2016
「テキストの疑問点は実技で確認…解消」
9月21日、北海道・樽前山に登ったのを最後に山歩きをしておりません。約1ケ月ぶりにリュックを背負いました。10月22日の土曜日、阪急芦屋川に到着すると既に本日のメンバーである「クライマー・koumeiさん」は到着しておられ久しぶりの山行に心が弾みました。この日の主たる目的はかねてよりkoumeiさんからの質問に答えるための山行です。地獄谷からA懸岩のゲレンデで資料に書いてあることの疑問点を解消すべく、実技でしっかりと学ぶことにしました。ロックガーデンに繋がる道は土曜日とあって家族連れが多く中央稜からは賑やかな声が聞こえてきます。地獄谷入口には前回も見たエアロビクス集団がマットを敷き、何やら体操を始める様子でした。(ここでする意味は何だろう?)そんな集団を横目で見ながら、登攀装備を身に付けて地獄谷に入りました。
エアロビクス集団 登攀装備を付けて さあ行こうか 先を行くハイカー
現在の地獄谷の入り口 中央稜から見た現在のゲートロック右壁の状態
ゲートロックはクライミングの入門コースとして多くのクライマーに利用されてきましたが、2008.6月初旬に第一回目の崩落が始まり、2008.7.3に二度目の大きな崩落が発生しました。その後壁面が少しづつ剥がれ、22日に撮影した右上の写真を見れば現在も崩落は続いているようです。
この頃から地獄谷の崩落は少しづつ進んでおり、第一鉄塔への分岐直下の小滝が崩れたり、谷の様相が変わってきています。大雨のあとは新しい落石が沢に転がっていることも多々あります。地獄谷の通過にはヘルメット、ロープおよび登攀具などは必携だと思います。
中央稜から見た崩落開始時のゲートロック 崩落開始時のゲートロック右壁 崩落開始時の地獄谷の入り口
いつ来ても飽きないコースです。いつ来ても楽しいコースです。相変わらず高巻をして登って行くハイカーの多い事!崖のような斜面に張られたトラロープに全体重を掛けで登っていますが「そのロープ信用していいの?」と心配になりました。
山行が1ケ月ぶりとあってリュックも重く、歩き始めはヨタヨタ歩行でした。体力の低下を真摯に受け止めなければなりません。途中でアイゼントレーニングの集団がロープを出して登っているのですが、あまりにも時間がかかりそうなので「お先に行かせてもらいます」と言葉をかけて先に進みました。いつもは獅子岩で休憩を取るのですがどう考えても後続のアイゼントレーニング集団がA懸岩のゲレンデを使いそうな気がしました。単なる感でありますが、あの人数でA懸岩を占領されると私達のロープを張る場所はありません。先を越すしかないと考えました。「休憩しないで先に行ってロープを張ろう!」要するに場所取り作戦です。休憩なしで登りますので息絶え絶え・・・。
A懸岩に到着するとラッキーなことに先客はおらず、すぐにロープを出して支点セットを終え、それから休憩を取りました。 
雪山トレーニングのパーティがアイゼン&ロープワークの訓練をされていました
 一か月ぶりに山に入ったJONは登攀具の重さと体力不足にバテバテです…もうアカン
まずはウオーミングアップの登攀下降を楽しみました。その後は色々な登攀道具でkoumeiさんの質問事項に答えるべく師匠の熱い講義が炸裂しました。
▼ 懸垂下降中の停止および固定の方法
停止をしたら デバイスの下側のロープを二つに折ってビレイループを通してオーバーハンドで結びます
▼ 停止、登り返しのできるデバイス…アルパインアップを練習しました
 ●登り返しはアルパインアップを使う方法  コングのインディ・エボやペツル・ストップとプーリーを使って1/3システムを組んで行う方法  ペツル・タイブロックとスリングを使いロープの下側にインクノットを足に結んで立ち上がる方法など練習しました。
▼ 停止、登り返しのできるデバイス…アルパインアップを練習しました
 しばらくすると、アイゼントレーニング集団がやってきました。感が当たっていた様でやはりA懸岩でアイゼントレーニングをするみたいです。「アイゼンを外してください」リーダーらしき人がメンバーにそう伝えた後、「無言」で私達の左右にロープを垂らし準備を始めました。(ちょっと一言挨拶してほしかったなぁ)周りの雑音も気にせず熱心にロープワークを実行していると正午近くになり雨がポツリポツリと落ちてきました。講習も、ほぼ終わったことだしゲレンデを譲ることにしました。支点解除に登って行くと左右の支点作りをしていたリーダーっぽい人がおり「どちらの団体ですか?」と聞くと「大阪の山岳会です」との事でした。「私達はもう終わりますので真ん中を使ってください」と言い、私達はロープを回収し、その後レーションを食べながら、登攀下降の様子を見学(腕前視察?)していたのですが指導者らしき人は数人であとはロアダウンが怖いと言っていたので初心者の様に見受けられました。
▲雪山のトレーニングパーティの登攀風景です
帰り支度も整い、きつい斜面を第一鉄塔まで登り、中央稜を下っていると、まだまだ登って来る家族連れも多かったです。中央稜から見るゲートロックは崩壊しているものの、そろそろ使えそうな落ち着きを見せていました。地獄谷とロックガーデンの分岐まで降りてきたときに出会った若者が「六甲山の頂上までどのくらいですか?」と尋ねるので「風吹き岩?」と聞き返すと「六甲山山頂です」と言うので、ここは入口でまだまだ時間がかかることを伝え、風吹き岩をゴールにするようにアドバイスしました。あの恰好で、あの時間からでは六甲山頂上までは無理~!。しばし滝の茶屋で反省会をし、混雑して来たので早々に店を出て、阪神電車・淀川駅で下車。3人共帰る方向が同じなので近くにある「ミスタードーナツ」で二次会(?)をしました。全員甘党なので話は盛り上がりました。久しぶりのクライミング山歩きで体力の衰えを感じつつも充実した一日でした。本日の教訓です。ジョン曰年寄りは難しい山はむ~り~…年寄りとは山行するなあああ』
高座ノ滝まで降りてきました 滝の茶屋でおでんで一杯 淀川のミスタードーナツで一休み
 ひめの感想
私がクライミングを始めたきっかけは「北鎌尾根」へ行くためでした。3000m越えの山頂直下には必ずと言っていいほど岩場がお目見えします。その岩場を安全に通過するためにはクライミングの基礎が必要と言うことで始めました。習い始めるとロープの勉強の難しさに悩みましたがそれ以上に「岩と戯れる楽しさ」を覚えました。
登攀できっこない新しいゲレンデでも何度か挑戦し登れた時の喜びは大きかったです。しかし楽しいことばかりではありません。御在所では岩場で抜き差しならなくなったこともありました。雪彦山では登れなくて強引に「ゴボウ抜き」してもらったこともあります。すべて若かりし頃の思い出です。
いまは・・・ゆるゆるの岩場でもいい、楽しく登りたいと思っています。難しい壁への挑戦は卒業しました。ベテランたちの冷ややかな視線にさらされることの無い空間でクランミングを楽しみたいと思っています。基本的にはフリークライミングより変化に富んだアルパインクライミングが好きです。
文:美智子姫