地形図の基本と読み方 029
JON登山楽講
切り株で南北がわかる?
年輪がふくらんでいる方が南だよ。山で迷ったとき、切り株を見れば南北がわかると聞いたことがある。 光の当たる方が光合成が盛んで、成長するんではないか? 間伐や枝打ちをしっかりやって手入れされた山の木の年輪は、かたよりが少ない。そうしないと商品にならない。 太陽の光がよく当たる“南側”は年輪がよく成長するため、年輪幅が広いというものです。実際には、平坦な場所で、根が均一に張っているような樹木の年輪幅は均一で、東西南北の方位との関係はありません。
年輪幅の広い狭いは、重力に関係しています。斜面に樹が生えている場合や、樹が風など何らかの影響で傾いた場合、樹木は『あて材』というものを形成し重力に逆らって起き上がろうとします。広葉樹は図のように斜面の山側(傾きの反対側)に『あて材』を形成し、傾いた樹体をひっぱりあげようとします(ひっぱりあて材)。逆に針葉樹は斜面の谷側(傾きの方向)に『(圧縮)あて材』を形成し樹体を押し上げようとします。年輪はこの『あて材』の形成にともない幅の広い狭いが決定します。
ですから、「切株の年輪を見れば南北の方角がわかる!」と迷説をとなえた方は、南斜面のハイキングコースでスギやマツなどの間伐した切り株をみてそう信じたのでしょう。
   
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