欣風さんが「芦屋から有馬への道はもう飽きた、別のコースを教えて!」の第2弾です。
立冬を迎えて寒いかと思いきや風もなくポカポカ陽気の木曜日、「城山から岩梯子を経て荒地山」コースを選びました。
芦屋川駅から芦屋川に沿って高座の茶屋の手前に「城山コース」と書かれた看板がありそこを右折し、まずは城山へと向かいました。山は少し紅葉が始まりかけているようで赤く色付いた葉もチラホラ見受けられます。城山を散歩する近所の人達と出会い朝の挨拶を交わします。自宅からこんなに近くに散歩コースがあるのが羨ましいです。わずかな時間で城山の広場に到着です。木製のベンチがあり衣類調整のため休憩。既に汗ばんでいます。中央に大きな木があり、テレビ電波塔の横には国有地をNHKが借用していると説明板が立っていました。
▲十月桜
▲城山コースの途中から見た芦屋の街方面
 ▲城山の上でひと休み ▲ 城山の上に送電塔工事
休憩を終えて進んでいくと国土交通省六甲砂防事務所の三級基準点がありました。更に進むと「工事中、迂回路」と書かれた看板があり、人の声と機械音が聞こえてきました。新しく送電塔を立てている最中でした。見上げると鉄塔のはるか上の方で作業をしている人がいます。「ヒェー!サーカスみたいだわ」命綱はしていますが見ているだけで怖くなりました。
▲六甲アイランドや芦屋の街が望めます 
何度目かの鉄塔の下で休憩を取っていると近所の方が登ってこられました。「ここで折り返します」と言っておられましたがこの先は岩梯子なので安全のために折り返したのだと感じました。時折、風が吹き汗ばんだ身体に心地よい風を送ってくれます。木立の中を土を踏みしめて歩いているだけで「山に来たのだ!」と、幸せを感じます。それに誰一人追いついて来ないし降りても来ないし、しばらくは貸し切り状態でした。
岩場が出てきていよいよ岩梯子に到着です。欣風さんは岩梯子登攀が初めてのためロープで安全対策をとることにしました。まずは姫がロープを腰に付け岩梯子を登ります。10年ぐらい前に登ったきりなので、少し戸惑った箇所もありましたが何とか安全地帯まで登ることができました。立ち木で支点を取って半マストで欣風さんを引き上げました。欣風さんは恐がることなく順調に登ってくるためビレイが間に合わないほどでした。(次回からロープ無しで大丈夫ね)
▲岩梯子
岩梯子を登り終えると、次に待ち構えるのが「新・七衛門嵓(しんしちえもんくら)」。ここはリュックを背負ったまま通過できません。なのに、ジョンが「姫の小さなリュックなら大丈夫!行って見ろ~」と言うので穴蔵に首を突っ込んだ途端リュックがひっかかりました。仕方ないのでリュックを下ろして穴の向こうに置いてから、自分自身を穴に突っ込み通り抜けました。次に欣風さんのリュック、次に欣風さん自身、最後にジョンのカメラとリュック、ジョン自身と穴を潜り抜けました。振り返って穴蔵を見ると「あんな形でよく止まっているなぁ!」・・・平成7年1月17日阪神大震災でくずれた後の形が現在の姿なので「新」が付いていました。
 「七右衛門伝説
『昔、七右衛門と呼ぶ純真な若者が世をすねて酒酔享楽の末、盗みを覚え有馬へ向かう山越えの行商人を襲い続けた。元来、荒地の山には石の宝殿に祭る権現様が住んでいて悪事を働くものを連れ込むと伝わっていた。七右衛門はこの岩穴で頭をくじかれて、たたり死にしたという』
▲新七右衛門嵓
▲新七右衛門嵓の上で遠望を楽しみます
▲荒地山ボルダリング岩群の中を行きます
▲ 昼食場所
新・七衛門嵓を通過するとわずかな時間で大きな岩の塊の場所に到着しました。丁度平たいテーブルの様な岩があり、ここで昼食を取ることにしました。お弁当は欣風さん特製の美味しいお弁当をご馳走になりました。お弁当を食べようとしたとき、どこからともなく猫が1匹、2匹、3匹・・合計5匹が物欲しそうな声でニャーニャー泣き始め、すり寄ってきました。あげたいのは山々だけど心を鬼にして「自分達で強く生きていくのだぞ~」と言っても猫に通じるわけはありません。何度もすり寄ってきました。5匹とも丸々と太っています。「大丈夫、自然の中で上手に生きているんだ」と思っていた矢先・・・大きな荷物を背負ったおじさんが登ってきました。猫のネグラに入り餌を出し始めました。半端な量ではありません。大量に持ってきていました。そして何やら帳面に記入しはじめました。何をしているのか聞きたかったのですが「やめとけっ!」とジョンに止められてしまいました。私は「おじさん!そこまでするのだったら家に連れて帰って飼っては如何?」と言おうとしたんです。(ジョンに見破られていました・・・笑)
 ▲荒地山
午後からのスタートは10分ほどで荒地山(標高549m)の山頂に到着しました。だ~れもいません。かなり広い平らな場所ですが展望がまったくありません。(三角点も基準点もない)荒地山は、その名の通り全山岩肌を露出した粗粒花崗岩で、風化がひどくそんな名前が付いたのだそうです。
荒地山からは風吹き岩を目指して下るのみ、途中で水飲み場があり一人のおじさんが水汲みにやってきていました「ワシはここの水ばかり飲んでいる」との事で欣風さんが代表で飲んでみると「うまいっ!」との高評価でした。姫は湧水で腹痛を起こした経験が何度もあり絶対に湧水は飲まない。ジョンも飲まない~(笑)
▲ 荒地山ボルダー岩群全景…風吹岩から撮影  ▲左写真の最上部右側の岩…昼食場所です
▲ 風吹岩
見覚えのある風吹岩まで降りてきました。驚いたことに大きな岩が落ちていました。以前、岳友に崩落した岩の写真を貰い知ってはいたものの、これほどにひどいとは思ってもおりませんでした。風吹岩のあちこちが変化している様に見えました。
▲キャッスルウオール
▲高座の滝登山口を目指して下ります 
▲芦屋の街を下っていきます
高座の谷コースを下りゴール地点の高座の滝まで無事に降りてきました。お稲荷様に無事下山のお礼を申し上げました。欣風さんに「ピラーロックコースと岩梯子コースとどちらが好きですか?」「今日の岩梯子コースです。」その言葉を聞いて、案内した甲斐があり、今日1日の疲れが吹っ飛んだ気がしました。

帰りにJR芦屋駅近くでパン屋のお店を出していると言う欣風さんの息子さんの店に立ち寄り、美味しいコーヒーを頂き、食パンを購入して帰りました。柔らかくてとても美味しそうで朝食が楽しみです。
感   想
 ● ひめの感想 
10年ぶりの岩梯子です。懐かしくて胸がワクワクしました。変化に富んだ楽しいコースではありますが、決して初心者向けではありません。この日も単独の女性が新・七衛門嵓で立ち往生していました。最初はコース経験者に同行して貰った方が安全です。六甲山は簡単そうで遭難の多い山です。「あれっ?どっちの道だったかな?」と迷う箇所もあります。欣風さんは「岩梯子」入門コースを合格しました。コース盛りだくさんの奥の深い六甲山を楽しんで貰えたらと思っています。
 ●欣風さん
 六甲山は懐が深いですネ!
前回も今回も素晴らしいコースを体験させて頂き感謝しております。 岩梯子の登攀に感激し、風吹岩の崩落の惨状には唖然としました。
又,是非よろしくお願いします。
●JON
登山のグレードにはクラス1~クラス5までありますが前回のコースがクラス2、今回のコースがクラス3です。ウオーカーのレベルならクラス1、ロープを使う回数が多くなってくるとクラス4、アルパイン登山のようにお互いにロープを結びあって登攀するとクラス5になります。
体力おありの欣風さんの今の状態でクラス3でしょう。この辺りを維持しながら登山をお楽しみください。
 
参考マップ