2014
「有馬の氷瀑は60%で「まあ・まあ」。あとは有馬温泉にちゃぽ〜ん!」
2011年、やまたび倶楽部の仲間たちと有馬氷瀑を見に行き、滝全体が美しく凍っていたあの感動を味わうために突拍子もなく前の晩に氷瀑見学を決定して、あわてて用意をしました。葛城山で使用したアイゼンピッケルなどをまだ干したままで、ベランダからそのままリュックに詰め込み大慌てで準備をしました。前の晩に寒さが厳しかったから、きっと美しい氷瀑が見られるだろうと言う「氷瀑予報士のジョン」の一声で19日宝塚発8時30分の有馬行きのバスに乗車しました。自然が織りなすアイスショーが見られるかどうかワクワク・・・

宝塚駅から有馬温泉行のバスは思ったより空いていました。登山者は私達3人だけです。心はすでに有馬四十八滝。バスの窓から見えるクライミングでよく利用する蓬莱峡の岩場には雪が残っていました。今日のコースは昔と同じく有馬の手前の有馬東口からスタートです。早朝とあって温泉街は閑散としています。きっと今頃豪華な朝食を召し上がっているのかも知れません。
有馬ロープウエイは1ケ月間と言う長い期間、定期点検とのことで運休し観光客も無くトイレも「侵入禁止」の張り紙がしてありました。しばらく林道歩きを楽しみ、いよいよ紅葉谷の入り口と言うところで路面が凍結しておりアイゼンを装着することにしました。併せて衣類調整もしました。
09:40  有馬温泉ロープウエイ前
10:30  七曲滝 
11:00
11:20  百間滝分岐 
11:35  百間滝
11:45  似位滝
12:00  白石谷(昼食) 
12:25
12:30  白石滝
13:30  有馬温泉・金の湯
JR宝塚駅前から蓬莱峡経由の阪急バスを利用します。…船坂あたりは路肩に雪が固まっています。
有馬温泉街はまだ静かです。
雪中登山の中学生諸君…滑っても転んでも楽しそうですなあ
登山道には雪がかなり積りこの分だと氷瀑が期待できそうです。既に下山の人がいてすれ違いざまに氷瀑の様子を尋ねてみました。「まあまあですかねぇ」と何か思わせぶりな返事です。木立の中や川沿いの道を曲がりくねりながらアイゼンがキュッキュッとよく効きます。「右足、左足、ピッケル、右足、左足、ピッケル」とお経の様に唱えながら三拍子で歩いて行く練習もしていきます。
ガマ滝・七曲り滝の分岐あたりで何やら賑やかな声が聞こえてきました。
「キャー」とも聞こえるし笑い声も聞こえます。
よく見ると中学生が大勢行列を成していました。極楽茶屋を目指しているようで教師が引率しているので授業の一環なのでしょう。しかしスニーカーにアイゼンも履かず、全員ズルズルと滑りながら登りかけていました。教師らしき人が「見ての通り装備不十分なので先に追い越して行ってください。」と言うので「私達は七曲りの滝に行きます。お気を付けて」と言うと「行けるところまで行き無理せず折り返します」と言いながら登って行きました。
(アイゼン無しは無茶やで〜)
私の前に軽アイゼンを履いた方が写真を撮りながら時々ツルリと滑りながらも上手くロープを張ってある個所を通過する姿を見守りました。2月9日にこの場所で滑落事故が2件相次ぎました。午前9時20分ごろ、63歳の高校教員の男性が、登山道から足を踏み外して約10メートル下に滑り落ち、背骨を折る重傷を負いました。また同じ日にも午後3時前、すぐ近くで、72歳の女性が約30メートル滑落し、左腕骨折の重傷を負いました。アイゼン等の装備はきちんとしていたのかどうかは報道されていませんが9日と言えば日曜日多分多くの氷瀑見物者で混雑していたと思います。残置ロープが張り巡らせていますが全体重をロープに掛けるのではなくバランスを保つためだけに軽く持つ程度にしておかないと振られて滑落してしまいます。
有馬四十八滝と言っても48個の滝が見られるのではありません。それほどに多くあると言う意味です。七曲滝は中央部分に水が流れ、以前に見たほどの美しさはありませんでしたが滝で出会った「三田市のハンサムボーイ」と「やまぼうしさん」と仲良くお話することができました。やまぼうしさんは金剛山の雪が多かった事(私達が行ったときはなかったのに〜)、三田の青年はジョンさんに色々と質問をされていました。お互いの山の情報交換を仕合い、ホームページアドレス交換もしました。帰って見ると既にメールが届いており驚きました。
似位滝も凍っていません 百間滝も凍っていません 百間滝の下部
 白石滝は倒木に覆われていました 今日のレーションはヤマザキパンです。先日の中央道での…
百間滝、似位滝と見学したあと、細い谷あいを抜けて白石滝下の堰堤広場で昼食です。雪のじゅうたんは冷房が効きすぎるため立ったまんまの立食となりました。午後からは白龍滝を廻り魚屋道に出るコースを取る予定にしていましたがポッチーが「もうここから下山して温泉がエエ」とわがままを言いだす始末です。「どうする?」と相談した結果、メンバーに一人でもそういう考えが出た場合は予定通りの山行続行はむずかしいという事になり今回はポッチーのわがままを聞き入れて下山することにしました。
途中で「山の主」の様なおじさんと出会いヘルメットをかぶっていたことに失笑されました。多分「六甲の主さん」的な人で3000m級の山々へは出かけていないと見えてヘルメットの義務については「主」ではなかったような気がします。9日の滑落事故を見てもどこにどんな災難があるかわかりません。人が笑おうが自分の安全は自分で守らなければなりません。悪気はなかったと思いますが不愉快でした。
有馬の街に降りてきましたが人影もまばらで観光客も少ないように思いました。「金の湯」も順番待ちもなくスーッと入浴ができました。有馬の湯に浸かるのは久しぶりです。しかし熱い!露天風呂もなく湯気が立ち込め42度と44度の、やや高温の湯のため早々に出てしまいました。(もっとぬるいお湯にゆっくり入りたいわ〜)

入浴を済ませ西宮名塩駅経由宝塚行のバスに乗りましたがカーブの多い道路の揺れが心地よく、すぐに睡魔に誘われてしまいました。今回は氷瀑を楽しむと言うよりは雪道を楽しく歩いたと言う気がします。大和葛城山では深い雪の中を歩き、有馬では引き締まった氷混じりの雪を堪能しました。
写真・文:美智子姫