2016
利尻岳トレーニング最終編・芦屋川駅 芦屋―地獄谷―風吹岩―高座谷―堰堤にてテントの張り方講習―芦屋川駅
とうとう利尻岳出発1週間前となりました。最終トレーニングと打ち合わせも兼ねて阪急・芦屋川駅に出掛けました。駅前にコンビニがあり軽食を買いに店に入りました。下山後この日こそはバッテラ屋に行くため、あまり満腹にならない様におにぎりやサンドイッチを控えめに買いました。レジに並んでいると「アレッ?見覚えのある顔の人が・・・」レジの列から離れられないのでジョンに「あこっ!そこっ!早く行って見てっ!」何のことかサッパリわからぬジョンは姫の指差す方に小走りで駆け寄りました。
何と「27号棟のクライマー・koumeiさんではありませんかっ!」「久しぶり~!」「奇遇ですなぁ!」ほんとビックリでした。聞くと六甲のお山をお散歩するらしくリュックも無く飲料水を片手に身軽です。「地獄谷歩くのだけど一緒に行かない?」強引にお誘いしてしまいました。ご迷惑だったかも知れませんね。
 阪急電車 神戸線 芦屋川駅  空は何処までも青く  koumeiさんとバッタリ 駅前広場は多賑わい 
 彼岸花…もう秋ですね  住宅街を抜けて  地獄谷の入り口で いよいよ遡行開始です 
午前9時前メンバーのjunkoちゃん、一服劔さん、ジョン、姫の4人が勢ぞろいしました。飛び入り参加のKoumeiさんを紹介して5人で出発することにしました。この日は土曜日とあって広場は登山者で大賑わいです。高座の滝付近ではゾロゾロとアリの行列みたいにロックガーデンに向けて親子連れや団体やらが歩いて行きます。いつものお稲荷様に挨拶を済ませ地獄谷への道へと降りていきました。すると何やらおもろい集団が音楽に合わせてエアロビクスの様な体操をしていました。「えっ~?何もこんなところまで来てしなくても・・・」と言いつつ、インストラクターに許可を得て写真をパチリ。(登山者ではなさそうだし・・・一体なんなの?) 

27号棟のクライマー・koumeiさんは草履ばき? なんと何と彼 特有のトレーニングの一環です。登山靴と違い上手に足を置かないと痛いわ滑るわで大変です。
100年前ぐらいまで 日本での履物と言えば藁草履か草鞋が主流だったのです。山師、樵、木地師、マタギ、山菜採りなど そんな履物で山中で作業し 旅人は一日10里を歩いたようです。昔の人はすごい!というか それしかなかった庶民にしてみれば これらを上手に使うしか方法が無かったのでしょう。
現代において登山を快適にするためには 理にかなった 足運びのトレーニングと言えるでしょう。(でも初心者は真似をしないでください)
このシロモノ、ビムラムソールを製作しているメーカーから発売されているようで、軽登山靴の価格ほどするそうです。

一時期裸足で走る「裸足ランニング」が注目されたことがあります。厚底の登山靴に履きなれてしまうと そのクッション性に頼りきった歩き方になってきます。歩き方の効率が悪いと、膝の痛み、かかとの痛み、足の故障などが起きる原因になります。アーチが崩れ、偏平足だったり、甲高であったりで、痛みを避けるために、またさらにクッションの良いシューズや緩めの登山靴、またサポーターに頼る、という悪循環が繰り返されます。一次的な対策としては必要でしょうが、一番大事なのは、歩き方の改善だと考えます。
京都大学山岳部は伝統的に、地下足袋登山をしていると聞きますが 足を上手に使うということに関しては良いことなのでしょう。
姫も一番最初の頃の沢登りは 地下足袋に草鞋掛けでした。これで滝を登ったのですから今更ながら驚くとともに草鞋のすごさを思い出します。
 
この日、一服剱くんから「タバコを止めますから 一服をとって剱にしてください」と申し出がありましたが、「まだ早い。別山尾根からしか剱岳本峰に登ってないから、源次郎尾根と北方稜線から剱岳本峰に登ったら一服をはずして剱君にしましょう」と約束しました。利尻へ向けてのトレーニングで質問回数が増えてきていますので非常に良い傾向です。ちょっとやる気が出てきましたか 岩を登る姿勢やリズムも良くなってきています。腕を磨いて頑張ってください。
決して勢いだけで登らないようにね。 昨今実力以上のルートを目指す登山者が多いようですのでご注意を。
メンバー全員地獄谷経験者ばかりなのでロープフリーで登りました。いつ歩いても「足を滑らせると落ちるかも知れない」と言う緊張感が漂います。崩壊中で立ち入り禁止のはずのゲートロックを見上げるとクライミングをしている人達がいました。大丈夫なのかしら?この日の地獄谷は水量もほどほどにあり涼しくて爽やかな気分です。自ら滝の水に入り涼しさを求めたりして久しぶりに楽しい山行でした。
藪漕ぎの途中でイノシシに遭遇です…キャッ!   オイラの方がビックリしたぜい…イノシシ君
小便の滝からさらに奥に入り風吹岩直下から登山道に出るつもりでしたが、まさかの藪漕ぎをしてしまいました。(笑い)後ろからソロの若者が来たのでコースを尋ねると「知りません。ボクは皆さんの後ろをついて歩いているだけです」と何とも頼りない返事でした。「たしかこのあたりだと思うのだが・・・」トツプを歩く羽目になったkoumeiさんは蜘蛛の巣の洗礼を受け悲鳴を上げています。散歩のつもりで来たので登山靴ではないため山栗のイガを踏んでギャーギャー・・・(そりゃ痛いわなぁ) しばらくするとガイドらしき人に連れられて10人ほどが登ってきました。「アッチャー!登山道はどうもあっちらしい」と軌道修正し、藪漕ぎの果てに中央稜の十字路に出ました。地獄谷の目印の大岩から更に奥に入り登り詰めて行くのを、どうもひとつ早く曲がりすぎたみたいです。藪漕ぎを楽しんだ後、人の声のする方へ少し歩くと風吹き岩に出ました。何やら騒がしく登山者はみな上空を見上げていました。風吹き岩の上空では兵庫県警のヘリコプターが旋回しています。「事故だなっ!」すぐにそう思いました。何度も何度も旋回し怪我人を探している様子でした。地獄谷方面かなっ?最近地獄谷コースへ、いとも簡単に入って来る人が増えました。足を滑らせると大怪我間違いなしなのですが・・・・風吹き岩ではこの日もイノシシ一匹、捨て猫数匹がおり、登山者の弁当を狙っている様子でした。

レスキュー要請するためには 登山者は自身の現在地を正確に伝えなければいけません。「今、山の中です」だけでは探しようが有りません。「どこからどこに向かっている」とか。「〇〇山から東の方向に5分のところ」とか、言わなければなりません。現在地を知るのには スマホでGPSを使うとか方法はいくらでもありますが 何よりも大切なのは地形図を携行し それが読めるということです。
崖を登ったり藪を漕いだりしながら風吹岩に到着です
テント張体験 
これでテント張はバッチリです。来月の白山はテント担いでソロ山行です…一服剱くん
JUNKOちゃんのツエルト体験…久しぶりに袋から出しました…大丈夫くっついてなかった
ああでもない、こうでもない…慣れないツエルトは開くのも大変でした…でもこれで大丈夫です 
koumeiさんとは北海道から帰ったら再会しましょうと約束して風吹き岩でお別れです。イノシシを避け、太陽を避け、日陰を見つけて昼食タイムとしました。時折吹く風はもうすっかり秋の気配でした。混雑する中央稜を避けて高座の滝コースを選び下山開始です。途中の堰堤で一服劔さんにテント張りの講習をすることにしています。人通りの少ないキャッスルウオール分岐の堰堤の上でテント講習の開始です。購入して4~5年経つが一度も使用したことが無く張り方の指導をして欲しいとのことでした。2人用のテントは素材もよく、少し重たいけれど一服劔さんなら体力もあるし担げないことはありません。テントは経験回数を積み重ねてさえおけば素早く張れることを説明しました。テントとフライの空気の層の役目をする張り方、ベンチレンの効能など説明し、北鎌尾根山行の時にテントの底を焦がした失敗談も交えて中身の濃い講習でした。テント講習のあとはツエルトでの待機の仕方も学びました。junkoちゃんもツエルトを出して練習をしました。常に携行はしているものの使い方を忘れたり、時間がかかったりするため実際に待機姿勢を取ったりして練習をしました。一服劔さんは受講後、テント初デビューは「白山」と決められた様です。ガンバレ!テントの楽しさを味わうとクセになるぞ~。テント講習を終え、滝の茶屋を経て阪急・芦屋川駅まで戻ってきました。
みんなで梅田に出てバッテラ屋に出向き、反省会の乾杯をして利尻への車の規約や疑問点など熱心に討議しました。隣の酔っ払いさんの声の大きいのには参りました。普通の会話では聞こえないので負けずに大声を張り叫びましたが・・・負けたわ~。楽しく飲んでいるので苦情を言うつもりはありませんが個室ではないので、ほどほどにお喋りをして欲しいものです。耳がマヒするのではないかと思うほどの大声でした。「では16日午前7時に!」と利尻出発の時間と場所を再確認しお別れしました。
 ひめの感想
利尻島が50年に1度の水害被害と聞き慌てましたが予定通り出発することにしました。日本百名山こだわりの「101座」利尻岳登山です。強風に吹かれればロープで全員を繋ぎ山頂を目指します。八ヶ岳・根石岳の強風を体験しているので余程のことがない限り強行突破する覚悟です。しかし無茶や無理は致しません。安全確保で頂上を踏みたいと思っています。どうぞ・・・晴れて下さい!
文:美智子姫