き直しても避難小屋に泊まったと言います。「そういえば6時頃ドアが開き誰か来たと言ったんだけど・・・ひょっとしてあの時のおじさん?」
「ハイ。中を覗きましたが皆さん眠っていたので軒下でツエルトに包まって寝ました」そんな〜っ!避難小屋とは何時であっても誰でもが利用できるための小屋です。「こんばんは」と声を掛けて堂々と入ってくればよかったのにと何度も男性に話をしました。避難小屋を利用した者として後味が悪すぎます。それにジョンが夜中に2度トイレに起きたらしいですがツエルトなどなかったとハッキリと言い張っています。このツエルトおじさんのことはいまだに謎となっています。
話している間に、昨日小屋に立ち寄った男性も追いついて来られました。しばし談笑の後、再び下山を開始しました。
武笠さんと一緒でーす  今朝の出発は霧の中です
黄色の合羽の人がツエルトおじさんです
下山中少しづつ雲が切れて青空が覗きはじめました
ぼちぼち紅葉が始まります
マムシ岩でしばし休憩です 堂所まで降りてきました
マムシ岩で写真を撮り小袖集落に戻ってきたのが11時、身支度を済ませ道の駅にある温泉「のめこい湯」に入りました。山梨県丹波山村村営のりっぱな温泉です。「のめこい」とはこの地方の方言「ツルツル」「スベスベ」という褒め言葉だそうです。
登山口に到〜着 駐車場まで帰ってきました いつものミラー画像です
丹波山村の「のめこい湯」 タバスキーちゃん 富士を見ながら天城を目指します
入浴を済ませても時間がたっぷりあり、このまま天城山に向けて走ってはどうかと姫の提案に「それも一案!」とナビを「天城高原ゴルフ場」にセットをし、185q3時間30分かけて勝沼インターから中央道を走ることにしました。富士山の裾野を右手に取りながら「富士五湖道路」を走りました。富士山を見ると関東圏内に突入したと肌で感じ取れます。伊豆循環道路を沼津で出てスーパーで食材を買い再び高速道路「伊豆中央道&修善寺道路」を通り天城山登山口である「天城高原ゴルフ場」に到着しました。

午後5時30分もう外は真っ暗です。「ハイカーの駐車場はこちら」と書いた看板に従い駐車場に到着。今夜の宿は強風の危険性のあるため車中泊と決めました。百台は駐車可能な大きくてりっぱな駐車場にはトイレ完備、水道も付いているようです。駐車場の片隅にテーブルと椅子を見つけ夕食の準備を始めることにしました。しかし強風で何を置いても飛ばされてしまいます。今日のメニューは「きのこたっぷりの豚汁」と「アジの開き」です。まずはご飯を炊き、風を避けて何とか夕食の用意ができました。強風は吹いているものの寒さは感じません。「いただきま〜す」雲取山登山の労をねぎらい梅酒で乾杯をしました。アジの開きはなかなかの美味で、きのこたっぷりの豚汁も美味しいです。ただ・・・・・汁が減ると強風でお椀が風で吹き飛ばされるので油断大敵の夕食となりました。大きな駐車場には私達の車だけしか停まっていません。

ジョンがトイレに行き外にある洗い場には水道はあるものの栓が無く利用できないのでドライバーはないかと車の中を家捜しし始めました。工具類など使ったことはなくあるのかないのかわかりません。「もういいわっ!」何故か自分自身に怒っているようです。空には満点の星が輝いていました。


 美智子姫:記0000