2016
ジョンの友達の友達が最近山登りを始めたらしいです。始めるにあたっては正しい山の知識や歩き方を伝授して欲しいと友達のヒカルゲンジさんから依頼をうけたそうです。前日の野口健トークショーでウッチー会長にその話をしたら「ワシも行こう!」と言うことになりました。みなさん神戸の山岳会繋がりでお馴染みさんなのです。 
山の正しい知識を習得するには山岳会に入会して経験豊富な諸先輩に教えを乞うのが一番近道なのですが組織に属することを嫌い
単独で山に入る人が増えてきました。山岳会とてすべて正しいことを教えているかどうか疑問に感じるところもあります。
何が正しくて何が間違いかは判断するのは最終的には「自分」になってきます。書籍を読み知識を付ける。
現場に数多く行き失敗を繰り返しながら技術を身に付ける。失敗と言っても危険な失敗は許されない。 
最近では登山用品店が主催する「登山学校」なるものも開催されていますが・・・参加費が高い。
やはり優れた先輩を見つけ直に教えて貰うことが登山入門の最短距離の様に思えます。
「鉄は熱いうちに打て」と言う言葉があります。自己流の歩き方が見についてしまうと修正が効きにくくその場では「わかりました」と理解してもやはりもとの悪い歩き方が出てしまいます。
 ジョンの友達のヒカルゲンジさんも山岳会のベテランなのですが今回の講師にはロープワークに詳しいジョンに白羽の矢を立てました。

阪急芦屋川に午前9時集合で既にヒカルゲンジさん達は到着しておりました。私達とウッチー会長は、ほぼ同時に改札口で合流し早速、自己紹介となりました。ジョン、ジョンの友達のヒカルゲンジさん、二人の所属していた山岳会会長ウッチーさん、ヒカルゲンジさんの友達「KEI君」、ジョンの助手の姫の5人で地獄谷山行となりました。本日の受講生は30歳のピチピチ青年です。
何処まで担いで何処から乗るの…そして何処まで行くの?
 「まずは山での歩き方から」と言うことになり地獄谷に下りずにロックガーデン方向に進みました。いつも下山に使う岩稜帯を登って行くと結構ハアハアと荒い息遣いとなりました。(こんなにきつかったかなぁ?)最初に出くわす堰堤に荷物を置き、ステップの踏み方を練習しました。ヒカルゲンジさんはアイゼンピッケルを持参していたので冬山登山の練習、ウッチー会長は所属する会員たちの参考になればと初心に返り、熱心に聞いたり同じくステップを踏んだりしました。私はカメラマンに徹しています。

堰堤で講習をしているとウッチー会長の山岳会の女性も通過して行かれました。イノシシ3頭も時々顔を見せリュックを狙っている様子でしたので、きちんと蓋を閉めて持ち去られないように警戒しました。ウッチー会長めがけて鼻を鳴らし威嚇してきましたが歯が立たないと思ったのかおとなしく逃げて行きました。
次はジョンの装備の披露です。重量にして12sの中身は「着替え、雨具、ツエルト、救急用品、担架、食料、保温シート、ロープ、ヘッドライト、コンパス、ノコギリセット」等々安全に下山できたら不要の品が6割ほどありました。「このリーダーと山行を一緒にすれば生きて帰れる」そう思ってくれたのではないでしょうか。
登山靴の硬さも調べました。今後登山靴を購入するときにどこに注目すればいいのか、靴を脱ぎ曲げてみたり、人の靴を借りて曲げて見たりして適正な登山靴を身体で、目で感じてもらいました。岩稜帯を利用して上り下りの練習を重ね、概ね理解してもらえたところで装備点検です。シートの上にザックの中身を全部出して何を持参して来たのかチェックしました。ほとんどが着替え・・・荷物チェックに点数を付けるなら80点。ヘッドライト、コンパスの不携帯がマイナス20点。でも最初にしては合格だとジョンの評価です。
さあいよいよ地獄谷デビューです。最初の人はロープを掛けると言うルールを説明し「KEI君」にはロープをかけました。ビレイヤーは姫です。
柔らか底の登山靴のためら滑り易く一度思い切りテンションがかかりました。肩がらみのビレイでしたが岩場を利用してきちんと安全確保しているので、引きづり込まれることなく難なく滑落停止することができました。ロープを掛けていて良かったと思う瞬間です。

小便の滝まで登って来たら空の雲があやしく天気予報では午後3時を過ぎて雨が降るとなっておりA懸岩は次回のお楽しみと言うことで
第一鉄塔で昼食を取り下山することにしました。あまり一気に詰め込み過ぎては嫌になるのでロープワークは「エイト結び」を覚えて帰って貰うことにしました。ウッチー会長が10mほどの練習用ロープを「KEI君」に進呈しました。
ケイラくんの地獄谷デビュー
ロープは濡らさないように気を付けて
だんだん、サマになってきました
お酒が苦手と言う「KEI君」を滝の茶屋に引きずり込み(笑)おでんとビールとジュースで反省会をしました。反省会とは「怪我がなく無事に戻れて良かったね」と言う安堵の酒会なのです。ほどよいクールダウンの下り坂を駅まで歩き阪急組のウッチーさんと別れ、近鉄組の
「KEI君」とは尼崎で別れ、阪神組のジョンと姫は淀川駅でヒカルゲンジさんを見送りました。
全員無事にこの日講習は終わりました。インストラクター4名に受講生1名。これはシゴキかなあ…
人数分にきちんとカット…取り分け名人のウッチー会長 サラバでごザル
 ひめの感想
体力の落ちつつあるジョンはまだまだ技術では誰にも負けません。加齢に伴い忘れてしまわないうちに山を愛する人達に覚えて貰い、
安全でマナーある登山を楽しんでほしいと常々語っています。そう言う私も最近は体力低下で山頂到達時間が長くかかるようになりました。楽しくない山行はしたくないと思うようになりました。
ロープ技術は使わないと忘れてしまうため、お手伝いの機会があれば自分の復習に役立てたい思っています
(転んでもタダじゃ起き上がらないよ〜)
 JONの感想
若いうちに我流ではなく正しい知識を身につけてください。登山をするには、体力・装備・知識・技術・経験・知恵・勘が必要になってきます。それらを意識しながら日々トレーニングに励んでください。
ロープの結び方も毎日のように練習をしておかなければいざという時に間に合いません。仕事と同じように頑張ってください。
一つ間違えば人の命をも奪いかねません。リーダーとして山に誘うには、それだけの責任が付いて回ります。
そこのところも心構えを怠らないようにしながら、登山と取り組んでください。
文:美智子姫