2016
久しびりの本格的登山…本谷を登って中道を下る
一ノ谷御在所山の家08:25⇒大黒滝10:20⇒ロープウエイ乗り場11:30-12:00(昼食)⇒8合目12:40⇒キレット13:10⇒おぼれ岩13:40⇒中道登山口ゴール14:10  
 11月4日に紅葉を求めて行ってきた御在所岳。その時帰りのロープウエイの中から直下の谷底を登る登山者を見つけて「次はあのコースに行きたいな!」そう思ったものです。27号棟のクライマーkomeiさんと善哉パーティしたとき話題となり酔いの力もあり「ikoka~、行こ~、いこ~」となりました。間髪入れずの2日後、再び御在所に向けて車を走らせました。
朝焼けは雨の兆しか  トンネルを出ると突然 朝霧  御在所岳が良く見える  一の谷山の家の前で
前回のレポートにも書きましたが御在所岳は、鈴鹿山脈のほぼ中央に位置し御池岳、雨乞岳に次いで3番目に高い山です。鈴鹿セブンマウンテンに選定されています。午前6時集合で名神高速を走ります。外はまだ真っ暗です。夜明けと同時に太陽もまぶしく顔を見せてくれました。翌日が雨マークでしたので「今日はいい天気になりそうだね」と言いながら甲賀あたりに差し掛かるとガスが発生していました。10メートル先が見えない状態です。
 「御在所山の家」  道案内していただきました  谷に入ります  ここから谷歩きの始まりです
高速を出て、道の駅でトイレ休憩。キャンピングカーや車中泊と思われる車、極めつけはベンチに寝袋で寝ている人もいます。みんな御在所に登るのでしょうか?。御在所岳ロープウエイの駐車場を通過し鈴鹿スカイラインを走り、一ノ谷御在所山の家付近に車を停めたいのですが既に満杯でスペースがありません。名古屋ナンバー、三重ナンバーが多く、なにわナンバーはあまりいない様です。やっと1台だけ駐車できるスペースを見つけてました。登山口に、ほど近い場所に停めることができました。今回のルート「本谷コース」はバリエーションルートで地図には載ってないルートのためペンキマークを頼りに登ります。ルート間違いも多いと聞きます。一の谷新道の入り口からスタートし、しばらく歩くと、かつては多くの登山者が利用していたのでしょう。ここには「御在所山の家」が立っていました。地元の住民なのでしょうか、ひとりの老人が「気いつけて行きなはれや。」と声を掛けてくれました。途中に「本谷コース」と大きな岩にペンキで書かれているので見落とさないように矢印に導かれて河原にでました。
ここから谷沿いに登って行きます。「上級者向けコースにつき、入山注意」の看板もかかっていました。念のためロープも用意しています。ヘルメットとスワミベルトも装着済みです。かなりの急登です。沢登り状態が続き、いくつもの大小さまざまな滝を登ったり高巻しながら進んでいくと上の方に人影を見つけました。「御在所山の家」で挨拶を交わしたお爺さんが私達の来るのを待っている様子でした。お爺さんとは言え健脚で装備もきちんとされておりヘルメットも着用しており、なかなかの山男に見えました。年齢は80歳とのこと、オドロキです。私達はこの老人を「永遠の80歳さん」と呼ぶことにしました。バリエーションルートで地図には載っていないため「永遠の80歳さん」がコース案内をしてくれることになりました。「若い兄ちゃんは滝の中を行きなはれ、あとの2人はそっち」などと体力に合わせてコースまで選んでくれます(苦笑)六甲山で出会う知ったかぶりの爺さん達とは違ってアドバイスも適切で嫌味も無く、山の先輩として気持ちよく従うことができました。休憩時には美味しそうにタバコをふかし野生の「紫式部」の花を教えてくれました。私達だけだと必死に岩にかじりついているので絶対に見つけることができません。白い岩肌に可憐に咲く紫色の美しい事。2時間ほど岩にかじりつきながら登って行くと「大黒滝」に到着です。
「永遠の80歳さん」が1週間前に死亡事故があった話をしてくれました。滝にはロープがかかっており何らかの原因で滑落、後から来た登山者によって見つけ出され通報。救助通報を受けたものの天候不良でヘリコプターも飛べず一晩この場所で過ごしたことを話してくれました。石の上に仏様を寝かすわけには行かないので山岳方の人たちによって杉の枝を敷き詰めて仏様を寝かせ朝を待った様子を説明してくれました。その場でみんなで合掌。その話を聞いた後に結構きつそうな岩壁にぶちあたりました。岩には真新しいピンが打ち込んでいます。1週間前の事故の後、地元の山岳会が設置したのだそうです。足を滑らせると谷底に滑落する危険場所のためシュリンゲを2本繋ぎ、スワミベルトに環付きカラビナで確保して貰い何とか無事通過しました。その様子を見ていた「永遠の80歳さん」が「ほぉ・・ちゃんと道具持ってるんやな」と安心した様子でした。真上を通過するロープウエイに手を振ると手を振り返してくれます。後ろから5人くらいのトレイルランのメンバーが登ってきました。背中のリュックは限りなく小さくて雨具もツエルトも入っていない様子でした。「先に行きなはれ」と「永遠の80歳さん」が的確に指示を出してくれます。しばらく歩くと若者達は休憩しており私達が先に進んだりしました。
ムラサキシキブが奇麗でした 
コーメイ君のムーブです 
大きな三角岩(サメ岩とも言うらしい)がお出ましです。トンネルになっており リュックだけ引き上げて貰い 中を潜り抜けました。
目の前に大きな三角岩(サメ岩とも言うらしい)がお出ましです。トンネルになっておりリュックだけ引き上げて貰い、中を潜り抜けました。バリエーションルートだけあってスリル満点です。何故かロープウエイの滑車が落ちていました。上にロープウエイの駅が見えてきました。まもなくゴールかと思いきや「まだまだ」と「永遠の80歳さん」はタバコをふかしながら振り向いて景色を楽しむように促します。そうだ!必死に岩にかじりついていて上のロープウエイしか見ていなかったと気が付き後ろを振り返ると、まず登って来た高さに感嘆の声を挙げました。そして鈴鹿の町並み、遠くには海が見えています。「永遠の80歳さん」とは途中でお別れです。丁寧に礼を言いレーションのみかん1個を差しだしてこの日のガイド料としました。(笑)ありがとうございました。とにかく多くの人たちがコースを間違えてロスをするらしいのですが私達は山の先輩のおかげで無事安全にロープウエイ駅舎下のアゼリア広場のゴール地点に到着することができました。恰好のテーブルをみつけて昼食タイムとなりました。日向ぼっこ状態で気持ちがいいです。下りは中道ルートを下ります。
アゼリアの昼食テラスはハイカーでいっぱい
 富士見岩展望台 1時間前には、あの谷底からロープウエイを見上げていました
ここから中道を下山開始です
前回は登りに使った道ですが下りはイメージが全く違っていました。朝の霜が溶けたのか登山道は水を含んだ悪路となっています。おまけに登って来る人の多い事、多い事。登り優先と言えども、これでは下山できません。10人グループに道を譲った後komeiさんが「3人降りますから!」と犬で言えば「待った!」の声を掛けました。登りの登山者の足がピタリと止まり何とか通過することができました。今までにない爽やかな声の掛け方を学習しました。それからも危険な岩場の鎖場でイヤーン・・コワイ」と叫ぶ女子に向かってリーダーらしき人が「ゆっくり、ゆっくりでいいからね」と言うだけでサポートもしてあげず少し下で見ているだけ、考えられへんやろ。こんなリーダーには着いて行かないことです。プロのガイドさんでもガイドレシオは5と言われています。あんなに大勢連れて大丈夫なのでしょうか。待つ身にもなれよと言いたいところですがグッと我慢をしました。
ここが中道の名所 キレットです
 御在所はハイキングコースではありません。りっぱな登山コースです。リーダーとなる人は同行者をトレーニングに誘ってから本番の山を楽しんでほしいものです。
思いの外、交差時間に手間取りました。4合目あたりで休憩中の若者5人に出会い「下山中?」と聞くと今から登ると言う。時間は午後2時少し前でした。
「あとどのくらいですか?」と聞かれる始末。「うえに着いたら4時でしょうね」と応えましたが、先はまだまだ長く、4時到着は順調に登っての話です。山は午後4時を過ぎると薄暗くなります。明るいうちに頂上に着けばよいのにと願わずにはいられませんでした。山は午後4時を過ぎると薄暗くなります。
地蔵岩 おばれ岩
中道登山道にゴールしたのは午後2時を過ぎていました。ほぼ予定通りの時間です。
下山届を出し土山サービリエリアで近江牛の「遅めのランチ、早目の夕食」を食べました。レシートを持参すると近江米のつかみ取りのイベントがあり気合を入れて会場に行って見ると「閉店ガラガラ」でした。残念でした。レシートを握りしめて再び大阪に向けて走りました。
今回はお姫様山行で、後部座席でゆったりと車窓を楽しむことができました。ゆったりし過ぎでイビキまで出していたとか・・失礼しました。komeiさんは雪の時期に本谷コースを行きたいらしく熱心に雪崩の状態、凍結の状態を調べていました。久しぶりに登山らしい登山が出来て大満足でした。
 ひめの感想
しばらく「ゆるゆるコース」ばかり楽しんでいましたので久しぶりのハードな登山に緊張しました。「上級コース」ということなので、少々不安ではありましたが、いざスタート地点に立つと背筋がピーンと張る思いでした。見上げるとロープウエイが通っており、前回来た時に、ロープウエイから眺めた景色に立っているのかと思うと感無量でした。危険個所も何度か出くわしました。日ごろの地獄谷トレーニングが役に立っていると思います。岩場歩きは、バランスが必要で、常にトレーニングをしておけば楽しく通過できると思っています。とにかく岩場歩きは楽しくて仕方がありません。
文:美智子姫