前夜の烈しい雨も明け方にはあがり、太陽の恵みを受けて濡れた岩場はきっと乾いているだろうと期待して集合場所の阪急電車:宝塚駅前の阪急バス停に急ぎ「阪急バス・蓬莱峡経由有馬温泉行き」に乗り込みました。
既に一部の参加者の皆様はバスに乗り込み笑顔で迎えてくれました。まずは燕岳参加のお礼を申し上げて9時20分の発車を待ちます。生瀬橋バス停留所で、もうひとりの参加者が乗り込み「座頭谷」で下車します。
平日なのでだれもいないだろうと思いきや、団体が1グループ、2人組がアイゼントレーニングを実施していました。

今日の予定は小屏風の登攀とロアーダウン、午後は大屏風40メートルの登攀と懸垂下降を繰り返し第2期生の講習終了となります。

先ずはサスケさんと姫が小屏風岩にトップロープのセットに上がります。この岩壁には途中にピンが無いため安全を期して左側より回り込んで岩壁上部に登り、終了点に打たれているコリノックスに流動分散で支点を構築します。そこにメインロープをセットしてトップロープの完了です。
その間、受講生は岩壁の下1mくらいのところでトラバースの練習です。
  最初はなかなか上手くいかないトラバースに練習も回数を重ねて練習していくうちに、多少は様になっていきます。これは安全に岩に馴染む方法です。1m以上、上がらないようにして練習すればまず大丈夫です。仲間がいるなら後ろで構えていて貰えれば尚安心です。
トップロープのセットが出来、小屏風岩での登攀練習が始まります。ビレイヤーは姫と横川さんが務めます。サスケさんは終了点で安全確認です。
この岩壁はホールドがしっかりしており、案外登りやすい壁でもあり受講生の皆さんは果敢にチャレ
ンジしていきます。
ここは上り始めが垂直に近いため取り付きにくい点がありますが難なく登っていきます。登攀については全く問題ないでしょう。ロアーダウンについて、ロープ1本に命を預けるのは不安なことですが、ロープを信じビレイヤーを信じることで美しい姿勢がつくれます。

午後の大屏風岩ではプルージックやフレンチノット(シャント使用の人も)で安全確保して登攀しました。
ビレイヤーに確保してもらうトップロープ方式と違い、滑ればプルージックの長さ分とメインロープの伸び分だけ落下することになります。大屏風をプルージックとは!と思ったのですが、恐怖も勉強のうちだと思い、みんな真剣でした。60メートルのロープを2本垂らし、繰り返し練習に励みました。
此処での練習は初心者にとっては高度感との闘いでしょう。ビルで言えば10階、11階のの高さに匹敵します。この高さの恐怖を払拭すれば、あとは回数で順次なれていきます。
本日最後の登攀者はネコちゃん。参加回数不足でまだ終了レベルに達していないのですが特別に登っていただきました。
1本のロープにネコちゃん、もう1本にサスケ先生が「見守り隊」として登攀してもらいました。
ネコちゃん必死に努力している姿が下から伺えます。登る姿は美しいものではありませんが、一歩また一歩と登っていきます。時々どうしていいのか立ち止まることもありましたが、岩場を3分の1過ぎたあたりで「ガンバレコール」を送り、仲間達の黄色い声援も手伝って見事に攀りきることができました。声援の拍手が新緑の蓬莱峡に鳴り響きました。
大屏風には過日、転落死した人への花が手向けてあり、少し気持ちがブルーになりましたが、安全第一を合い言葉にみんな見事な登攀と懸垂下降でした。これでアルプスの岩場も自信を持って登山することができます。おめでとうございます。
小屏風岩で、少しの時間でしたが「ビレイ」の体験もして頂きました。これはお互いが信頼関係のもとに安全に登攀をする大切な行動です。いきなり上手なロープ操作など出来るはずがありません。回を重ねるごとに上手になっていきますのでシステムを確実に覚え、操作を確実にこなし、クライマーの依頼があったら喜んでビレイをしてください。

クライミング中、周りの人達のおしゃべりが、どれほど災いとなるか向かい側の壁で練習する団体の雑音で感じていただけたのではないでしょうか。

私がクライミングを始めた当初、ビレイヤーが周りの人と話をしていたのが登攀中の私の耳に入ってきました。私が落下するかも知れないのに、おしゃべりだなんてと思い「私のビレイを真剣にしてくれているのですか!?」と叫んだ事がありました。
経験の浅いクライマーは不安と恐怖で必死に登攀しています。
足の置き場や手の位置など教えてあげたいのは山々ですがリーダーの指示がなければ黙って見守るのが安全なクライミングだと思います。
少しブランクがあると腕が鈍ります。時々クライミングのお誘いをしますので、ぜひご参加下さい。ロープの切れ端は居間の片隅に置き、毎日「エイトノットはローマ字のエル2回」と呪文の様に練習して下さい。ビレイも今日は基礎入門であったかと思います。回数を重ねていれば、マスターできます。だって1期生の私達も最初は「ビレイは出来ません!」と怖がっていたんですもの。それが回数を重ねているうちに、み〜んな出来る様になったんです。

やまたび倶楽部の『岩登り講座』は、安全山行を目指して行っているものです。国内における一般登山道であれば安全に歩行できるように講座の間は登山靴で登っていただいています。修了者の皆さんの中でさらにクライミングを続けていかれる場合は、ハーネス、クライミングシューズ、ATCは用意していただくことになります。また安全登山を目指していかれる方は地獄谷を定期的に歩かれるとかキャッスルウオールの西側を歩いてトレーニングをしてください。
皆さんのレベルは、RCCUーV級マイナス です。Y級までありますが、V級プラスかW級位を目指して楽しんでください。
今日も「打ち上げ」のビールで乾杯をしたかったのですが途中で1名(今回の卒業生)が帰宅したあとでしたので、またあらためて「卒業クライミング」楽しみにしてて下さいね。

★★60歳を過ぎて、こんな楽しいこと覚えて、しあわせ〜!★★
文:久田美智子 写真:鹿島秀元

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