「贅沢な悩みなんですが・・・お天気が良すぎて日焼けしちゃいました〜
auさん!もうちょっと頑張らにゃアルプス界隈じゃDoCoMoさんに負けてるぜぇ!
2012.08.21夜行移動 2012.08.22 八方山荘〜八方池〜扇雪渓〜丸山ケルン〜唐松頂上山荘
 去年のことです。唐松岳山頂から美しく伸びる不帰ノ嶮のシルエットが「来年はおいでよね〜!」と私達を誘ってくれているみたいで後ろ髪ひかれる思いで帰ってきました。地図を広げ、さわやか信州号の時間を調べているうちに夢は白馬を駆け巡り胸の高鳴りを抑えることはできませんでした。不帰ノ嶮・・・・名前の通り、一度入れば帰って来れない程の険しい所という事で、私自身もなかなか山行勇気がありませんでした。しかし昨年の晴天の夏、唐松岳山頂から白馬三山に向けて一本の細い糸のような道を見て身震いしました。「あそこを人が通るのかいっ?!」それは槍ヶ岳の頂上から北鎌尾根を見た時と同じ興奮でした。「行きたい!歩いてみたい!」
資料を見ているとコース全体が全て険しいというのではありません。クライミングトレーニングを重ね、岩場の通過に恐怖を覚えなければ、あとは天候に恵まれるのであれば夢ではないと自分に暗示をかけました。資料では白馬方面から唐松岳に向けての山行が多いとのこと、多分私達が行く唐松岳から白馬方面は急な下りが多いため登りの多い反対コースを組み込んでいるのだと考えます。前回、唐松岳を終了点と決めて八方尾根に下山しましたので思い出を1本に繋ぐために唐松岳から白馬三山に向けて実施することにしました。
昨年7月21日扇沢から冷池山荘、キレット小屋、五竜小屋を経て唐松岳に到着→
白馬岳は過去に登っていますが、一人の登山者を救護するために山岳救助隊との交渉、ヘリコプターの要請、暗闇での小屋までの道のりと、どれを取っても良い思い出はなく、つらい救護活動のイメージしか残っていません。今回はトラウマとなっている白馬岳の思い出を払拭し、美しい白馬三山を脳裏に焼き付けてきたいと思ったのも、このコースを選んだきっかけでした。唐松山頂から不帰ノ嶮を無事通過し、白馬三山(鑓ケ岳・杓子岳・白馬岳)を通り栂池平でお花畑を見て心を癒すことが出来たらと胸をときめかして今回は7座の頂点を踏む予定でいざ出発です。
8月21日21時30分発の「さわやか信州号」に乗るために新大阪駅バスターミナルに30分前に集合しました。今回のメンバーはオリオンさん・トラ吉さん・Kazu君・ジョン・姫・ポチの6名です。・・・のはずでした。ところが出発の3日前になってジョンの「めまい」が突然に再発したのです。日曜日に様子をみたものの「歩けない」とのことで、止む無くジョンは不参加となりました。今回は不帰ノ嶮と言う難所を通過するので不安はありますが募集時から「自己責任山行」をうたっていましたので天候不良によるアクシデント以外は姫リーダーで大丈夫と判断しました。あとは参加者のみなさんと結束力を固めて行くしかありません。
Kazu君とトラ吉さんは山小屋初体験とのことで緊張も多いことと思いますが、山の先輩である私達が何とかフォローし素敵な思い出になればと思っています。「さわやか信州号」は京都駅で佛教大学の生徒10名ほどを乗せ、ほぼ満席状態で出発となりました。大津・駒ヶ根・安曇野スイス村の各サービスエリアにトイレ休憩したのちに目的地へ向けて登山者を安全に運行してくれることとなります。
タイムスケジュール
08:32 八方池山頂駅
09:18 八方ケルン
09:37 第3ケルン
11:21 丸山ケルン
11:37
12:30 唐松岳頂上山荘着
夜行バスは0時を目途に車内は消灯となりますが、佛教大学の女生徒が暗闇が「こわ〜い」とカーテンを閉めようとしません。姫に「カーテンをしめなさい」と注意され、その後も会話を続けていてKazu君が「あと5分お喋りが続けば切れるところでした」と話していました。
午前4時過ぎ、カーテンの隙間から外を見ると明るくなっています。22日の夜明けです。今日の天気は晴れの模様です。午前6時40分には八方バスターミナル前に到着しました。そこから20分ほどかけて木立の中を歩き、ゴンドラ乗り場に到着しました。ゴンドラの始発は午前8時と資料にありましたが、夏休みの間は午前7時30分から動いているようです。改札口は切符を購入する人で列が作られていました。切符の購入を待つ間、朝食を摂ったり身支度を整えて爽やかな空気を吸いながら乗車待ちをしました。 
さあ、ここからトレッキングが始まります。八方尾根への取り付きです。
八方尾根から白馬三山を仰ぐ
不帰ノ嶮2峰 南峰&北峰 雲上に浮かぶ白馬三山 白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳
南側に聳える 双耳峰の鹿島槍ヶ岳と五竜岳 白馬連峰をバックに
不帰ノ嶮3峰・2峰南峰北峰・1峰 天狗の大下り   八方池
八方池から下の樺から上の樺を抜けて少し広い場所を見つけて休憩をしていました。多分あの時間だと唐松岳頂上山荘に宿泊し、朝から下山の途についた登山者に出会いました。奥様らしき人は少し遅れて下山中の様子でした。「おはようございます」と休憩中の私達にあいさつをして下さり、私達は「下りか〜羨ましいなぁ」と今から登りつめることを想像して誰しもが羨ましく感じたと思います。
その時です!
まるでバレーボールの回転レシーブの様に男性の登山者が転倒し転げ落ちました。「うっ!」うめき声がしたためすぐそばに駆け寄り「大丈夫ですか?」と声をかけました。奥様らしき人は目の前の出来事に茫然とするばかりでした。幸いなことに怪我もなく石段を踏み外したか、バランスを崩したかだったと思います。怪我がなくてよかったです。
標高703mの地点から、ゴンドラと2本のリフトを乗り継ぎ、およそ15分で標高1830mの地まで一気に駆け上ります。山頂駅(1830m)から高山植物の宝庫と言われる八方池(2060m)を通り第1ケルンまでゆっくりと登って行きます。夜行バス利用なので無理は出来ず、本日の登山時間は5時間ほどで宿泊地へ到着することにしています。しかし高山植物を見れば足が止り、美しい景色を見ると足がとまりで体力にもバラつきが目立ち始めましたので「若者」「中高年」と分けて進むことにしました。中高年組が扇雪渓に冷風を求めて立ち寄ったところ「おこじょ」を発見しました。チョロチョロと人間を恐れずモグラタタキゲームの様に岩場から出たり入ったりして私達を楽しませてくれました。
おこじょはチョロチョロと人間を恐れずモグラタタキゲームの様に岩場から出たり入ったりして私達を楽しませてくれました。 
その頃若者グループは雷鳥をみたと騒いでいました。丸山ケルンで合流し、更に唐松岳山頂山荘をめざして登って行きました
次は扇雪渓で「おこじょ」を見ているときでした。私達は石に腰を下ろしたり オリオンさんはカメラを構えたりと休憩体制に入っていましたが下山して来た大柄の男性が「おこじょ」に見とれて前のめりに転倒してしまいました。この方は回転するほどの転倒ではなかったので、私は、ただ見ていたのですが岩角でズボンが敗れたらしく嘆いておられました。ズボンでよかったです。半ズボンだと膝に怪我を負っていたところです。

目の前で見た2人の転倒を教訓に「歩きながら景色を見ない!見る時は立ち止まる!」を全員に伝達しました。歩きながらの景色の観賞は踏み外しやバランスを崩す原因になります。「こんなところで・・・何故?」と思われるようなところで事故は発生するのです。みなさんも「おっとっと〜」を体験したことがあると思います。

登山は「登り」より「下り」が多いのは、みなさんご承知のことと思いますが登りの怪我は「ズルッ」で済んでも下りは大怪我を引き起こしてしまいます。こんな時ストックがあれば転倒防止になるのですが・・・2人の下山者のリュックにはストックがささっていました。何故使用しないのでしょうか?足痛がきたら出して使うのかしら?(それじゃ遅い!)それともオブジェ?それなら最初から持参しなければいいのにと思ったりします。ストックは3本目の足としてフル活用をしたいものです。

ヘルメットの着用も行き交う登山者は多けれど私達だけが着用していました。大雪渓を登って来たと言う横浜の山岳会の人達がヘルメットをリュックの後ろに吊るしていましたが大雪渓を抜けると脱いだ様子でした。暑いから?ヘルメットって案外風を通して涼しくて、風が吹いても飛ばされないし、その上安全なんですよ。

今回、私は初めてのリーダーだったため「全行程ヘルメット着用!」と全員に徹底することはできませんでした。不帰ノ嶮通過時の第2日目は絶対に着帽を義務づけましたがストック同様、持参しているのであれば着帽してほしいものです。

最近 警察署もあまりの頭部の怪我人が多いため、今になってやっとヘルメット着用をアピールしはじめました。アピールではなく義務付けが早く来るといいですね。いいえもっともっと登山者各自が危機管理を確実にやっていかなければなりませんね。上の樺付近で見た男性の転倒は頭部を損傷しててもおかしくないほどの転がりようでした。山に登るときはぜひヘルメットの着用をしたいものです。そしてヘルメットをかぶっている人に出会っても「沢登りですか?、クライミングですか?」などと、あざ笑うようなバカな質問はしないでおきましょう! 
下ノ樺から上ノ樺へと抜けていきます
 小屋到着は午後12時30分となりました。長野県の中学生の団体予約があるため本館の方に割増料金なしで宿泊できるとの事、わずか500円ですがとても得をした気分です。その浮いた500円を元手に使ってビールで乾杯をすることにしました。部屋に荷物を置き、唐松山頂は明日の通過点となるので「行くか?行くまいか?」と言うことになりましたが「今日は今日の唐松岳の顔がある」とオリオンさんの一言で頂上まで散策することにしました。 
 唐松岳山頂から見た唐松岳頂上山荘  唐松岳頂上山荘
唐松岳山頂
KAZUくん トラ吉衛門さん ポッチー オリオンさん ひ め 
折から長野県の中学生120名も宿泊し頂上に向けて長い行列を作っているところに出くわしました。しばらくして大きな落石の音が山に響き小屋周辺があわただしくなってきました。警備隊が受付に来て険しい表情をしています。どうも中学生が故意に石を落としたらしく大問題になっていました。富士見平小屋でも感じたことですが林間学校に出発する前に「山のマナー」について教師の徹底指導が必要だと痛感せずにはいられません。唐松岳頂上からは、明日行く不帰ノ嶮から白馬三山がくっきりと見えています。明日も天気になりますように!

本日の歩行時間は3時間30分(標準時間)。本日かかった時間は4時間00分でした。             唐松岳頂上山荘 泊 
(みんなの感想)
●オリオンさん
夜行バスで寝られていなかったので、バテバテで頂上に登りました。花の撮影、おこじょとの出合いがうれしかった。唐松岳から八方の前回のコースと反対の観点で楽しめました。

●トラ吉さん
 「祝!はじめてのアルプス!」
感激しましたっ!これもトレーニングの成果だとうれしく思っています。登った後のビールの味は一生忘れません!。   

●Kazu君      
 「祝!はじめてのアルプス!」
今まで教えてもらったことを守り登りました。アルプスの山並みを見て、疲れもふっ飛びました。明日が楽しみです。   

●ポ チ      
今日もバテ気味で引き返したい気持ちもありましたが、ここで帰ったんでは二度と誘ってもらえないと歯を食いしばりながらの到着です。達成感は最高です。   

●ひ め      
第3ケルンあたりで早くも体力にバラつきが出たので、唐松岳までは初心者コースで危険もないため「若者グループ」「中高年グループ」と分け合流地点を指示し先に登ってもらいました。丸山ケルンで合流し、唐松小屋へは若者にチェックインの仕事を任しました。それぞれが自己責任において行動が出来たと思います。   
 
0GPS記録&写真提供 鹿島秀元    美智子姫:記0