|
|
||
剱岳は,飛騨山脈(北アルプス)の立山連峰にある標高2999mの山である。富山県の上市町と立山町にまたがり、日本百名山の1つとしても有名な山である。また今年封切られた、映画「剱岳・点の記」でも周知の通りではなかろうか。この山に登るには、現在一般的な登山ルートとして2つある。一つは別山尾根ルート。立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルから雷鳥沢を登りつめ剱御前小舎に出て剱沢を下り、ルート上にある剱沢小屋、剣山荘を通過し一服剱、前剱を経てカニのタテ這い・ヨコ這いと呼ばれる鎖場を抜けて頂上に至るルート。
もう一つは早月尾根ルート。上市町馬場島から早月尾根を進み、山頂直下で別山尾根ルートに合流する。2200m地点に早月小屋があり多くの登山者はこの小屋を利用している。山野草が豊富で、混雑する室堂を避けて静かな山行が楽しめるルートである。 バリエーション・ルートとして仙人池・池ノ平から小窓・三ノ窓を経る北方稜線ルート、八ツ峰または源次郎尾根をたどる稜線縦走ルート、雪渓をつめる長次郎谷(「劔岳 点の記に登場する山案内人・宇治長次郎に由来」)、平蔵谷、武蔵谷、三ノ窓雪渓、池ノ谷左俣・右俣などの各ルートのほかにクライミング技術を駆使して登攀するルートがあるが いずれも一般登山者向きではない。 私達は今回このバリエーションルートの中で源次郎尾根を登ることにした。 |
|
8月12日(水) 19時30分 神戸・三宮発 寛リーダーの所有するトヨタ・RAV4に5名のメンバーが乗って神戸の街を後にした。阪神高速、名神高速、北陸道を乗り継いで立山インターを目指す。途中立山ICの一つ手前の流杉SAで仮眠をとり、早朝に立山を目指す予定になっている。 深夜12時、流杉SA到着。ここで林の中にテントを張って仮眠する。 |
|
8月13日木) 早朝5時30分、雲行きの悪い中、立山に向けて出発。 立山が近くになるほどに空模様が悪くなってくる。6時15分立山駐車場到着。駅前の利便なところは全て満車、仕方なく常願寺川畔の河川敷駐車場に停める。それでも此処も一杯。世間はお盆休みかー、仕方ないなあ。 立山ケーブルの駅前には人っ子一人見えない。しかし中には列を作って発券を待っていた。始発便に乗ってケーブルからバスに乗り継いで 室堂到着7時40分。 時間が早いのか此処もまだ閑散としている。外は大雨。そういえば美女平を出た頃から小雨模様、車中で居眠りをしていて目が覚めたら大降りだった。あわてて行くこともなく、ゆっくりと時間調整をする。 10時00分。意を決して剣沢を目指す。 多少雨量は減っているようだが、それでも雨具に叩き付けてくる。まあこれも山行の一つか。 |
立山駅は静か | 室堂もまだ静か | 雨をついて出発 | 雷鳥沢も静か | 称名川を渡る | いよいよ別山乗越へ |
途中2回休憩を入れて…剣御前小屋に到着 | |||||
雷鳥坂をを下り、称名川を越えると別山乗越根の道は次第に険しさを増してくる。 前方には何も見えない。ただ足元だけを見ながら一歩一歩進んでいく。20kgオーバーのザックが肩に食い込んでくるが、弱音を吐くわけにもいかず淡々と歩を進める。突然ガスの中に剣御前小屋の石積みが飛び込んでくる。「こう小屋に着いたやん」リーダーの声。 12時00分 剣御前小屋到着。 後は下るだけだ。少々重い荷物でも大丈夫、滑らないようにゆっくりと行こう。 |
|
12時40分 剣沢キャンプ場到着。 テント数は多いようだが、どこでも張れるくらいあいている。ガスでテント場一帯を見渡すことが出来ない。トイレの位置さえ確認不能である。強い雨の中、荷を解き、テントの設営にかかる。テントが立ち上がると合羽も着たまま靴もほどほどに脱いで我先に中に飛び込む。 |
kこの頃から雨足が激しくなり風も出てくる。携行したラジオで気象概況を聞こうとするが電波状態がよくない。剣沢小屋も10分ほど下に移設されているためこの風雨の中を行く気にはなれない。携帯電話も圏外のため、気象に関する情報がまったく得られない。 以前強い雨。トイレにも行ける状態ではない。悶々とテントの中で時間を過ごす。 テントの下が冷たくなってくる。所々アンダーシートが膨れている。テントの周りに溝を掘っていないため雨水の流れがテントの下を通っていた。出入り口から覗いてみると周りは川状態である。どうすることも出来ずただ時をすごしていると、会長が意を決して外に飛び出した、僅かな時間をおいて外からガラガラ、ガリガリ音が聞こえてくる。覗いてみると会長がどこで探してきたのかスコップを手にテントの周りに溝をつけていた。 ありがたいことに、これでテントの中の冷えは解消された。 |
|||
日が暮れて眠りに着こうとするがテントを叩く雨の音と、テントをしならせる風の音にやられて眠れないときを過ごす。明日は1日中沈殿。リーダーの決断でそうなっている。夜中目を覚ましたのは1時だった。ベンチレーターから空を覗くと、まん丸いる月と星を数個確認できた。明日は晴れるかな。そう思いながら再び眠りに着く。それから1時間ほどたっただろうか。バタバタとテントを叩く音とザーザー降る雨音に目を覚ます。やっぱりだめか。期待はずれか。リーダーの決断は正しかったんだな。 |
テントの外の騒々しさに目を覚ます。 人の足音とクライミングギアがガチャガチャとあたる音が聞こえてきた。 ジッパーをおろし頭を外に出して空を見上げると、雲ひとつ無い快晴。周りのテントのクライマーは剣沢を目指して下りていってる。 時計に目をやると、4序45分。思わず隣のテントのリーダーを起こす。 |
|||
「今日は快晴ですよ。沈殿している場合じゃあないですよ」 目を擦りながら出てきたリーダーは 「ええ天気やなあ。行こうか」の一声。 「よーし。5時半出発。レーションで過ごそう」 その一声で全員動きだした。 |
|
|
|||
右上の×印で戻ってください。 |