2015
「採るは楽し嬉しや、剥くはつらくてしんどい!」
第1弾の篠山方面での収穫を終え皮剥き、塩漬け、冷凍保存と処理を済ませると、また心がザワザワと落ち着きません。
過日、三峰山スノーシュートレッキングの帰り道、バスの車窓からイタドリの親木を大量に見つけていましたので今回初の三峰山方面に足を延ばすことにしました。ナビは「みつえ青少年旅行村」にセットしました。
しかし途中で、草餅が食べたいというドライバー・ジョンの申し出で行先を急きょ「談山神社」に変えました。
ここは、やまたび倶楽部でトレッキングに来た場所です。団体で来てもたくさん採れたのですが、近頃はいつ行っても少なくてハイカーたちが採取している様子でした。「あっ!もぎ取った形跡があるわ」とぼやく回数が増えてきたため、最近はイタドリコースから外していたのですが草餅につられて訪れました。
早朝にも関わらず談山神社の大きな駐車場の売店は営業しており、お目当ての草餅もホットプレートの上で温まっていました。
「♪あったかいんだからぁ?♪」いま流行中のギャグを飛ばしましたが売店のおばさんには通じませんでした。
串刺しのコンニャクを買おうとしたら「2本ですか?」と言うおばちゃんの声を遮り「1本だけ!」私はコンニャクアレルギーなんだよぉ!
談山神社のサクラは見頃が過ぎていましたが、それでも美しく見ごたえがありました。
談山神社は大化の改新・談合の地として知られ、藤原鎌足が祀られています。談山神社のある多武峰は、近世から吉野・長谷につづく桜の名所として知られ、境内に点在する社殿と桜との調和の美しさが特徴です。
拝観料を払って中に入ると、桜井市指定の天然記念物で樹齢600年を誇る名木「ウスズミザクラ」が優雅に咲いています。(今回は素通り)
雨の多武峰街道は けむっています
毎度の藪漕ぎ 採ったどー 採らされたどー
旅館街を通り抜けると「工事中、車両通行止め」と看板が立っていました。ここまで来て引き返すわけにはいきません。広い場所に車を止めて歩いて行くことにしました。しばらくは心がうきうきしなくて「いい散歩道だねぇ」と呑気に歩いていましたが、1本のイタドリを見つけるとそりゃすごい勢いで山の上であろうが崖の上であろうがよじ登っていきました。「ある、ある」明るい声がこだまします。
工事中のおじさんと出会い「もう少し奥まで車乗り入れられますよ」と声をかけてくれましたが山菜を採りながら、のんびり歩いていることを説明し「気を付けて」と声をかけて去っていかれました。途中ダンプやタンクローリー車などが止まっており大勢の人たちで道路工事をしていました。
思いのほかたくさん収穫できました。しかし「今日はこれでいい。もう帰る」とは言いません。本日の予定の三峰山登山口まで予定通り行きまっせ〜。
今日の収穫はバッチリです。しかし注文殺到のためまだまだ頑張らなくっちゃあ…ね。
桃と桜
三峰山登山口に行く途中「又兵衛桜はこちら」と大きな看板が目に入りました。「何やろか?行ってみよう!」看板に誘導されながら行ってみると沢山の人だかりです。
普段はきっと田圃だと思いますがこの時期だけ臨時駐車場になっていて係員が満車であることを告げ第2駐車場に誘導されました。「すごい人やね!」又兵衛桜にはカメラマンらしき人たちが群がっています。川の向こうには段々畑に菜の花が咲き、又兵衛桜を取り囲むように濃いピンクの桃の花が咲き、まるで主役を引き立たせるバックコーラスの様に美しいハーモニーでした。百円の協力金を払い矢印に従って進んでいき、思いがけなく降って湧いたようなお花見を楽しむことができました。
 又兵衛桜を見物しました
又兵衛桜(またべえざくら)は、奈良県宇陀市大宇陀本郷にある、樹齢300年とも伝わる桜の古木。瀧桜(たきざくら)とも呼ばれる。県の保護樹。大阪夏の陣で活躍した戦国武将後藤又兵衛が当地へ落ち延び、僧侶となって一生を終えたという伝説が残り、この枝垂れ桜が残る地も、後藤家の屋敷跡にあることから地元では「又兵衛桜」と呼ばれて親しまれている。桜の後ろの桃の花とのコントラストが鮮やかで古くより一部の写真家に愛されていたが、2000年のNHK大河ドラマ『葵 徳川三代』のオープニング映像で使用されたことで有名になった。
見頃を過ぎた時期でも大勢の人たちで賑わっていました。(みんなよく知ってるなぁ)
ジョンはまたまた草餅に魅せられて列に並んでいます。ほんと好きなんだから・・・・
ヨモギ持ちを頬張りながら あっち行ったりこっちにいったり 親木があっても子は居らず
三峰山方面に向かう途中で周囲を見渡しましたが何としたことかバスの中から見た親木が見当たりません。あれは一体何やったんだろうかと狐につままれた気がしました。
「無かったら曽爾高原の方に走ろうか?ドライブやと思えば腹も立たんやろ?」とジョンが慰めてくれました。
しかし私のイタドリの感が外れたことに大きなショックを受け「もう帰ろうか?」と気弱になりました。
赤目四十八滝の裏あたりを走行しているらしいです。目の前には兜岳がそそり立っています。「この時期イタドリ1番、山は2番」といいつつもそそり立ち山々を見上げると心が躍ります。しばらく走っていると親木らしい古木を見つけました。4〜5本まとまってみつかりました。
「行ってくるわ」と言い残し高いフェンス越しに手を伸ばしてみるもののあと数センチのところで届きません。悔しい思いをしていると何とフェンスが破られていました。「これって誰か去年採りに来てフェンス破ってるわっ!」
 小さい鎌と柄にする棒
 帰る途中、榛原に有ったホームセンター「コメリ」で小さな鎌と柄にする棒を買いました。
これ改造して持参すれば、高い所もなんのその、簡単に採れると思います。次回からはお目見えできそうですよ。
イタドリはコンクリートの法面を割って出てくるようで高いところにも生育しています。
今までは結構無茶をして採っていましたが、これで少しは危険を回避できます。収穫アップに繋がることを夢見ながら改造するぞー!
いよいよ「自宅に帰る」とナビをセットし青蓮寺湖の左岸を渡ったり右岸を渡ったりとどうも1時間以上グルグルと同じ場所を周回していたようでした。ナビちゃんは「Uターンしてください」とは言えないみたいです。青蓮寺湖は三重県名張市を流れる青蓮寺川の奇勝香落渓の玄関口に青蓮寺ダムが建設されています。春にはサクラ、秋には紅葉などが楽しめるそうです。

帰り道は結構な渋滞に遭遇し昼食場所を探すのに大変でした。途中、睡魔に襲われましたがドライバーに申し訳ないと必死に睡魔と闘いました。しかしジョンに言わせると「寝てた」らしいです。寝ていたことを隠すように、目覚めると突拍子もなく「寒くもなく。。。暑くもなく。。。ムニャムニャ」と意味不明なことを言いながら窓の開閉をしてたらしいのですが記憶にございません。

帰宅してからは皮剥きとの格闘です。「誰か〜手伝ってよ〜」と叫びたいくらいですが、ちまちまとひとりで夜更けまで皮剥きに精出しました。半分を終えたところで「今日はここまで」と決め、残りを翌日に回しました。そんなにたくさん採らなくても・・と言われそうですが「あの時、もっと採っておけば良かった」と思っても後の祭りとなるのです。なぜならば「季節限定」だからね
 「ジョンの感想」
イタドリ採るならどこまでも。たとえ火の中水の中。まあ好きといえば好きと片付けられそうですが、そのバイタリティには凄まじいものを感じます。近くにでも有るでしょうが、決めたところに採りに行く、其のこだわりたるもの尋常ではありません。
イタドリの植生や調理方法など今までは誰にも教えたくないと言っていましたが、あと十年もすればイタドリ摘みもできなくなるでしょう。
ならば後継に伝承しておかなければ絶えてしまう、「イタドリが可愛そう」としきりに考えるようになってきています。
文:美智子姫