「久しぶりの山登り」
コース 阪急嵐山駅~清滝~月輪寺~愛宕山~表参道~清滝 
タイム 阪急嵐山駅経由清滝09:21⇒登山口09:56⇒月輪寺11:07⇒陽だまりの丸太ランチ12:30-13:00⇒三角点捜索に約30分費やす⇒愛宕山13:45⇒表参道ゴール16:05⇒清滝バス停16:10⇒梅田18:00
「熊野古道ばっかり歩いていて山に登る自信が無い」と不安がる師匠の気持ちを和らげるためjunkoちゃんから急きょ京都・愛宕山へのお誘いがありました。
愛宕山は、京都府北西部、山城国と丹波国の国境にある山。京都市街を取り巻く山の中で、比叡山と並びよく目立っており、信仰の山としても知られています。
標高924m。三等三角点は境内から少し離れたところにあるようです。山頂は京都市、山体は亀岡市にまたがり近畿圏内の人たちから愛されている山です。
比叡山と並び古くより信仰対象の山とされていました。山頂には愛宕神社があり、古来より火伏せの神様として京都の住民の信仰を集め、全国各地にも広がっています。本能寺の変の直前に明智光秀が愛宕神社を参詣し愛宕百韻を詠んだことでも知られています。亀岡市から愛宕山への登山道は明智光秀が通ったことから「明智越え」と呼ばれています。
愛宕百韻:『発句は光秀の「ときは今 あめが下しる 五月かな」、脇は行祐の「水上まさる 庭の夏山」、第三は里村紹巴の「花落つる 池の流を せきとめて」』
阪急電車・梅田駅です ここから登山に向かうのは5年ぶりでしょうか
京都線の桂駅で嵐山線に乗り換え、嵐山駅からは京都バスで清滝を目指します
阪急嵐山駅に到着後嵐山駅で「京都バスフリー切符」を購入しました。エリア内なら何度乗降してもいいらしいです。駅前にある清滝行きのバス停留所に急ぎました。もう座ることは諦めなければならないほど人が並んでいました。まあ、わずかな距離だから辛抱しよう。
バスに乗り清滝まで行きます。渡月橋を渡るころ観光客の姿があふれ出しているように感じました。清滝バス停から下り道をしばらく歩き渡猿橋を渡ると、大きな看板で「表参道コース」「月輪寺コース」の道標があり、ほとんどの登山者は表参道コースに消えていきます。私達は往路を月輪寺コース、復路を表参道コースと選択しました。
分岐から空也滝へは往復20分で手軽に行けるところにあります。行場でもあり、まさに霊場の雰囲気が漂っているのですが何度も訪れているため、今回は立ち寄らずに月輪寺コースの階段へ歩を進めました。
今日のメンバーはjunkoちゃん、ジョン、姫の3人です。
月輪寺への道は、登りばかりの長い道のりを、ゆっくりと進みます。久しぶりの登山なので「速度はゆっくり一定で、汗をかかず、息を切らさず」の山の歩き方の基本を頭の中で繰り返しながら登って行きました。口は達者なのですが足腰は加齢に伴い衰えつつあります。
「熊野古道歩きは見るものがいっぱいあって楽しいよなぁ!」と言いながら、山桜や新緑には時期的に早く、変化の無い景色の中を黙々と進んでいきました。
▲月輪寺:月輪寺は鎌倉山(かまくらざん)と号する天台宗の寺で、法然上人25霊場の第18番目の札所である。
寺伝によれば、天応元年(781)慶俊(けいしゅん)僧都の開基と伝え、寺名は地中より掘り出された宝鏡の背面に刻む「人天満月輪」の銘によっている。 
月輪寺ではお坊様が熱心にお経を唱え、お詣りをしている姿を見ながら休憩をとりました。月輪寺の関係者は非常に神経質で静かに通過しないと叱られるとの噂なので、お口チャックで静かに通過しました。寺の敷地内に明智光秀お手植えの天然記念物「石楠花」があります。月輪寺を過ぎると唯一、くだり道に出合いホッとしたのも束の間で、林道分岐までは、ほとんど登りばかりの道のりです。
時計を見ると正午を過ぎています。急にお腹もすいてきました。陽だまりの丸太を椅子にしてランチタイムとしました。見渡す景色をご馳走にして楽しいひと時でした。しばらくすると若いカップルが上がってきました。見ると男性がリュックを前後ろに背負っています。女性は空身。う~ん・・これはいただけないなぁ(そんな時は中身を抜いて空のリュックでもいいので背負わす方がいいのよ~って喉から手が出るほど言いたかったけど・・言わなかったヨ)
昼食を済ませて高度を上げていくとヒンヤリとしてきました。愛宕山の山頂は麓と10度の温度差があると言います。防寒着や手袋を身にまとい、まもなく愛宕神社に到着するはずです。
登山道を登り詰め白髭神社の参道に合流したところを右にとって三角点を目指します
これって全部枯れ木?ですかあ
「愛宕山の三角点ってどこ?何回も訪れているけど行ったことがないから今日は行こう!」GPSを頼りに三角点を探しながら歩いていると先ほどの「リュック2個青年」たちが付いてきます。「私達は三角点を探しに行くんだけど一緒に行く?」と言うと「え~っ?山頂はこの道ではないのですか?!」山頂方向を教えて私達はズンズン奥の道へ。するとどうでしょう雪がたっぷり残っていました。「ああ軽アイゼン持参の事ってこういう事なのね」と思いつつもアイゼンを履くほどではなく雪を踏みしめて前進しました。「おっかしいなぁ・・ここらへんなんやけどなぁ・・」GPSと睨めっこのジョンを尻目に「ここと違う?ロープも垂れているし足跡らしき踏跡もあるよ」そこは絶壁に通じる崖になっており残置ロープだけでは危険のため止む無くあきらめました。戻って調べてみると『愛宕山890mの三角点は石段下の月輪寺コース分岐まで戻る。分岐を100mほど行くと月輪寺への路が右下に分岐する。直進する路は三角点峰へと続く。三角点は愛宕神社の場所より30m以上も低い。展望は開けるもののわざわざ立ち寄るほどのこともなかった』と書いている人がいました。私達は三角点には辿り着かなかったものの、今年初めての雪に接することができて興奮しました。なかなか楽しい三角点探しとなりました。
▼伊吹山遠望
 ▲愛宕神社は、旧称は阿多古神社。全国に約900社ある愛宕神社の総本社である。「愛宕さん」とも呼ばれ親しまれています
愛宕山神社へと軌道修正し最高峰へ。長い長い階段を上り、最高峰であろうお賽銭箱の彼方をながめて「山頂に到着」としました。境内の人に尋ねましたが最高峰地点と言われる場所へは関係者以外は立ち入ることはできないそうです。
下山に向けて階段をゆっくり降りていると団体らしく人達が登ってきました。岡山から日帰りの「山登りの会」の皆様らしいです。「どこの山へ登るのですか?」と聞くと「ここです」と岡山からわざわざ愛宕山登山ツアーらしい。階段の下ではバテバテで登り切れていない人もいました。どうぞご安全に。

前回ここを訪れた時はポッチーも元気で歩いていたのにと思い出し、山には登れなくなりましたが、写真やレポートを懐かし気に見ている姿を見ると山行記録は自分のためだけではないことを痛感しました。見て勇気が湧くのなら、もっと詳しく、もっとたくさんの写真をと意欲が湧いてきます。(しかし・・熊野古道ほど撮る写真がないなぁ)
   水尾の里  
▲表参道にある黒門 :下って行くと黒門と呼ばれるりっぱな門をくぐりました。この黒門からが寺の境内を表し京口惣門とも呼ばれているそうです。
大丈夫、屈まなくても頭は打たないよ
▲ハナ売り場 下りの表参道コースには、昔は愛宕詣りの人が多かったことをしめす茶屋跡や水尾地区から樒を売りに来たと言う「ハナ売り場跡」もありました。
樒をかまどにくべると火事から守ってくれると言ういわれがあるそうです。 
▲水雄別れの東屋 ここを清滝方面に下って行くと「カワラゲ投げの跡」もありました。風に従って飛鳥の様に深谷に落ちて行くのを楽しんだそうです。
下を覗くとゴミが沢山落ちていました。誰が投げたか知らないけど悲しいね!
▲麓から山頂までを「40」の分数で表す道標も初心者にとっては目安になるのではないでしょうか。(1/40は麓、山頂は40/40) 
途中には、お助け水がありましたが私は山中での湧水は、よほどのことがない限り飲まないことに決めています。ネパールや那智神社での自然の湧き水トラブルで辛くて痛い思いをしています。もう同じことを繰り返すのはコリゴリなんです。 
午後からは下り坂ばかりでさぞ楽だろうと思っていましたが、長くてつらい階段の道のりが待っていました。膝を痛めないようにストックに助けられ愛宕神社の鳥居をくぐって聖地を出ます。振り返ると大きな看板に「山上の神社まで気温の差10度、自分で登り、自分で下山するほかに手段なし」と書かれた看板に見送って貰いました。
▲参道の傍らに有るープウエイの廃線跡:かつて愛宕山の麓から山頂付近までを結んでいた愛宕山ケーブル。現役当時は日本一長いケーブルカーとしてその名を全国にとどろかせていたそうです。当時運転されていた車両は定員84人で土曜休日などは山頂にある愛宕神社への参拝客で溢れかえっていたそうです。
清滝の町の満開の梅 表参道コースの登山口に下りてきました
 Junkoちゃんの感想
一週間後に熊野古道の印南~芳養の22kmが控えているので心配しましたが、無事に歩けて良かったです。無理をしないように一日でも長く登山を楽しめるように願っています。愛宕山には五月の半ばに咲く九輪草を求めてまた訪れたいです。三角点探索にも再度チャレンジしたいです。
 JONの感想
4ヶ月ぶりの登山です。熊野古道の平道だと25km歩いても何ともないのですが今回は堪えました。蹴って歩くのと踏んで歩くのとでは使う筋肉も違うのでしょうし、背負う荷物も重いです。翌日は体がバラバラです。
数多くの山を歩いてきましたが今は熊野古道歩きが数段楽しいです。まあ月に一回ぐらいはトレーニングで山に入らなきゃあと感じているところです。
 ひめの感想
清滝発午後4時32分のバスに乗り阪急・嵐山駅で下車。桂駅で乗り換え梅田駅からまっしぐらにバッテラ屋に駆け込みました。しかし、しかしなのです。満員で階段には順番待ちの人達が沢山いました。諦めてグルグルと店の中を覗きましたがどこも満席状態で、やっと見つけた餃子屋さんに飛び込み反省会を致しました。
「久しぶりの山登りたのしくもありしんどくもあり」
 文:美智子姫  

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