2016
KOHMEIクン 新緑のアルパインルートを行く」
「こんぴらさんに誘われてるけど行く?」ジョンからそう誘いを受けた時、四国・香川県の金比羅さんを一瞬だけ思い浮かべました。しかしクライミングを愛好する人にとっての、こんぴらさんは「京都・金比羅山」なんです。「ちゃうわなぁ・・・きっと京都の金比羅山やなぁ」と思いなおしました。koumei さんからお誘いを受けて、車の提供も、運転もお任せの大名扱いで気分よく出掛けました。
京都金比羅山は非常に古くから登られている岩場であり、登山靴で岩登りをしていた時代から、日本のアルパインクライミングの練習場として京都府民に愛されており、フリークライミングの岩場として有名な六甲芦屋ロックガーデンに負けない有名な岩場なのです。2009年の10月京都トレイルで訪れた懐かしい地「京都・金比羅山」は、それまでにも何度かクライミングで訪れたことはありますが随分昔(多分10年ぐらい前)の事で岩場のイメージもすっかり忘れています。ただ終了点のところに空中に出て懸垂下降する場所があり、おっかなかったことは覚えていました。以前は京都駅からバスに乗り大原戸寺で下車、随分時間がかかりました。車なら神社の鳥居近くに多くの登山者の車が駐車してありそこに駐車したりしていました。しかし「祭りの準備のため駐車禁止」と看板が立てられてから以降は、付近一帯駐車禁止区域になっている様子でした。今回は大原寂光院近くの民間の駐車場に停め、歩くこと20分で見覚えのある江文神社入口に到着しました。
リーダーさんのご厚意で岩場の横をスタートしました  京都明峯勤労者山岳会の皆さんが岩場トレーニングを研修中でした
江文神社からは杉や檜の立ち並ぶ中を歩くと私達の前を5~6人くらいのクライマーらしき団体が歩いていました。そして既に出発点の岩場には10人ほどの人が取り付いていました。「おはようございます」と挨拶をし邪魔をしない様に通過をさせて貰いたいとお願いをしました。「どうぞ、どうぞ我々は初心者のクライミング講習です」とのこと。どこの団体かと聞けば京都明峯勤労者山岳会の皆さん達だそうです。登攀準備をし左側の壁をkomeiさんがリードで登り始めました。ロープの最後尾はジョン、真ん中に姫を挟み効率よく登攀していきます。他にも何組ものパーティが私達と同時にスタートしましたがアルパインなので混雑を苦にすることはありませんでした。 
3ピッチ目あたりの岩場の上から下で待機しているはずの登攀者に向かって大声で怒鳴っている年の頃なら80歳を超えているリーダーらしき人がいました。様子をうかがっているとリーダーの指示のないまま登攀開始したらしいです。(命にかかわることなので怒鳴られても仕方ないわなぁ)しかし登攀用のロープはたるみ、下で順番を待つ別の人も、危険である事を注意するでなく危機管理の出来ていないグループでした。おまけにリーダー以外細引きで簡易ハーネスを作り登攀しているではありませんか。怒鳴る前に装備のチェック(しかも簡易ハーネスの仕方も間違えている)・・・おっそろしい!
koumeiさんはリズミカルにリードで登り、ランニングビレイも適材適所取り、支点を作り私達を引き上げてくれます。快適に1ピッチ、2ピッチと高度を上げて行きました。4ピツチあたりだったと思いますが左側の正式ルートに別のパーティがいたため「草付きルート」をkoumeiさん開拓しました。リードのkoumeiさんは難なく登りましたが私とジョンが喘ぐ、喘ぐ~!登り切ってみると二人とも手には苔混じり、ドロだらけとなっていました。(大笑)アルパインはルート上に何があるかわからないところが面白くてたまりません。年寄りをこんなラインに踏み込ませるなあ」
 スタートしてから2時間ほどで終了点に到着しました。ここもまたクライマー達で花盛りではありましたが何通りもロープを張るスペースがあり混雑して困ることはありませんでした。「どこから来たのですか?」と聞かれたので「大阪からです」と答えると、遠いところから来なくても六甲山にも良い岩場があるのではと言われました。「あるにはありますが、こんな素晴らしいアルパインルートはないのです。ここは格別です」と京都の岩場を褒めると満足げでした。
 待ち時間を有効利用して細かくピッチを切りながら支点作りやロープ操作などの練習をし、有意義な時間を費やしました。水分補給もしっかり取りました。ややもすれば水分補給を忘れ、koumeiさんにおいては「ボクはラクダみたいで水分をあまり欲しない」らしいですが、喉の乾きを覚えなくても定期的に補給をすることを勧めました。koumeiさんのロープ裁きやビレイは高度を上げる毎に上達し安心して登攀できました。岩場が混雑して来て、誰が誰に指示をしているのかわからなくなる場面がありました。koumeiさんは、「ジョンさん~ビレイ解除!」と、名前を読んでから指示が飛んできますので他のメンバーと聞き間違えることはありませんでした。「簡単明瞭・正確に伝達」岩場では大切な行為です。
終了点で時計を見ると丁度12時を過ぎており日陰を探して昼食を取りました。振り返ってみると、途中の草付き個所で姫とジョンが喘ぎましたが、登り切ってしまえば大笑いの渦となり楽しい思い出になりました。昼食後も懸垂下降と登攀を何度か繰り返し、満足度も頂点に達し、体力の限界も感じられましたので岩場に残る人達に「お先に!」と声を掛け下山することにしました。途中にも何か所かゲレンデがあり、沢山の人達が岩場を楽しんでおられました。朝はガラガラだった駐車場は満車状態です。みんなクランミングの人達だと管理人のおばちゃんが話してくれました。ジョンが「昔、バス停前で立ち寄ったお店で草餅が買いたい」と言うので寄り道してもらいましたが、まさか、まさかのコンビニになっていて驚きました。すぐ近くに産地直売所が新設されたため客足がそちらに向いたのかも知れません。古式豊かな京都大原三千院あたりも何か風情が薄れてき多様に感じました。
京都からの帰りの高速道路は渋滞にも遭わず快適に走り、自宅近くまで送って頂き、まるで、お大名のクライミングの様でした。久しぶりにスリルと心地よい疲労とを満喫でき非常に楽しかったです
終わった終わった…疲れたあ まだクライミングやるの…スカンポとり とったどお…終了したはずのスカンポ
 
 京都 大原 三千院の町並み
  姫の感想 

フリークライミングとアルパインクライミングでどちらが好きかと聞かれれば私は「アルパイン」と即答すると思います。腕の悪い私にとっては難易度を上げ腕を上げるために登れない悔しさを味わうフリークライミングはよりも、風景が変わり、岩場の変化を楽しみ、達成感が何とも言えず私にとってはアルパインは最高っ!でした。それと昔、取り付き点に荷物をデポし下山時にはクライミングシューズでつま先の痛さに耐えながら下ったことがありました。今回は靴をリュックに入れて登ることを想定して軽量の運動靴にしましたが足が靴の中で踊るのです。捻挫や転倒の原因は靴に原因があることを身を持って体験しました。(下りの辛かったこと・・重たくても登山靴は足を守る大切な装備です)

文:美智子姫