日本百名山探訪 水晶岳・笠ヶ岳・焼岳 |
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●第4日目(8月6日・木曜日・晴れ) 双六小屋~弓折乗越~笠新道分岐~笠ヶ岳(テント泊) |
笠ヶ岳は、岐阜県高山市にある飛騨山脈、中部山岳国立公園内にあり丸いお椀型の隆起がなだらかな稜線の上に、ポッカリと突き出た特徴的な姿で、北は立山連峰、南は御嶽山からでも、一目でそれと分かる山容をしています。山名もその笠を伏せたような姿に由来している。春になると、山頂直下を頭とする馬の雪形が現れ、高山盆地からも望むことができる。飛騨では、この雪形が現れる頃が田植えの時期と昔から言い伝えられています。北は、槍ヶ岳西鎌尾根と双六岳を結ぶ東西の稜線上の樅沢岳に至り、南は岩峰で日本有数のロック・クライミングのルートを持つ錫杖岳に連なっています。 |
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タイムスケジュール |
双六小屋テン場 |
06:00 |
黒百合ベンチ |
06:48 |
弓折乗越分岐 |
07:40 |
大ノマ乗越 |
08:36 |
2640m地点 |
09:50 |
10:00 |
抜戸岳分岐 |
13:09 |
笠新道分岐 |
13:18 |
抜戸岩 |
14:24 |
笠ケ岳テン場 |
15:00 |
笠ケ岳小屋 |
15:20 |
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ゆうべの大雨がうその様に快晴です。午前5時すぎからテントをたたみ、荷物をまとめて小屋前にあるテーブルで朝食をとりました。8月4日にわさび小屋から双六小屋へ歩いた逆コースを歩くことになります。一度歩いた道なのでアップダウンもわかり弓折乗越までは余裕で歩くことが出来ました。弓折乗越では多くの登山者が休憩を取っており、いまから双六小屋方面や鏡平に向けて下山していく人が多かったように思いました。 |
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双六小屋のテント場に別れを告げて |
右奥の笠ヶ岳を目指して歩を進めます |
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花の平の雪田で一休み |
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花の平の雪田 |
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双六南峰(左)から双六岳の稜線 |
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笠ケ岳方面から来た登山者が「黒百合が咲いていますよ」と教えてくれました。「♪くろゆりは恋の花~♪」と鼻歌まじりでルンルンとした気分で北アルプスの山々を見ながら快適な尾根歩きでした。しかし、しかしなのです。歩いても歩いても地図上にある標識に行きつくことができません。「ながいなぁ~」「あついなぁ~」「しんどいなぁ」誰ともなく夢遊病者のようにひとりごとを呟くようになりました。度々休憩を取りレーションを口に含み「一歩前に足を出せばいつか到着するだろう」と言いながら歩いていました。 |
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秩父平で熊を発見 |
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秩父平にさしかかった時、ウッチー会長が「熊がいるぞっ!」遠くに黒く動くモノが見えます。「あっ本当やっ!熊やっ!」谷筋を挟んでいますのでこちらに向かってくる危険性はありませんでした。熊は水辺を探している様子に見えました。
熊との間はおよそ120mくらい (焦点距離と被写体の大きさで換算) はあいていたと思いますので全く危険は感じませんでした。 |
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私達も飲み物があと少しとなっているのに気が付きました。「やばいなぁ・・・水がなくなるぞ」目の前に雪渓がありましたので、雪解け水が滴り落ちる場所を探しましたがどこにもありません。雪を少し手で掘ってみたら汚れもなく飲み水に代用できそうです。「ペットボトルに雪を入れよう」と雪をかき分け3人の飲料水を確保することができました。「命拾いしたね」熊に別れを告げ次なる雪渓に向かうと何と水がたっぷり流れておりました。そばにはご丁寧にコップまでおいてありました。「さっきの苦労は何だったの?手が凍傷になりそうやわ~」そういいながら美味しい雪解け水を頂きました。雪渓にはトラロープが張ってありましたが安全性に保障がないため岩肌を巻くようにして自力で登って行きました。雪渓の中には種類の異なるストックが2本落ちていました。きっと危険な目に遭ったのでしょう。 それにしてもトラロープを使ったフィックスロープには全く信頼がおけませんね。 |
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抜戸岳への分岐です |
笠新道への分岐です |
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ここは抜戸岩です ここを過ぎれば あと1時間頑張れば到着です |
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出発してから7時間歩いてやっと笠新道分岐までやってきました。笠新道から来たと言う登山者に出会いましたが「いやぁ大変な道でした」との事でした。笠新道は我々は下山に使おうとしている道です。笠ケ岳がチラチラと見え始めましたが、まだまだ到着するには、ほど遠い距離にありそうです。「う~ん!あとひと踏ん張りするか!」ウッチー会長の号令のもと抜戸岩を通過すると目の前に笠ケ岳山荘や色とりどりのテントが見えました。「もうすぐですね」しかしここからが遠かったのです。 |
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3人共無言のままテン場に到着しました。「やっと着いたね」振り返れば出発してから9時間以上歩いたことになります。テン場の手続きには20分ほどかけて小屋まで行かなくてはなりません。「手続きは私が行ってきます。ビールも買ってきますね」重いリュックを下ろすと足がフワフワ浮いているような羽が付いているような感覚で小屋をめがけて最後の力を振り絞って登って行きました。岩場ばかりの道なのでビールを入れるサブリュックを背負い小屋に手続に上がりました。多くの宿泊者は小屋前広場でくつろいでいました。「ビール2本、ジュース2本日本酒2本ください」支払を済ませるとカウンターに注文の品物が並びました。「一人で持って帰れませんのでビニール袋をください、」と言うと「ビニール袋はありませんので2回通ってきてください」そんなこともあろうかと思いサブリュックを背負ってきたのです。すべての飲み物は常温でしたので帰りの雪渓に立ち寄り雪を掻き入れガンガンに冷やした状態でみんなの待つテン場に戻りました。私が往復する間にすでにテントが張られていました。山頂は翌朝踏むことにしてまずは「かんぱ~い!」こんなにおいしいビールは苦しい山行あったればこそ! |
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到着後すぐテントを張ってもらっている間、姫は小屋に上がってテント場使用の手続きやらビールの買い出しやら大忙しです。 |
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小屋で買ったビールには途中の雪渓で雪を入れて帰りました |
この日は水もたっぷりととれました |
20分かけて急な登りを小屋まで行く元気が残っていなくて夕食はアルファ米とメザシなどで済ますことにしました。私が比較的元気が残っていたので水場までサブリュックを背負って水汲みに行くことにしました。「すぐ近く」と書いてありましたが、なかなかどうしてかなりの距離を下って行きます。と言うことは水を入れたら急な登りを登らなければなりません。今回ほどサブリュックに助けられたことはありません。水場に到着すると溢れるほどに冷たい水が流れていました。ペットボトルや水タンクに水を汲み、背負って降りてきた道を登ります。まるで氷を背負っているみたいに冷たい水です。あまり遅いのでジョンが上から覗いていました。「顔も洗っててん」私達が到着してからも何人もの登山者が疲れ果てて到着していました。小屋泊まりの人はため息をつきながら「まだ登らないといけないのねぇ~!もう嫌っ!」「私達のテント入れてあげてもいいけどおじさん二人怖いよ~」冗談を交わしながら一息も二息もついてから小屋に向かって行く後ろ姿を見送りました。夜空を見上げると星が手に届きそうです。きっと明日も良い天気になりそうです。早朝に山頂に登りご来光も見ようと言う話にまとまりました。おやすみなさい。 |
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文:美智子姫 |
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