當麻の里 ぼたんまつり 令和の元日に… 2019.05.01
 
令和元年5月1日
令和の幕開けで日本中がお祭り騒ぎになっている5月1日、外は小雨が降っています。
太陽の光線に悩むことなくボタンの花をカメラに収められるであろうと、奈良県にある當麻寺を訪れました。ぼたんまつりは4月16日から5月6日まだ間に合いそうです。
地下鉄で天王寺から近鉄線古市乗り換えで当麻寺駅下車。無人駅でICOCAで通過できないおじさんが慌てている以外は人影はありません。雨だから敬遠したのか、それとも令和の行事に橿原神宮でも行ったのかと思うほど静かです。当麻寺までの直線の道は狭くて車が来るたびに家の軒下に退避しなければならないほどの昔ながらの門前町風景です。
「中将餅」の旗が、否が応でも目に入るほど建ち並んでいます。「帰りに買おう!」
その言葉を信じて中将餅老舗の前を素通りしました。(心残りだわぁ)当麻名物の中将餅は、甘さ控えめのよもぎ餅にあんこが乗っかっているそうです。牡丹の花弁がかたどられた中将餅は、口に入れた途端によもぎの香りが鼻腔に広がるそうです。葛城の里に自生するよもぎがふんだんに活用されているそうです。(全て想像・・・だって食べてないもの・・)
わずかの距離で當麻寺に到着です。小雨にもかかわらず大きなカメラを首に掛けた人たちが広い境内に点在していました。入口にある藤の花が雨に濡れてとても綺麗です。當麻寺は、ぼたんの名所として知られ、古代の三重塔が東西一対で残る全国唯一の寺としても知られています。本尊として祀られる當麻曼荼羅(たいま・まんだら)は、奈良時代、藤原家の郎女・中将姫さまが写経の功徳によって目の当たりにした極楽浄土の光景を壮大な規模で表したもので、中将姫さまを常に守護し、導いた守り本尊「導き観音さま」とともに今も多くの人々のよりどころになっています。
當麻寺の拝観料は500円なのですが「庭園、書院、茶室、霊宝殿、ぼたん園、曼荼羅堂、金堂、講堂」それぞれに必要で全部拝観すれば4000円もかかります。(オドロキ~!)
私達は大和三名園の一つである中之坊の池泉回遊式庭園を選び拝観し庭先に咲くぼたんをカメラに収めました。それぞれのぼたんには雨除けの白い番傘がさしてありました。旬を過ぎた花もありましたが、蕾や見頃の花も沢山あり色鮮やかな大きなぼたんを堪能することができました。
吉野山の名物である陀羅尼助(だらにすけ)という漢方薬が、當麻寺の中之坊でも製造されていたという説明書きと共に大きな釜を見つけました。
當麻寺のぼたんを見終えて石光寺(せっこうじ)も行って見ようと言うことになり地図を見ながら、道標に従いながら1㎞ほど歩いた先にある石光寺を訪れました。拝観料は400円で境内全部を廻ることができます。

石光寺(せっこうじ)は、修験道の祖である役行者(えんのぎょうじゃ)・役小角(えんのおづの)が第38代・天智天皇の勅願によって開山したと言われています。天智天皇の勅命により、霊光を放つ大石に弥勒如来を彫らせ、堂宇を建立したと言われています。石光寺は中将姫(ちゅうじょうひめ)に因んで、染寺とも言われています。中将姫は蓮の茎を集めて糸を採り出し、石光寺の境内に掘った井戸・染の井に糸を浸したところ五色に染まり、井戸の傍らにあった桜・糸掛桜に糸を干し、その糸を使って一夜の内に当麻曼茶羅(たいままんだら)を織りあげたとも言われています。ぼたんは中国から薬用として伝えられ、古くから植えられていたそうです。
(関西花の寺二十五霊場の20番札所)
途中、中将姫の墓にも立ち寄りました。(中央左)とても立派な墓所で綺麗な生花が手向けられていました。 
中談中央にあるのは奈良県最古の五輪塔。国重文 当麻北墓五輪塔と呼ばれており 平安後期 凝灰岩、高さ245cm
『中将姫の両親には、なかなか子宝に恵まれなかったので、長谷寺参詣により熱心に祈願し、観音菩薩のお陰で、娘を授かり、中将姫と名付けたそうです。中将姫5歳のとき、母・紫の前が病死、7歳のときに継母がやってきました。継母と実父の間に弟が誕生すると、継母は中将姫の優れた気質が鼻に付くようになったそうです。中将姫は9歳になると、女帝・孝謙天皇と百官の前で箏を演奏し、大変な賞賛を受けるのですが、同席し箏の演奏が上手くいかなかった継母は、これを契機に中将姫への思いが抑えきれないほどの激しい憎悪に変わり、この後、命をも狙った壮絶な継子いじめが始まったと言われています。中将姫は不思議な力に助けられ、ことごとく失敗することになる。そればかりか、中将姫を毒殺しようとして、誤って実子・豊寿丸を死なせてしまう』という伝説がありました。
境内には、ぼたんの花が所せましと植えられており色とりどり大きく花開いていました。ところどころにある藤棚には白、ピンク、むらさきと種類も多く雨で更に美しさを醸し出していました。石光寺には雨除けの傘もなく雨に打たれて自然のままの美しいぼたんが心に残りました。蕾も沢山あり、まだまだ楽しめそうです。
石光寺を出て「道の駅・ふたかみパーク當麻」で休憩をし、田園風景の広がる中を快適に歩き二上神社口駅から電車に乗り帰宅しました。
 「姫の感想」
雨だから美しい光景がカメラに収められる言うことを実感しました。太陽の影も気にすることも無く美しいぼたんが撮れたと思います。階段の隅で懸命に生きているカタツムリを見つけ思わずシャッターを押しました。山歩きしていると見つけられない小さな感動も、のんびり歩けば見つけることができます。それにしても残念なのは「中将餅」です。帰り道に買おうとしたのですが當麻寺駅に戻ることはなく二上神社口まで歩きましたので、「中将餅」には再び出会うことは無く、惜しいことをしました。
「欲しい物は見つけたその時に買う」