京都金毘羅山クライミング 2018.08.19

 
アルパインルートを行く 「目指せ龍王!行けるか?龍王!へこむなご老体!」
猛暑から急に秋らしくなった8月19日の日曜日、京都大原にある金比羅山に出かけることにしました。金比羅山は電車・バスを乗り継いで行くにはかなり不便で近所に住む岳友夫婦(koumeiさん&mu-さん)のVolvoに便乗して早朝の5時に大阪をスタートしました。
名神・吹田入口から走行しましたが案外スーイスイと車は流れており、お盆のUターンラッシュも解消されていました。しかし反対車線の大阪方面に向かう車は多少の渋滞が見えました。出発から1時間ほどで大原・江文神社に到着。キツツキが出迎えてくれたのですがカッカッカッカッカッカッカッカッと木を突っつく音だけで姿を見せてくれませんでした。今回の主たる目的はロープ操作の確認。目指すは龍王!
 Y懸尾根のスタート地点  各部のチェックを済ませます  1ピッチ目の途中で振り返ると後続が
午前6時過ぎには金比羅山Y懸尾根のスタート地点に到着しました。まだ誰もいません。準備を終えパートナーチェックを終え、1ピッチ目を登り、人の声がしたので振り返ってみると10人ぐらいのグループがスタート地点に来ているのが見えました。おのおのロープフリーで登ってきました。
自己ビレイはメインロープで 朝陽を浴びてファーストピッチをスタート コーメイ&ムーさんチーム
その後3人組がやってきたので「お先にどうぞ」とルート譲ると何とロープを踏んで行きよった!クライマーとして、あるまじき行為やっ!
みっちゃん ムーさん ムーさんのビレイ 大勢の後続が通過していきます
1ピッチ、2ピッチと順調です。しかし次の瞬間、てごわいルートのお出ましとなりました。1年前に来た時は、この箇所だけkoumeiさんにリードをしてもらい3人引き上げて貰った難所なんです。しかし今回は自力で挑もうと決心し姫がリードで登ることにしました。しかし・・しかしなんです。簡単に行けそうで行けません。「あかん・・・無理・・・降りる~!」そんな悲痛な叫びに「ワシの耳は今日は日曜や」と言わんばかりに「足はもっと横っ!上ばっかり掴みに行こうとするなっ!」師匠の檄が飛びます。どの岩場でも何故か1か所だけ難所があるのはどうしてだろうかと思ってしまいます。やっとの思いで支点場所に辿り着いたとき達成感いっぱいの「ビレイ解除~」の声の清々しい事(今泣いたカラスがもう笑ろた) 
難所を乗り切ったら「去年は登れなかったのに今年は行けた」と、満足度100%。
「こんなとこは朝飯前や」と言う人もいるかと思います。人それぞれですから笑わないで下さい。難所を乗り切ったところで水分補給の休憩をとりました。眼下に見える京都・大原の景色を眺めながら秋の気配を感じ取り元気復活です。ところどころアンザイレンで通過する箇所は、素早くロープを束ねる練習、素早くロープを出す練習をしました。先に通過した人達の声が聞こえてきました。「おっ終了点間近やな」そう思うと嬉しい様な、もう終わりかと少し物足りなさのようなものを感じました。
終了点では京都労山のグループが私達の登り切るのを待っていました。「下の棚にスズメバチの巣があるから気を付けて下さい」と教えてくれました。彼らはクライムダウンで下るそうです。時間はまだ10時を過ぎたところです。長めの休憩をしていたら若い青年2人がやってきました。一人はガイドみたいです。懸垂下降を教えるらしく、クライアントに説明をしていました。スズメバチの巣があることを伝達し注意を促しました。刺されてからでは遅いですからね。
トラバース時リードの滑落からロープの固定、そしてビレイヤーの脱出方法として 
休憩を終えると「滑落したトップを救助する方法」を、実際の現場に見立てた木立と岩場を使って特訓中です。「mu-さん」は何度も「もう1回、もう1回」と自分のものにするまで何度も繰り返し練習を重ねていました。この努力こそが安全登山の基本なのです。岩場の多いアルプスの山々は体力だけで挑戦すると、二進も三進も行かなくなる場合があります。ロープの基本をしっかり学び、練習し、習得してから挑戦したいものです。 

トップにアクシデントが発生。垂直に登っている場合はロープを緩めていけば、足元まで下すことは出来ますが、トラバース時はそんなことはできません。
トップのアクシデントに対応して、ビレイデバイスで滑落を停止し、「大丈夫ですか?」声かけをする。反応がないものとして、救助に行くにしても救助を呼ぶにしてもメイン  ロープから脱出しなければなりません。
この方法は岩に打ってあるハンガーやピンであれ、樹木を利用した場合であっても同じです。
「mu-さん」が練習を繰り返している間、私は青年たちが気になりじーっと様子を伺っていました。どうも懸垂下降を教えるみたいです。見ていて気になったのがATCをハーネスから外してセットしていたのです。懸垂下降は、ほとんど足場の不安定な箇所でセットするのに、ハーネスから器具を外してセットして万が一落下させたらどうするのでしょうか?

「懸垂下降中、手は絶対離さないで下さい」と説明していましたが手を離すとどうなるのか理論的な事も教えてあげてね。少し落下してみせると理解できると思います。(うちの師匠は必ず落ちて教えてくれたなぁ)

「お先に」と青年たちに声をかけて、登山道を下って帰ることにしました。途中に何ケ所かゲレンデがあり、多くのクライマー達が熱心に練習を重ねていました。炎天下から解放された京都大原の楽しい1日でした。
 
  感   想
 ●ひ め
登攀中、苦手な箇所では立ち往生します。「登れない」と、らく印を押すといつまでたっても登れない。進むしかないと決めると何とか頑張れるから不思議です。手と足の位置を間違えさえしなければ前進することができます。岩場に身体を入れ過ぎると次の一歩が難しく苦労しましたが何とかリードで登り切れました。冷や汗たっぷりかきましたが達成感は半端ないです。立山・龍王のトレーニングという名目ではありましたがGOサインがでるのでしょうか。
 ●JON
久しぶりの京都金毘羅山でしたが、年々難しいところが多くなってきます。思い起こせば65歳くらいから急に登れなくなってきました。最近の体の変調は、寒さに対し弱くなってきました。それと暑さに対しても、高齢者の熱中症が多いのも頷けます。特に最近感じるのは高さに対して恐怖心が出てきたことです。10m過ぎると怖さが出てきます。
困ったものです。
 文:美智子姫00