2016
「箕面のお山はまだ青かった…でもおサルのお尻は真っ赤だったヨ~」
紅葉にはまだ早いと知りつつも、ひょっとしてと淡い期待を抱いて深まりゆく秋を求めて阪急電車箕面駅に降り立ちました。少し肌寒さを感じます。コートを着てマフラーを巻いている人もいます。駅前には何やら若い方達の集団がミーティングをしており腕章を覗いてみると「美化活動」と書いてありました。滝道の清掃ボランティアみたいです。まだ午前9時と時間が早いため滝道の沿道にある店はどこも開店しておらず静かな佇まいでした。
滝道は人もまばらです。きっと紅葉にはまだ早いと言うことを知っているのでしょう。朝方まで雨が降っていたのか地面が濡れて滑りやすくなっています。この日のコースは大滝の茶店横から雲隣展望台めがけて歩き、こもれび展望台から地獄谷を下り姫岩に出て朝通過した道の反対側を歩いて帰る、ゆるゆるコースを選びました。「箕面の森ハイキングマップ」は観光案内所で1部10円で手に入れることができますが案内所はまだ開いていません。「足湯」の看板がありましたが建物は施錠されているようです。昆虫館や瀧安寺を通り頭上に野口英世像を眺めながら約1時間ほどで箕面大滝に到着です。ジワッとほどよい汗をかきました。大滝の水量はほどほどに流れ落ちています。あと10日もすれば色とりどりに紅葉し多くの見物人が滝を見にやってくるのでしょう。少し休憩をしてから大滝の茶店横にある階段を上って行きました。
所々にしっかりと看板や現在地を示す地図があり道迷いすることはありません。ゆるやかな登りですが時々谷筋に向けて傾斜となっていて危険個所もありました。「雲隣展望台」に近づくと辺り一帯が異様な臭いがしてきました。「臭いなぁ・・・何の臭い?」六甲山で嗅ぐイノシシの臭いとも違います。傍にいたハイカーが「猿の臭いですよ。ここら辺はサルが多いですからね」なるほどと思いながら展望台に上がると椅子やテーブルの上にダンゴみたいなものが散らばっています。猿の糞です。思わずシャッターを押しました。この展望台は猿のたまり場兼トイレになっているみたいです。早々に引き上げ前に進みました。
快適なアップダウンの道が続きます。わずかな時間で「こもれび展望台」に到着しました。前回は雨で休憩したかったのですが先客がいて中に入ることが出来なかった場所です。この日は誰もいません。猿の糞の臭いもしません。行動食を口にしてしばし休憩を取り山々の紅葉していく姿を想像して楽しみました。2人組のハイカーがやって来ただけで誰とも出会わず六甲山の混雑と比べると静かな山行です。「さて、下りるとするか」の掛け声で地獄谷に向けて歩き始めました。「キーッ!キーッ!」遠くで猿の鳴き声が聞こえます。
六甲のお山はイノシシ、箕面のお山はサルやな。サルと出会えるといいなぁ」そんな会話をしながら歩いていると前を歩く姫が「ウオッ!」と素っ頓狂な声を出して、後ずさりをして来ました。「登山道にサルがいてるっ!」姫の声に驚いてサルは山中に隠れてしまいましたが丸々と太った毛並みの良い大きなサルでした。「惜しいことをしたなぁ。写真撮れなかったわ」と言いながら地獄谷の谷道と尾根道の分岐に差し掛かったところのベンチの上に毛づくろいをするサルの群れを見つけました。一匹、二匹、三匹・・・数え切れません。沢山のサル達は陽だまりを見つけて互いに毛づくろいの真っ最中。私達の姿を見て母ザルは生まれたての赤ちゃんを小脇に抱えて安全体制を取りました。人間社会では子供に虐待をしたり、殺してみたりの悲惨な事件が多発していますがサルの母性愛は人間以上だと思いました。「人間が来たぞ!」と危険を知らせるサルの鳴き声が山中に響き、サル達が一瞬険しい表情になりました。危害を加えないとわかったのかまたおだやかな表情に戻りました。どの仕草も可愛くて動きたくありません。座ってしばし見惚れていましたがあまりの数に少々危機感も感じられ、もし襲ってきたらと闘う姿勢も忘れませんでした。谷筋の登山道の方がサルの数が多そうなので尾根筋を行くことにしました。「ちょっと通してや」「コンニチワ」とサルに声を掛けながら無事安全に通過することができました。また出会えるかどうかわかりませんが山が色づくころ同じコースを歩いてサル達と再会したいと思っています。
 おサルの楽園
地獄谷口まで戻り姫岩を通り朝とは別の道を歩きました。滝道は大勢の人が往来していました。老舗の料亭では結婚式も行われており通行人が物珍しそうに足を止めていました。朝はシャッターの降りていた店も灯りがつき軒並み箕面名物のもみじの天婦羅を揚げる香ばしい匂いが漂っていました。観光客も多くなっています。登山者と言うより近くにある宿泊施設の客がチェックイン前に大滝までを散策していると言った様子でした。そのほかには乳母車を押した親子連れであったり、ランナーが走ったりとさまざまな人間模様を見ることができました。柿やみかん、栗に芋などの出店に誘惑されることなく箕面駅にゴールです。
時間は午後1時、たった4時間の山行でしたが無理の無い高齢者のウオークには最適なコースです。何と言っても動物園よりも多いサル達との出合いが満足感いっぱいでした。また行きたいと思います。阪急電車に揺られ梅田に着くと目の前にはバツテラ屋・・・寄らずに帰るはずもありません。遅めの昼食をバツテラとミニビールで喉を潤し帰宅しました。
 ひめの感想
最近、低山の遭難が増えました。ペットボトルだけ手に持ちリュックも背負わず歩いている人をよく見かけます。散歩モードで山に入る人が増えているらしいです。「山」と名の付く場所に出かけるときは「登山靴、防寒着、雨具、ヘッドライト」などの装備をきちんとして出かけたいものです。昼食時だけでなく休憩ごとに、おやつ等をこまめに食べると脳が活発に動くため安全に山を楽しむことができます。出発前には同行者の服装や荷物チェックも大切です。
文:美智子姫