●3月14日(金) 3日目
トレースもなくラッセルしながら登ったヨ
昨夜のテレビ報道では今日は雨模様とのこと。
午前5時、外は暗く、雪とも雨ともわからない何かが降っています。
「大丈夫!もうすぐ止むよ!」そう言いながら小屋の外に出て見ました。出ました〜根拠の無い姫予報士のお出ましです。
しかし、不思議なことに朝食を済ませたころには雨は止んでいたのです。
「よし行くぞ!準備して!」午前7時には小屋を出発し1時間ほどゆっくりと登りオーレン小屋に向かいました。途中までは根石岳と同じ道のりを進みます。この日はたった3人だけの山行となりました。根石岳の強風を体験しましたので不安がないと言えば嘘になります。冬山の楽しさは危険と隣り合わせであることも体験し硫黄岳に挑みます。雪山初体験の一服剱さんのために何としても今日は頂上を踏み、感動のプレゼントをしたいと思いつつも、体力の限界を感じずにはいられませんでした(しんどいなぁ・・行けるかなぁ)

オーレン小屋からはトレースがありません。踏み抜いて肩までズボリッと埋まってしまうこともありました。スノーシューを履いていたとて、この雪の深さでは効果が薄い感じがしました。
07:00  夏沢鉱泉発
08:05  オーレン小屋
09:00  夏沢峠
09:15
10:50  標識
11:15  硫黄岳頂上 
11:35
12:00  標識
12:30   夏沢峠
13:00  オーレン小屋
13:40  夏沢鉱泉
14:10  雪上車にて茅野駅へ
水分補給をし、夏沢峠をめざします。冬場は喉の渇きが、さほど感じられませんが水分補給はしっかりと、とらなければなりません。ヒュッテ夏沢の建物を風よけにして身支度を整えます。目出帽にゴーグル、ロープも出してアンザイレンで、いよいよ強風の硫黄岳に出発です。 
無理をせず途中で撤退もあることを話して樹林帯へと進みました。しかしトレースがありません。雪は1メートル以上も積もっています。ラッセルを一服剱さんに依頼し一歩づつ進んでいきました。樹木のうなり音が激しくなってきます。やはり風が強いようです。「いけるところまで行こう!」ラッセルを続ける一服剱さんの姿はいさましく葛城山でのトレーニングが実を結んでいました。硫黄岳の冬道は標識もなく道しるべのポールを目標にするのですがそれもエビノシッポが掛かり見落とすと爆裂火口に真っ逆さまとなります。登りはケルンの右側を歩き、道なき道を進んでいきます。

「11時30分までに頂上に到着しなければ引き返すことにしていました。「頂上の標識が見えました〜」トップを歩く一服剱さんが逐一情報を伝えてくれ勇気が出ます。やっと到着です。一度も耐風姿勢を取ることなくスムーズに登ることができました。根石岳の風ほどは吹いていませんでしたがそれでも独立峰の山は風をまともに受けてしまうのです。「孤高の人・加藤文太郎」をも転がした硫黄岳の突風は有名です
頂上にリュックを置いても風で飛ばされる心配もなく温かいコーヒーとパンとで山頂を踏めたことを喜び合いました。「一服吸ってもいいですか?」「どうぞ!どうぞ!一服でも二服でも〜」今まで曇り空だった硫黄の空は不思議なことに太陽に変わりました。まるで私たちの登頂を祝福してくれているかのような輝かしい太陽でした。。
頂上で熱いコーヒーを 緊急用の携帯電話の電波チェックです さぁ!折り返すぞっ!
下降はらくらく、速度もあがります
箕冠山もガスの中 大きく口を開ける爆裂火口
いま登ってきたはずのトレースはすでに消えていました。下りはケルンの左側を取りながらコースを見失わないように転倒しないように注意をしながら一気に下ってきました。苦労をしてラッセルした箇所は思い切りの尻ソリで雪の深みに足を取られながらも夏沢フュッテの建物までもどり目出帽とゴーグル、ロープを外し一目散に小屋を目指して下っていきました。
夏沢峠まで帰ってきました 
温泉に浸かって 雪上車に乗り込みます
送迎車の出発が午後2時となっているためギリギリになりそうです。

足の速い一服剱さんに先に帰り間もなく到着することを伝えてもらうようにしました。
一服剱さんに遅れること10分、小屋についたのが午後1時40分。

「よっしゃ〜風呂に入る時間あるぞっ!」
冷えた身体を温める時間の余裕はありませんでしたが、下山後にお風呂に入れるということは素晴らしいです。
夏沢鉱泉スタッフの皆さんと記念撮影を済ませ、お見送りをしてもらい帰る途中、大きな鹿に出合いました。つぶらな瞳がかわいかったです。木立の皮を食べたり作物を荒らしたりの鹿被害があるかも知れませんが人間と鹿が共存のできる場所があるならば心が癒される光景だと思っています。
雪上車は唐沢鉱泉分岐まで来ると「車を温めますので10分ほど待ってください」と、スタッフは雪上車を降り乗り換え用のワゴン車のエンジンをかけ車内を暖めてくれています。これぞまさに「おもてなし」なのです。

車内が温まった頃ワゴン車に乗り換え、同乗した別の客を茅野駅で降車させてから私たちの車のある運動公園まで送ってもらいました。
荷物の山にため息を尽きながらも何とかうまく車内に収納し諏訪サービスエリアで、諏訪湖を眺めながら遅めの昼食をとりました。その後何度かのトイレ休憩を取りながら安全運転で大阪に無事戻ってきました。
前夜発の2泊3日・・夜出発はやはり高齢者には堪えますが、それでも山が呼ぶ限りは行きたいです。(笑) 
みんなの感想文 
 お祭り野郎 1號2號 Yohさん
いやぁ、久々の雪山、チョット物足りない感じもしましたが、いつものメンバーでの盛り上がり、やはり酔いですね〜。       
又お会い出来る日を楽しみにしております〜。
またレポート楽しみにしておりま〜す。

 お祭り野郎 1號2號 ウッチーさん
おいっすー。みなさんこの間はお疲れ様でした!ちょっともう少し時間があったら良かったんですが、まあそれでも充分楽しかったですよ。やっぱ山行は信頼出来る気の合う仲間とが一番いいですね。O酉軍鶏師匠はやっぱ風邪の塩梅がよくなかったんですね、それにも関わらずに付き合ってくれてどうもありがとうございました。
一泊だけの御一緒だったけど冬山楽しめましたよ。ホント楽しかったです!また是非ともみんなで盛り上がりませう!
 一服剱さん
不帰の剱、剱岳につづき「念願が叶ったシリーズ第3弾」の雪山、八ヶ岳ツアー。
根石の強風、突風とてもワクワクしました! 横須賀組さんとの合流もとても愉快でした!
山荘のお風呂も食事もとても良かったです! ラッセルはとても楽しかったです!トップで歩いた事はとても良い勉強でした!
硫黄岳の山頂での一服はとても美味でした! 雪山のよいところだけを堪能できたツアーでした。
これだけ経験してもまだ10分の9の楽しみが残っているとは素敵なことです。
雪山LOVE。
  ひ め
何度も経験していたはずの根石の風も今回は恐怖を感じました。硫黄岳の風の強さは、さほど感じることはありませんでしたが積雪の多さに時間を費やしてしまいました。ゴーグルが曇り歩行がつらかったです。私のゴーグルには曇り止めのミニ扇風機がついているのですが事前チェックの甘さを反省しています。自分の体力に合った山行をのんびりとできたらこんな幸せなことはありません。素敵な仲間と素敵な小屋と雄大な山に乾杯!
 JON
またも今回箕冠山でブレーキを起こしてしまいました。歳かなあ、前夜夜行の疲れかなあ。
久しぶりの対面でお祭り野郎 1號2號のウッチー&Tohさんとも楽しいひと時を過ごせたし、一服剱さんにも雪山の10分の1ぐらいは伝授できたし、まあ良かったです。

 ポッチー
体調不良のまま参加しました。今回の山行目的は「温泉に入っておいしいもん食べて懐かしい人に出合えれば良し」としていましたのでゆっくりとした時間を過ごすことができました。体調が戻り春が来ればまた一緒にっ!

写真と文:美智子姫  
2010.3.4〜6 夏沢鉱泉・根石岳の思い出 2012.3.21〜23 夏沢鉱泉・天狗岳・硫黄岳