2024  
プライベート山行 近江の大峰山
修験者の行場
ある日、テレビで「山が私を呼んでいる!」と思わせるほどビビッと来た飯道山の放送を見ました。すぐにメモを取り、ネットで検索し自分の体力と比較しました。
「うん、行けるぞ、行きたいぞ、行こう!」そう決心し相棒にすぐ連絡をいれました。相棒は最近鳥の撮影に凝っており登山から遠のいています。そして「昔のように体力がない」と言います。それは私も同じです。
修験道の行場なので危険も伴います。近くに住む若きクライマーに車の提供と我々をビレイをして貰いたいと頼むと快諾してくれました。 
梅雨の合間を縫って狸の里・信楽方面へ車でいざ出発です。新名神高速道櫨を走り林道を走り飯道山と飯道神社の駐車場に到着です。私達の他に駐車車両はおりません。この日に目指す山は忍者の里として有名な滋賀県甲賀市にある飯道山で標高664mです。山中に行場が数多くあった山岳信仰の霊山で、「近江の大峰山」と言われていたそうです。
駐車場で出発準備を整えすぐ横にある鳥居をくぐり、まずは飯道神社を目指します。丁石は「登山道一丁目から飯道神社七丁目」と書いてありました。いきなりのきついきつい登り階段に喘ぎながら「ゆっくり行きましょう」と言う若きクライマーの声に励まされて100mほど登ると一丁目の丁石が目に入りました。二丁目の丁石あたりでジョンが「しまったぁ!弁当を車の中に忘れた!」おぅ・おぅ・おぅ・命取りになるのでは?(笑)引き返す力もなく昼飯抜きでもいいかとそのまま前進すると若きクライマーがサッと引き返し車に取りに引き返してくれました。(流石若いね!)「弁当忘れても傘忘れるな」とは聞いたことがありますが「弁当忘れて山登るな」は聞いたことがありません(笑)
白鬚神社がありここでみそぎをしてから登れと書いてあります。五丁目を過ぎたあたりに地蔵宿がありました『六道を みちびきたまう 地蔵尊 前にいこうも えにしなるらん』と書いてありお地蔵様に一礼をして前に進みました。
前の晩に雨が降ったのか登山道は小川の様に水が流れています。笹も茂っており子供の頃に作って遊んだ笹舟をつくり登山道に浮かべました。(よぉ遊ぶなぁ)
巷では30度越えの猛暑だと聞いていますが大きな木立が太陽を遮りどこからともなく吹いてくる冷風に助けられながらふと目の前を見上げると建物が見えてきました。7丁目にある飯道山神社に到着です。
もうすぐ弁天堂です これは高野槙でしょうか 七丁目に到着です 立派なトイレがありました
ベンチに腰を掛けて水分補給と眼下に広がる田園風景を楽しみました。ここには新しくて立派な水洗トイレが設置されており有難く使わせて頂きました。
さて、いよいよ待望の修験道の道へと入ります。「ここからは行者道のため危険です単独では入らないで下さい」と看板が立っていました。足を滑らせて落ちてしまうと電波の無い山では助けを呼ぶこともできません。片足をやっと置くだけの道幅には枯葉が生い茂っており湿った落ち葉はまるで滑り台の様です。ヘルメットをかぶりスワミベルトやカラビナも装着し装備は完全です。
 弁天堂です  左・飯道神社境内 右:飯道山頂上  飯道神社境内
腰掛椅子から見た近江の集落 宝篋印塔 役の行者像
ここは不動の押し分け岩です
緊張のネジをしっかりと締めて歩いていると熊鈴の音が後ろから聞こえてきました。「先に行ってください」と道を譲り「鏡の大石」や「不動の押し分け岩」を見上げながら次に出て来る「胎内くぐり」を楽しみました。胎内くぐりはテレビで見た時よりも狭く感じて真っすぐには進めない狭い所もあり身体を横にねじって出口にでたときは思わず「こわかった~!楽しかった~!」(どっちやねん!) 
先に通過した岐阜県から来た女性2人は平等岩の前にたたずんでいました。ひとりが登りかけていましたが下りが怖いと言いながら途中であきらめているところでした。
「登っても降りられないと分かっただけでも偉い」と言い、ジョンがロープでサポートしてあげることになりました。まずは若きクライマーがトップで登り支点をつくりロープをかけて引き上げます。女性はロープで確保して貰ったことでスムーズに上がって行かれました。平等岩の上から見る景色は絶景でした。安全にクライムダウンを指導し、残りの女性も「私もぜひ登ってみたい」と言う事でチャレンジ! 「とても良い記念になりました」と大喜び。ヤマップに載せてもいいかと聞かれてので承諾しハチキン姫のブログの宣伝も忘れませんでした。 
平等岩を楽しみました
平等岩で岩登りを堪能したあとは落ちたら危険と思われる斜面の狭い蟻の塔渡りを通過し
狭い岩場を這い上がり急坂にあえぎながらやっと「東ののぞき」までやってきました。とても良い景色です。ここで昼食タイムです。だ~れも来ないのでゆっくりと景色を堪能しながらおにぎりを頬張りました。
昼食後もきつい登りやゴロゴロした岩場が続きやっと飯道神社の屋根が見えてきました。無事下山の報告をして駐車場へ向けて下りました。
 帰り道にある道の駅に立ち寄り、そびえたつ近江富士(三上山)に別れを告げて帰宅しました。車から降りると下界はムッとする猛暑で山の中に引き返したい気分でした。
終わりに
平等岩は前日の雨で少し濡れており滑りやすくなっていました。力任せに登ると怪我をする場合があります。大きな鎖が2本かかっていますが私達はロープ持参し安全確保で登ることにしました。女性が2人登りたいのに登れないと悩んでいましたのでフォローできたことが良かったです。足場の悪い支点場所での若きクライマーのビレイとジョンのアドバイスがなければ岐阜の女性達は成し遂げられなかったと思います。クライミングの楽しさを味わって貰えてよかったです
home back