2016
KOHMEIクンのリクエスト 滑車システムの勉強会
児童公園で「引き上げシステム」の講習をしました。
登山道から滑落した人を引き上げるためには滑車装置のシステムを理解し正確な方法で負傷者を引き上げなければなりません。
勿論、山行中の装備の中に滑車を携行することが必須です。
敏速に、しかも負傷者を安全に、それでいて救助する側の安全の確保も必要です。
自宅近くの「高見新家公園」の中央には大きな遊戯台があります。丁度ロープ操作にもってこいの場所です。
朝のトレーニング中に見つけていた格好の場所。
しかしこの日は土曜日とあって子供たちが興味本位に遊技台に群がりはしないかヒヤヒヤ。
幸いなことに子供連れはほんの2組ほど。遊技台の鉄柵を利用させて貰っているだけだから子供たちの遊びには何の影響もありません。
子供たちに何の遠慮も要らないのです。
プーリーにカラビナ、タイブロックにロープセンダーなど一人で持つのは大変ですが、メンバー全員で分けて持てば僅かな重さで済みます。当然ロープも必要です。この滑車システムを使う機会があってはいけないのです。長年にわたって登山をしていても使うことはないと思いますが知っておかなければならない技術のひとつです。
滑車システムを使わなくても、プーリーで折り返して三人で引けば何とか上がりますが、長い距離を引き続けるのは難しいと思います。
1/3システムでは50kgの人を引き上げるのには20kg以下の力で上がることになりますが、ロープの屈曲、プーリーの効率など考えれば30kg以上の力が必要になります。
かつて雪彦山の不動岳東稜ノーマルルートの最終ピッチでフォローが「難しくて登れません」とコ-ルが有り、登れないと判断し、1/3の滑車システムを構築している間に「登れましたー」と喜びの声、使うことなく上がってきましたが、アルパインルートのクライミングでは必要な技術だと思います。
岩場の中でこのようなシステムを構築するのは大変な作業です。立木が使えれば何とかなりますが、岩に打ち込まれたハンガーやピトンでは構築に限界があります。
またシステムの作り方によってはアンカーに荷重がかかりすぎて崩壊することも念頭におかなければなりません。 
簡単なシステムです。上部からロープをダブルに折り返して降ろし、対象者が自分のハーネスのプーリーをセットすることができ、上部で2~3人で引くことができれば、実用的な方法と言えるでしょう。 滑車システムの基本タイプと言えるのかもしれません。シンプルに構築できるため、まずこのシステムを組むことが、滑車システム構築の第一歩になっているようです。 このシステムを構築するためには、別のロープを5mくらい必要とします。事前にロープとプーリーをセットしておくのも一計です。クライミング中の引き上げには最適な方法です
このシステムは洞窟探検など狭い洞窟などの下降やギアの昇降するためなどによく使われている方法です。 このシステムを構築するためには、1/3に比べタイブロックとプーリーが1個づつ必要になりますが簡単に1/5システムを組むことができます。 このシステムを構築するためには、別のロープを2~3m必要とします。
このシステムを構築するためには、別のロープを5mくらい必要とします。1/4のピグリグ同様、クライミング中の引き上げには最適な方法のひとつです 。メインロープはフォローの荷重がかかっていても関係なく、別のロープで構築しますので他のシステムのようにデバイスをプーリーにかけ替える必要はありません。 このシステムを構築するためには、別のロープを2mくらい必要とします。 このシステムは、1/3・Zリグを2セット組む方法です。
引き上げの力は1/3に軽減されますが、対象を1m引き上げるためには9mものロープを巻かなければいけないので狭い場所での効率はよくありません。
引き上げの際にロープを上に引くか下に引くかで作業性が大きく変わります。チェンジディレクションのためのプーリーを1個足すことで方向替えは解決しますが、効率は悪くなります。
  姫の感想 

滑車を使って引き上げる装置を付け、重量が3分の一や7分の一に軽減されることを説明してもらい、実際にロープの感触を試してみました。
かなり高度な技術です。すぐに習得はできそうもありません。
滑落している現場で冷静にこのセットが上手くできるかどうかはわかりませんが、こんな方法があることを知っていれば役立つこともあると思います。
引き上げには私が負傷者となり男性3人が滑落した方向(縦方向)に思い切りロープを引き上げるのですがなかなか引きあがりません。
しかし装置を変えて登山道に向かって(横方向)に引き上げる方法を取るとかなりスムーズに引っ張れることが判明しました。
この方法ならば登山道を歩くほかの人の協力も得られます。
いずれにしても人間ひとりを引き上げると言うことは大変なことだとわかりました。
ならば「滑落しない」ことです。それには正しい山の歩き方を熟知して安全歩行するしかありません。
決して私の体重が重すぎるのではありません。

文:美智子姫