安全な登山を目指して
004  クイックドローについて
 岩場のハンガープレートに対しクイックドローのクリップは、クライミングの基本であり重要な技術です。
カラビナやクイックドローへのクリップは、クライミングの基本であり重要な技術です。何も難しいことはない単純な作業のように思われますが、クライミングをより安全かつスピーディにするためには様々な要素を考慮する必要があります。特にロープの流れに対するクイックドローの向きや、ロープをカラビナにクリップする方法には注意が必要です。例えば、ルートの核心部でダブルロープを小さなカラビナにクリップするときには、高いクリップ技術が必要です。クライミングをより楽しく安全にするためにご確認ください。
 クイックドローの基本。
 クイックドローのクリップ
必ず『ストリング』等のウェビングプロテクターが付いているクイックドローを使用します。
アンカー側のカラビナは自由に動くことができる必要がありますので『ストリング』などを付けないでください。
ロープ側のカラビナは『ストリング』を付けて固定します。
 【警告】
1本のクイックドローに2個の『ストリング』を付けないでください。柔軟な動きができなくなり、 カラビナの動きが妨げられて不適 切な方向に荷重がかかる危険があります。
 【注意】
アンカー側とロープ側のカラビナは、交替せずに常に同じものを使用してください。アンカー側で使用したカラビナは絶対 にロープ側で使用しないでください。アンカー側のカラビナは繰り返し使用するうちに傷が付くことがあります。フォールした時に そのような傷でロープがこすれると、ロープが損傷し、寿命が短くなってしまいます。
 ロープの向き
カラビナのゲートは常にクライマーが進む方向の逆を向くようになっていなければなりません。
カラビナにクリップするロープは、必ず壁側から手前に向かって通します。クイックドローやロープを誤った向きにクリップすると、ロープの動きによってカラビナが外れたり、フォール時にボルト上のカラビナが動いて外れたりすることがあります。
 ロープは正しく流れていますか!
正   誤-1 誤-2 
ピン側のクイックドローのゲートは、
クライマーの登攀方向とは
逆の方向に向けるのが正しいセット
ピン側のカラビナのゲートは、
クライマーの登攀方向を向いている。
ロープ側のカラビナのゲートは外を向いている 
 ピン側のカラビナのゲートは、クライマーの登攀方向を向いている。ロープ側のカラビナのゲートは岩側を向いている
 誤-1の場合…ロープがカラビナから外れることがある 
 @  A  B
 カラビナのゲートの方向がクライマーの登攀方向を向いているとゲートとロープが緩衝しやすくなる。  墜落したときロープの流れ方やキンクの状況によって、ロープがゲートの上から落ちてくるような格好になる。   ロープがゲートを下げるとゲートが開く
 C  D
 ゲートが開き、
ロープが外れる格好になる
 この段階では
完全にロープが外れてしまっている。
 誤-2の場合…ハンガーからカラビナが外れることがある
 @  A  B
ロープ側のゲートが岩壁の方を向いていると危険 ロープの流れ方にとってはクイックドロウが持ち上がりスパインが上部方向に返ってしまう 完全にスパインが上になったらロープの重さでゲートは開き始める
 C  D  E
、このタイミングで墜落したら  ゲートは大きく開き  ハンガーから外れてしまう
上記は手でカラビナが返ってしまうことを表現しましたが、墜落時にはクイックドローもロープもどんな動きをするか
解らないのでこのような現象が全く無いとは言い切れない。現にハンガーからカラビナが外れるという事故は
度々発生している。
リングボルトへのすくい掛け  グテーへのすくい掛け
@ A B @  A  B
リングボルトやグテーなどへは下から掬い上げて掛けるようにしてください。ゲートと岩壁が相対する掛け方はしないでください。