大山スノーウオークのご報告
春がそこまで来て桃の節句の過ぎた頃、スノーシューウオークを実施することになりました。思った以上に人数が集まらず「中止か?」と言う声も聞こえましたが、「実行!」の決断がくだされ準備にとりかかりました。一人でも多くの参加者を掻き集めるために電話作戦、例会での必死の呼びかけの結果、何とかまとまりのある人数になりました。
行き先は鳥取県西部の大山(1729m)の西麓にあり、桝水原スキー場の上部にあるルート。米子市内や弓ヶ浜半島、中海、美保関まで望める、「大山西麓横手道コース」です。
大山町の「森の国・大山」で山岳ガイドが乗り込んでくれます。
雪道は道とはいえ、道の無いところも知らないうちに歩いています。雪原は最初に歩いた人が踏み後をつけ、後の人はそれに続き道となります。雪の下には、穴があったり、水が流れていたり危険な要素が潜んでいるのです。大阪府歩け歩け協会のスノーシューウオークは必ず現地ガイドを要請して安全をはかっています。大阪を出てまもなく小雨がパラついてきます。中国道・勝央SAで休憩をとる頃には雨は避けられない様子です。雨の中での昼食は大変なため、米子道に入って湯原温泉を過ぎる頃、車中で昼食をとっていただくことになりました。
江府ICを過ぎる辺りから雪が見えてきます。「一人で参加しても退屈しない」をモットーにしていますので一人一人に気配りをしながらバスは目的地を目指します。車内は熱気でムンムンで笑い声が絶えません。
10時48分。森の国大山に到着しました。何と到着クイズピッタリ賞「鹿島秀元さん」「斉藤正昭さん」おめでとうございます。ここでレンタルスノーシューを借り、ガイドを乗せ、わずか10分ほどで大山横手道入り口に到着です。さあいよいよここからがスノーシューの始まりです。
初めての人は少々、おっかなびっくりでしたが、なんのなんのすぐ慣れて後ろから見ていると誰が初めてなのかわかりません。レインギアを装着し、昼食も済ませているのでお茶とおやつのみで快適な
スタートを切りました。
しばらく行くとドライバーから携帯に電話がはいりました「スキー場の駐車場は有料ですがどうしますか?」さすがヤサカ観光バスさん。馴染みなだけに台所事情をよくわきまえてくれている。無料の駐車場を探して待機してもらい電話で集合場所に移動してもらうよう連絡をしてふたたび歩き始めました。
レンタルのスノーシューは時折ヒモが解け何度か結び直している姿も見られましたが、転んだり、尻スキーしたりとブナ林の中はキャーキャーと悲鳴に似た笑い声が途絶えることはありませんでした。時折ガイドの案内に耳を傾けながらスキー場上を通りゼロ沢沿いに大山と蒜山を結ぶ県道45号まで100mほどのダウンヒルをたのしみます。県道45号は中央部が除雪されており2メートルほどの雪の壁になっています。さしづめ立山の雪の大谷のミニチュア版といったところ。
適当にアツプダウンのある魅力的なコースです。雪もパラパラとつらくないほどに舞い降りてきます。道路のバックミラー が手に取れる高さにあります。ここから横手道まで駆け上がります。8の字を書くように進んでいくコースです。
先ほどダウンヒルを下った。ゼロ沢を過ぎたところで記念撮影をすることにしました。ジョンがバスにカメラを忘れたため、鹿島さんのカメラの出動です。「このガスの中では写らんで」「きれいに写りますか」そんな言葉が飛び交う中22名が整列、ガイドさんがシャッターを押してくれます。
「歌をうたおう!」突拍子もなく姫の声で歌詞もないのに「穂高よさらば」を大合唱しました。
すると何と感動的なシーンが登場したのです。井澤ガイドさんが「ではお返しに大山賛歌をみなさんで歌いましょう」と一小節づつ歌唱指導をしてくれました。こんな素敵なふれあいがあるなんて少し胸がウルウルしました。(亀ちゃんもウルウルだったと思うよ)
さあ、これからは桝水原スキー場に沿って長い下り坂です。私は遊び半分、レスキュー半分でいつもスノーシューの時は背丈ほどのソリを担いでいます。アドベンチャーさんに「姫さんがそこまでソリが好きだとは思わなかった」と言われるほど背中にピッタリとマッチしています。
さあこの下りこそがソリのコースだと思ったその時、参加者の中に体力不足が原因と思われる足の麻痺が発生しました。これはソリで運ぶしかないと判断しジョンさんとアドベンチャーさんがソリの加速を制動するために救命用ロープでソリをくくります。私は前で舵取りの役目です。他の人達は下山してバスの中で待っててもらうようにガイドさんに説明し二班に分かれました。小脇にはストック3人分の6本、とソリに乗るためにはずしたスノーシューと荷物をかかえての下りです。「右!もっと右!そのまま行くと落ちるやろ!」と後ろからジョンリーダーの叫びに似た声がします。必死に頑張っているのですが……かよわい女の身、思うように動かない一場面もありましたが、完全な装備のおかげ
で時間差10分ほどで無事バスに乗ることができました。ジョンさんとアドベンチャーさんがいなかったらと思うとゾッとしましたが、私にとって貴重な救助体験になりました。
下山してお風呂に入ると体力も回復しホッと一息ついた頃、ご褒美の如く大山ロイヤルホテルの正面に雪化粧の大山がくっきりと顔を出して「今日はごくろうさん」とほほえみかけてくれているようでした。
途中大山のビュースポットでバスが臨時停車してくれ「カメラを持っている人は外へどうぞ」とヤサカ観光の大重運転手が粋なサービスをしてくれました。感動もさめやらぬ内に車内は宴会場と化してしまいました。大阪府歩け歩け協会ホームページ書き込み1000回記念と銘打って祝宴がはじまりました。「かんぱ〜い!」マイクを廻して一人づづ感想を言っていただきました。
もうすでに「来年はどこへ連れて行ってくれますか?美ヶ原にいきた〜い」と今年の取り組みの遅さを指摘するように早々と来年の行き先まで飛び出る始末です。普段のウオークでも凍てついた危険な道を何度も歩いています。転倒もしています。雪のウオークは危険を回避するためにきちんとスノーシューという器具を装着して安全に且つ快適に歩くことの出来るウオークであることをスタツフがまず肌で感じて頂き、多くの参加者の皆様をお誘いできるようにしてほしいと切望しています。帰りのバスの中でガイドさんが「風呂はなんぼで入りますか?」と聞かれたので「500円です」と言うと「えっ?我々地元民でも650円が限度ですよ。どのように交渉されたのですか?」と目を白黒させていました。定価1150円のところアドベンチャーさんの「高すぎる」というウオーカー広場への書き込みに姫が奮い立ち交渉した結果ですが交渉手口は内緒です。(笑)風呂よし、積雪よし、仲間よしのいい旅でした。
                                                                 
 レポート:久田美智子  写真提供:鹿島秀元さん