2016
●第2日目 7月22日(金曜日) 晴れのち雨  梨元ていしゃ場~易老渡~聖平小屋テント泊
易老渡 05:40⇒便ケ島 06:20 ⇒西沢渡 07:09 ⇒ 07:40 野猿の渡し⇒ 薊畑分岐 13:20 ⇒ 聖平小屋13:48
聖岳は南アルプスで一番南部に位置する3000m級の山で。山名は山が深い南アルプスの中でもとりわけ奥深く、世俗を脱した聖なる山、すなわち聖岳という説と、大井川からこの山に登る沢は悪場が多く、ヘズリが多い沢という意味からヘズリ沢―ヒジリ沢―聖沢となり、この沢の源頭の山ゆえ、聖岳になったという説もあるらしいです。
夜中のうちに宇都宮チームはやってきてわずかな時間を仮眠。これから向かう易老渡登山口には指定されたタクシーしか入山できず、マイカーは梨元ていしゃ場に置き、タクシーに乗り換えていよいよ午前4時30分出発です。まだ外は薄暗いです。
噂には聞いていましたが悪路に次ぐ悪路で車高の高いジャンボタクシーしか入山できず、おまけに道路に大きな石が転がって通行を妨げています。「お客さん、すみませんが手伝ってください」 みんなでタクシーを降りて石をどけて再び走り始めました。約1時間で易老渡の駐車場に到着しました。
下山時の迎えの日程と時間を確認してタクシーは帰って行きました。 
やっつけたぞう … 姫路の岩場でクライミング中にこれより大きな石がすぐ横に落ちてきたことがありました。怖い
 いよいよ易老渡を出発です  便ヶ島ですぅ  今は休業中の聖光小屋
便ヶ島 聖光小屋のテントサイト
天気は快晴です。展望のない登山道をひたすら聖平小屋に向けて歩いて行きます。
背中の荷物が出発時からとても重く感じました。「辿り着けるのだろうか?」一抹の不安を抱えながら「大阪組2人、宇都宮組2人」と全員の歩行を合わせるのではなく若者と老人に分かれて自分達に合った速度で進んで行きました。便ヶ島を出発して1時間ほどで流れのきつい川に遭遇しました。西沢渡です。丸太橋も見えますが片方がワイヤーロープで繫がれているものの、流れと同じ方向になっていてとても渡れそうにありません。
西沢に架かる荷物用ロープウエイ…丸太組の橋が流されていたので利用させていただきました 
 川向うを見るとカゴが見えました。奈良県の十津川村には「野猿の渡し」というのが有りますが、こちらの方がはるかに立派です。ジョンが引っ張りましたが動きません。「どうもロックが掛かっているみたいだ。外してくるわ」と、リュックを置きシュリンゲ、カラピラを持ち、行こうとするとリジョ君が「動くよっ!」JONのバカ、反対に引っ張っていただけなんです。4人でエンヤコラ、エンヤコラとカゴを手前に引きよせ2往復で全員渡り切りました。休憩も入れてなんですが何と30分以上も時間を費やしたことになります。
便ヶ島・薊畑のラインは厳しいコースでした 
薊畑はもうすぐです 2314.5mの三角点
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 薊畑の分岐 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
とにかく展望がないため感動も少なくて、ただひたすらに小屋に向けて歩いたと言う感じしか残っていません。「薊畑分岐」と言う看板が目に入ると急に足が軽くなった気がします。ここからわずかな時間で小屋に到着の予定なのです。
聖平小屋への分岐まで降りてきました…小屋まであと少しです
老人組が先に聖平小屋に到着でーす。「こんにちはー」と声をかけて小屋に入ると 「お疲れ様でしたー」明るい声と笑顔のスタッフが迎えてくださいました。便ヶ島から薊畑までも辛くて厳しい山行が報われた気がしました。小屋で手続きを済ませました。すると「お疲れ様でした。どうぞフルーツポンチを用意していますので、カップに一杯注いで召し上がってください」 鍋には一杯のフルーツポンチが入っています。疲れた体には何よりのご馳走でした。「素敵なサービスですね」と言うと「営業期間中は毎日出しています」 フルーツポンチをご馳走になっているとポツポツと雨粒がテント場を襲いはじめました。
「やばいっ!早くテント張らねば!」 何とか間に合ったのですが若者組の到着がまだの様です。
水場で用事をしていると声を掛けてきた登山者がいました。宇都宮チームの知り合いらしく小屋で合流する約束をしているのだそうです。小屋で傘を借りて木道まで迎えに出ると木道の向こうから大きなリュックを背負った2人の姿が見えました。雨の中テントを張りやっとお互いに落ち着きました。既にテントを張っている人の中には雨のため2日間停滞していると言う人もいました。夕食の後は何時に寝たのかわからないほどにバターンキューでした。
文:美智子姫