Yamatabi-CLUB000
1日目 2日目 3日目 4日目 5日目
6日目 7日目 8日目 9日目 写真集
薬師岳からの下りでMr.ビシャールと会ってびっくり…出会えて良かった
●第4日目 9月7日(水曜日・くもりのち晴れ)
昨夕、シラビソの木立の間から見た夕陽は空を赤く染めていたので、今日の晴天は確信をもっていましたが、小屋から見る朝陽はまた格別のものでした。
6時10分、スゴ乗越小屋を出るときにはテラスの上には霜が降りており、ブルっと身震いをしました。もう秋の気配です。小屋のスタッフさんに見送られて出発、先ずは間山(2585.2m)を、そこからさらに北薬師岳(2900m)薬師岳(2926.0m)、を目指します。薬師岳は赤木沢遡行の際、太郎平小屋に荷物を置いて空身で山頂を踏んだ懐かしい場所で、今回は下って行くこととなります。今日の目的は太郎平小屋でネパールのビシャールさんに会うために太郎平小屋で宿泊することにしています。
タイムスケジュール
06:10 スゴ乗越小屋0
07:30 間山
09:15 北薬師岳
10:30 薬師岳1
13:30 太郎平小屋
16:20 薬師沢小屋
小屋を出て樹林帯を抜けると草原一面に霜が降りていました。少し登って振り返ってみると昨日越えてきたスゴの頭や越中沢岳が見送ってくれています。登山道の先になにやら動くものを発見、よく見ると雷鳥さんです。4羽の親子らしき雷鳥さんが遊んでいます。「カメラ、カメラ」「何やねん」「雷鳥さんがいてるねん」「カメラ出すから静かにしてや」そんな会話をしながらカシャッ。まあ良く撮れたほうでしょうか。
間山への登りは、まだ体が起ききってないせいか少々重く感じられます。
風景を楽しみながらゆっくりと登って行きます。
途中、振り返って見ると遠くに剱岳が顔を出しています。
スゴの頭や弥陀ヶ原も良く見えています。
細かく山名を捉えられないのが少々もどかしくはありますが、ぜーんぶ山、それもぜーんぶ美しい山です。
2832のピーク 間山の頂上にある間山池 間山三角点
間山の三角点で2832のピークをバックに
二重山稜の間を行きます 間山を過ぎてほどなく白波五人男さんに追いつかれました。
2832のピークを辺りはゴロゴロ岩を飛んで進みます。
2832のピークを辺りで槍平ボーイの金子さんと雷鳥レディのきなこちゃんに追いつかれました。若い人は早いなあ。
北薬師岳に到着でーす。 北薬師岳を下る白波五人男さん
北薬師岳から薬師岳の間は近そうに見えるのですが、なかなか近づいてくれません。登山道も少々荒れ気味で足元がザレていて安定しにくかったり、左に転落すればカールの底まで転がっていってしまいそうです。

それでも山は最高です。
北薬師岳、薬師岳の東側に大きく広がるカールは金作谷カール。この金作谷カールは、山仕事をしていた宮本金作が黒部川からこの圏谷を通って薬師岳に登頂したことに対して敬意を表し「金作谷カール」と名づけられたところです。
新田次郎の小説「劔岳 点の記」にも登場する人物で、木村 大作監督の映画 「剱岳・点の記」 では測量隊の案内人の一人として螢雪次朗さんが演じておられました。
カールに落ち込む岩稜 薬師岳山頂 遠くに有峰湖が見える
薬師岳頂上は快晴で360度の大パノラマです。槍ケ岳や笠岳、富士山も見えています。
槍平ボーイの金子さんと雷鳥レディのきなこちゃん。あなた達のスピードには脱帽ですよ。
薬師岳の頂上で三角点を探すのですが見当たりません!それもそのはず、白波五人男の一人の方が椅子の代わりにしていたのです。三角点にこだわっていることを説明し、無事にデンの記撮影会を済ませました。三角点、奪取でーす。
白波五人男さんと槍平ボーイさん、雷鳥レディさんたちを頂上に残して一足早く下ります。でもその辺ですぐに追い越されるでしょう。
雷鳥レディさんは薬師岳山荘泊まりとかおっしゃっていましたので、お昼寝でもしてから下山してください。
東南稜線との分岐辺りで非難小屋の跡形や大きなケルンを見ているとき白波五人男さんたちは颯爽と通り抜けて行ってしまわれました。
次に会えるのは何処でしょうか。午後2時までに太郎平小屋に到着できれば薬師沢小屋を目指すとおっしゃっていましたので、もう会えないかなあ。私達も頑張って午後2時までに太郎平小屋に到着しよう。
そこでおいしいラーメンを食べようっと。
新しく立て替えられていた薬師岳山荘の前をとおり、薬師平に向かって下っているときでした。急なゴロ石の登山道を体はブレーキをかけながら、気分は2時を目指してスピードアップしながら歩いているときでした。大きなザックを背負って登ってくる一人の若者と遭遇。そのすれ違いのときに姫が声を上げました。「ビシャールさん」 彼はいきなり声をかけられ、また私達がヘルメットにサングラスをしていたため全く分からなかったようです。「どちらさまでした」流暢な日本語で返してくれます。「JONです」「姫です」そういいながらサングラスとヘルメットを外すと「ああJONさん姫さん、先日はお世話になりました」「いえいえ。ところで今日はどちらにおいでで」「急にスゴ乗越小屋に用事ができたので、行くところです」「そうですか今夜は会えるかと楽しみにしていたんです。5分ほど話しませんか」「10分でも30分でもかまいません」そうして3人は登山道脇の小さなガレ場に腰をおろしました。小屋にいるはずのビシャールさんが歩いているはずなどないと思っていたジョンは気づかず、もう少しで逢えないままになってしまうところでした
Mr・ビシャール特性の紅茶をごちそうになりながら、彼の近況やら私達のルートなどを話し合いました。彼はネパールで山岳ガイドをしており、とても山を愛している男です。話の続きに見渡す山の名前を教えてくれました。小さな山や前衛の山の肩に隠れた山名まで詳しく教えてくれました。「お詳しいですねえ」「この辺りはよく来ていますので」そういいながら教えてくれました。外国の人に日本の山の名前を教えてもらうのも少々変な感じがしましたが、教えてもらって嬉しかったです。そういえば大峰奥駈道を縦走している時、ウクライナの青年に「このラインは7泊8日にラインだからゆっくり行ってください」と慰めたれたことを思い出しました。
しばし談笑のうえお互いに次の時間が有ることから、ほどほどに会話を打ち切り、名残惜しくもありましたが別れを告げて、私達は太郎平へ、彼はスゴ乗越小屋を目指していきました。
薬師平を通過、ここの大きなケルンは有名です。ここから薬師峠まで枯れ沢や沢伝いに薬師峠まで下っていきます。この下りが辛いです。
薬師峠のテント場を過ぎて再び登り返してしばらく木道す進んでいくと太郎平小屋です。ここで、またまた白波五人男さんが出迎えてくださいました。
白波五人男さんは薬師沢に下りていかれました 太郎平上空を舞うヘリ 太郎平小屋を後に薬師沢を目指します。
太郎平小屋に到着したのが午後1時を過ぎていました。
同列系という事もあり、太郎平小屋で宿泊する予定を薬師沢小屋に変更をしてもらい、次の日、高天原温泉での時間を多く取る様にしました。
お腹も空き気味でしたので、きつねうどんを注文し、美味しくいただきました。
太郎平小屋を出発するとき、空に舞うヘリコプターを見つけ「あ〜あどこかで、また誰かが遭難したのかも」と無事を祈らずにはいられませんでした。
薬師沢小屋までの道は以前にも歩いており木道を含む快適な、しかも長い長い道のりでした。「もうそろそろ小屋が見えてもいい頃なんやけどなぁ」そんな慰めを自分自身に言い聞かせながらやっと赤い屋根を見つけることができました。
樹木の間からテラスで私たちに向かって、手をふる人たちがいます。「白波五人男」のみなさんが、とっくに到着して祝杯をあげているのでした。
「おつかれさま!小屋は満員ですよ!」と声をかけてくださいました。 
「早かったんですね、先にチェックインを済ませますね」と声をかけ小屋の中へ入りました。
チェックインを済ませると蚕棚のような部屋の下段を与えられ、布団1枚がやっとの状態です。
ウイークデーで、さぞかし空いているだろうと思っていたのですがとんでもありません。夕食のあと「白波五人男」の方が一緒に飲みませんかと誘ってくださり、夕食後の食堂を借りて楽しい時間を過ごすことができました。今回の山小屋で、この夜が一番楽しかったです。  
                                        (薬師沢小屋泊)00


美智子姫:記    
1日目 2日目 3日目 4日目 5日目
6日目 7日目 8日目 9日目 写真集