欣風さん曰く 「六甲山の新しいコースを教えて!」 その第3弾です。 
「芦屋川―高座の滝―地獄谷―A懸尾根―C懸尾根―風吹岩―十字路―高座谷」
▲高座谷の滝道は要所要所紅葉の残り香が窺えます 
今回は岩場歩きの地獄谷遡行です。関西の山岳会が冬山の山行の前に必ずと言っていいほどトレーニングに入山するコースです。今回はひょんなことから神戸の山岳会のジョンの岳友と合流して一緒に歩くことになりました。彼はアイゼントレーニングの下見です。

午前9時、阪神芦屋駅で欣風さんと合流、阪急芦屋川駅で神戸の山岳会のKanさんと合流しました。駅前広場は土曜日とあって子供連れが多く見受けられます。

私の最も苦手とする滝の茶屋までの「ダラダラ坂」を30分かけて登りました。(ダラダラ坂の命名は姫)もう頭の中から汗がしたたり落ちています。殊の外、紅葉が太陽に当たって美しいのに驚きました。山全体も美しく染まっています。冬山トレーニングなのか大きなリュックを背負った人達のグループが前を歩いています「冬山はどこに行くのかな?」私はもう寒い山は卒業しました。 
高座の滝のお地蔵様に挨拶を済ませ地獄谷を降りると冬山トレーニングの登山者たちがロープワークを始めていました。欣風さんは随分昔にこのコースを体験していますので今回はロープ無しで進んでいきます。(不安だと言えばすぐにロープが出せるように準備をしています)

水の流れはほとんどありません。「急がないでゆっくり確実に足の置き場を見据えて」と、お互いが確認し小さな滝を登りながら地獄谷の核心部へと入っていきます。西宮の山岳会の女性2人がアイゼンを装着してピッケルを使いながら私達の前を登っています。安全地帯に到着する迄、後ろで待機しながら進みサメ岩で休憩を取りました。
▲カニ岩から上部の一枚岩を登る
▲芦屋地獄谷の水の流れも 小便滝を過ぎた辺りで 枯れてしまいます
▲小便滝からA懸尾根に上がると 目を見張る美しさ 秋晴れの空と残り紅葉がマッチしていて 思わず感嘆の声を上げました
休憩後サメ岩からは私達が先に行かせて貰いました。核心部を登っていると後ろが数珠つなぎになっておりビックリしました。土曜日だから利用者が多いみたいです。

慣れているコースとは言え、油断は禁物です。緊張しながら高度を上げていきました。今日は小便滝の水もチョロチョロで水量はありません。いつもはA懸岩めがけて行くのですが、今回はC懸尾根へと進んで行きました。見晴らしの良い場所でランチタイム、空は青くポカポカ陽気でときおり吹く風が心地よくコロナの事を一瞬忘れることが出来ました。
山岳会のアイゼントレーニングに最適の場所もみつけ通行の妨げにならないことも確認できました。
▲A懸尾根から中央稜方面を望む
▲A懸尾根を行く先行パーティ
▲A懸尾根から下りてくるとA懸垂岩です 此処もアイゼンピッケル&ロープワークのトレーニングゲレンデです
▲C懸尾根 の北側は尾根が崩落しています
 C懸尾根はあまり足を踏み入れたことがないのか藪漕ぎ状態で分岐に差し掛かり「右?左?」と聞くと「右だっ!」と、よほど自信があるのか即答が返ってきました。しかしきつい斜面の先は大きな岩でふさがれています。「えー?ほんまに右でいいの?」「右だっ!」リーダーの声に疑う余地もなくザレ場に足を滑らせながら1本のシダの茎を握りしめ、それでもズルズルと滑り落ちていきました。「これ・・・間違ってませんか~?」「すまん、すまん左や~引き返してくれ~」・・・やっとの思いで登ったのにUターンせよとのこと「行きは良い良い帰りは恐い」とはこのことで滑り台の様に身体がズリズリ・・・このまま滑り落ちたら木に股をはさんで怪我をすること間違いなし(大笑)ストックを岩に付き当ててブレーキをかけ何とか無事降りてきました。その光景を見ていた大笑い中の欣風さんはその様子をスマホで撮っていました。
▲JONリーダーの言うとおりに 右に左に進んだら 二進も三進も行かなくなったじゃん …疲れたじゃん
左に軌道修正して藪漕ぎしていくと何やら緑色の人工物が見えてきました。傍らには鉄塔らしき姿も見えてきました。「登山道に出たぞぉ」第二鉄塔に無事到着です。
Kanさんが風吹岩の崩落状態を見に行くとの事でしたがジョンと姫は力尽きて鉄塔で待機することにしました。
▲藪漕ぎのあと中央稜線に合流…あわや遭難寸前でした なんて誰も思っていません 快適快適 
Kanさんと欣風さんと2人で出掛けた後、子供連れ家族が何組も中央稜から登ってきます。「こりぁ中央稜は混むなぁ」ということで高座谷を下山することにしました。十字路まで登り風吹岩から戻って来る2人を待ち、高座谷コースを下りました。この道はいつ来ても込み合わず快適に下山することができます。
下山時にあちこちの山で崩落が始まっていることに驚きました。キャッスルウオール横も崩れています。やがてキャッスルウオールもクライミングできなくなる日が来るかもしれません。(この日は登攀しているクライマーがいました)
▲高座谷を下って高座の滝を過ぎ真っ赤に紅葉した芦屋の街へと下っていきます
 ▲此処の所 写真も文も姫が頑張っています
地獄谷も目新しい岩がコース上に落ちていました。地獄谷は危険を伴うコースなので、いつ岩が転がって来るのか見極めて、雨上がりには岩も緩んでいますので気を付けたいと思います。風吹岩の崩落を見ると恐怖で足がすくみます。あの大きな岩が私の目の前に転んで来たら・・・でも、地獄谷は魅力が満載で楽しいトレーニングコースなのです。しかしガイドブックには「中級コース」として案内された芦屋地獄谷…軽装のランナーやスニーカーのグループが目立つようになってきました。安全登山はまず適切な装備からだと痛感しています。
▲阪急電車・芦屋川駅の近くで反省会をして家路につきました
 
感   想
 ● ひめの感想 
欣風さんに六甲山のコースを案内すると言いながら、私達はあまり詳しくはないのです。何故ならば気に入った地獄谷コースばかり歩くので新しい発見はありません。あとは欣風さんがお気に入りコースを見つけて楽しんで貰えたらと思います。六甲山はほぼ全域で携帯電話が通じません。道迷いしたときのために地図とコンパスを携行することをお勧めします。
 ●欣風さん
気持ちと身体がスッキリ。
有り難うございました。
岡本リーダーにも宜しくお伝えください!
●JON
雪山のトレーニングをやっているグループを見かけました。皆さん必死でやっておられるようですが よくよく観察させてもらっていると あくまでアイゼンとピッケルを持っての谷歩きのようでした。登攀中はピッケルは手から離さない。ロープワークのセット中や懸垂下降時は手から離すのはやむをえません。アイゼンは小さく引っ掛かりを探すのではなく膝を支点に蹴るようにポイントに置く、岩と雪は違うのですが雪のように蹴り込んでいけば爪がしっかりと食い込んでいきます そこをイメージしてトレーニングしなければなりません。