2016
「宇都宮チーム・2泊3日の滞在」
去年の5月「蓬莱峡クライミング&たこ焼きミュージアム」、6月には「皇海山登山」、11月には「六甲山全縦走」と大阪と宇都宮間を、まるで隣の街に出掛けるが如く身軽にやって来る宇都宮のリジュ&トモが5月の連休を利用してやってきました。「ただいま~」開口一番そう挨拶の声が聞こえました。ただいまっ・・・って可愛いでしょ。最初に平ケ岳で出会ってから、とてもよい関係が続いています。同じ目的を持つ山仲間は70歳の老人達と40歳の若者達・・歳の差はありますが意気の合う(合わせてくれてるのかも)岳友です。積もる話は山よりも高く、海よりも深く、食事をしながら5人5様に話が弾みました。百名山の残り四座の打ち合わせとゴールの利尻岳への日程打ち合わせをしました。スマホでアレコレ往来するよりも、会って顔を見て話をすれば勝負が早いです!日程が決まれば計画もスムーズに進みます。崩落に寄り立ち入り禁止の個所もあり問題は山積みではありますが文殊の知恵を絞りだして解決したいと思っています。お喋りに花が咲き、明日の予定を決めて時計を見たら11時を過ぎていました。宇都宮からの長旅に疲れも見せず明日は地獄谷コースへ行くことにしました。(疲れを一瞬、垣間見ましたが、せっかく来たのだから何かひとつでも技術を習得して帰ればと・・・)大型連休にアルプスでは事故が続出しています。装備の不備であったり、天候の急変であったり、山の危険を知らぬまま入山している人も多いと聞きます。「春の山は冬山より怖い」と長野県救助隊は言っています。5月の山は非常に荒れています。麓が晴天であっても山頂では強い風が吹き荒れていて想像もつかないこともあります。充分気を付けて登山をして欲しいと思います。「明日はどうする?」「ロープワークで疑問点があり教えて欲しいっす」と言うことになり「じゃあ地獄谷で実地勉強すっか?」と言うことで5月3日は芦屋・地獄谷コースへでかけることにしました。旅の疲れへの配慮もなく・・・ゴメンね。
地獄谷の入り口で準備万端整えて パートナーのビレイループにロープをWロック パートナーにも役目はあります
ループの持ち位置を左にするか右にするか さあ、出発です 急な所はスタカットで。ロープを預かり、送り出します
ロープは雑に扱うとこうなります…いつも丁寧に キンクしないように送り出します
このような危険な個所ではロープの扱いは素早く丁寧に
芦屋・地獄谷で宇都宮チームは、初めての正しいアンザイレンを結びました。ロープも絡ませました。初めてなので当たり前です「あの時この方法を知っていたらパートナーを危険な目に遭わさずに済んだのになぁ」あっ~・・・危険な目に遭ったんだ。パートナーを、いかに安全な山行をするかはリーダーの任務です。パートナーもリーダーと同じレベルの技術習得が必要です。一に練習、二に練習です。リーダーのリジュは肩がらみのビレイで首筋を擦り、赤く傷ついてしまいました。「ロープを使う時は襟付きのシャツが良い」と言うことを痛みとともに学習しました。ロープで首筋を擦り赤く傷になったので、ならばと別の方法と言うことで「半マストでの引き上げ」に変更しました。何種類も知識として知っていれば臨機応変に使い分けができます。
日曜日ごとにアイゼントレーニング中の登山者を見かけましたが、連休中にはアルプスなどの本番の山行に出掛けたらしく登山者らしき人とは出会いませんでした。そのかわり軽装のハイカーの多いのには驚きました。中央稜は特に子供連れが多く行列ができるほどでした。アンザイレンで地獄谷遡行をしヘツリがあればヘツリの通過方法を学びながらA懸岩に到着しました。
疑問点である懸垂下降でのバックアップの取り方は実技を以て解決することができました。登攀下降をしていると見覚えのある顔のお目見えです。27号棟のイケメンさんがひょっこり散歩に来られました。地獄谷を何気なく散歩と言うのも凄い話です。以前に、登山靴を履いての登攀下降をした経験がないと言う話を聞いていましたので「体験しては如何ですか?」と勧め、クライミングシューズと登山靴の違いをしっかり体感して貰いました。私は1年間、登山靴でクライミングの練習をしました。おかげで真新しい登山靴はズタズタに傷付きましたが北鎌尾根やジャンダルムを通過時にどれほど役立ったかわかりません。1年後にクライミングシューズを購入し、初めてシューズを履いて登った時「魔法の靴」だと思いました。ひとり仲間の飛び入り参加でビレイを担当してもらい実のある臨時講習会ができたと思っています。A懸岩は空いていて、落ち着いて練習ができました。懸垂下降中の滑落を想定してバックアップの取り方の良し悪しを何種類も体験しました。時には滑り落ちるシーンもあり、そばを通過するハイカー達が「キャー落ちたっ!」と叫ぶほど迫力ある実技指導だったと思っています。救助技術を知らずに山行して緊急時に遭遇すると、助かる命も助けられない場合があります。 
岩場では二つ以上の安全を確保しなければなりません。メンテナンスが行き届いたロープは信頼がおけます。接続器具も信頼して大丈夫でしょう。まれにリコールが発表されますのでメーカーや輸入会社のホームページを確認しておくことも大切です。山仲間とのディスカッションも情報源です。
岩場のハンガーは疑ってかかるべきかも知れません。
どうすれば確実なバックアップが取れるか、インターネットやガイドブックなどで紹介されている記事は全て信頼がおけるのか?。一番いいのは、すべて自分で確認してみることです。何も10mm墜落してみろとはいいません。墜落しないためにはどうすれば良いのか、それを知っていただきたいのです。
上のフィルム画像をクリックして頂きますと動画をご覧いただけます
救助技術を知っているとパートナーや出会った登山者を救うこともできます。救助練習は山行を共にする仲間と常に行うのが理想です。
空の雲も怪しくなり雨の前の生ぬるい風が吹き始めましたので下山し、汗を流してから「大阪名物の串カツが食べたい!」と言う願を叶えるために新世界・ジャンジャン横丁へ行くことにしました。地獄谷から帰り、お互いが入浴を済ませ、午後5時に再びJR西九条駅で待ち合わせをしました。
串カツと言えば新世界でしょう!。いざ新世界へ!                      
  
ところが予想通りの外は雨・・・ジョンから「雨が降っとるどぉ~」「それがどうした?溶けはしないよ~」と雨の中、環状線で新今宮駅まで。駅を出ると通天閣目指して歩きました。電車に乗るまでは降っていた雨も、降り止んでいます。(ラッキー)ジャンジャン横丁は多くの観光客でにぎわい、大きなスーツケースを引きながら、ビリケンさんの前や派手なネオンの前で写真撮影をしており迷子にならぬ様に人垣をかき分けてお目当ての串カツ屋を探しました。ジャンジャン横丁は串カツ屋が軒を連ねています。下調べしていた店を探しました。「串カツだるま」と言う店です。一軒だけ長蛇の列の串カツ屋を見つけました。看板を見ると「串カツだるま」と書いてありました。どの店よりも繁盛しており行列が出来ていました。 
「どうする?別の店に行く?」と相談した結果、30分くらいなら並ぼうと言うことになりました。案外早く席に案内をして貰うことが出来ました。注文を聞きに来たスタッフが日本語がたどたどしくて堀の深い、見るからにネパール系だったので「ナマステ~」と挨拶すると目を白黒させて「お客様はネパールの方ですか?」いやいや日本人の顔じゃろうが・・・ 
注文をしながら色々話をしました。何故日本で働いているのか?仕送りはしているのか?等々(大きなお世話でしたね)カトマンズ生まれの彼はルクラへもナムチェバザールへも行ったことがないそうです。勿論アイランドピークも知りませんでした。「ルクラ行きの、あんな怖い飛行機乗れないよ」だって。ほんまやな!飛行機が墜落するかも知れないと言う覚悟で乗らないとね。ルクラ空港は世界一危険な空港と言われています。ほんま今思い出しても怖いです。
「串カツ3条件」知ってまっか?
①二度浸けはしない。
②一度に沢山注文しない。
③うずらと紅ショウガは注文すべし。
食って、食って、食い尽して「もうアカン!腹がバンクするわっ!」と全員が太鼓腹を突き出しながら雨傘を杖にして戻ってきました。

5月4日はお別れ日。いつもお別れ時はつらいね・・・7月には聖岳・光岳で会おうね!2人の乗った車が見えなくなるまで手を振り別れのクラクションが鳴ると、何故か涙が込み上げてきたのでした。See you again !
文:美智子姫