2014
八ヶ岳行きが大和葛城山にへんし〜ん!
本来ならば八ヶ岳に向かかっているはずなのですが出発の直前に無情の電話がかかってきました「大雪のために本日と明日は茅野行のバスは運休となりました。」この知らせを受けて出発寸前の大きな荷物を解体せねばならなくなりました。まずはメンバーに中止を伝えた後に夏沢鉱泉に事情を説明しキャンセルを申し込みました。「予想はしてましたが残念です!。またお越し下さい。待っています」そう言って下さいました。関東からの岳友も中央道閉鎖でどうすることも出来ずお互いが悔し涙を流すことになりました。残念・無念とはこういう時に使うためにある言葉なのでしょうか。ジョンは携帯を鳴らしても出ないほどに気抜けしたのかお昼寝タイムに入ってたそうです(冬眠か?)

荷物を解体しながら「悔しくて、空しいなぁ〜どこか代わりに行く山はないかなぁ?出来れば滑落停止のトレーニングもしたいなぁ」と考えるのですがなかなか八ヶ岳に代わる山が見つかりません。と言うか気合いが入らないのです。一服剱さんは会社に休暇願を出してしまっています。
09:05  御所登山口スタート
11:40  ダイトレ・北尾根分岐点
12:00  葛城山 山頂 
12:40
13:30  雪中訓練
14:20
15:00  御所登山口ゴール
「じゃあ明日は雪のある近場の山に行こう!」という事になり積雪40センチの情報を受け大和葛城山に行くことにしました。去年の春、ツツジの満開時の時に使ったコースを逆に行くことにしたのです。早朝、それぞれの自宅を出発して集合場所の御所駅に向かいます。 
夜明けが早くなりました 葛城山ロープウエイ 駅舎のテラスでアイゼンをセットします。
大和葛城山は、奈良県御所市と大阪府南河内郡千早赤阪村との境に位置する山で、標高959.2m。近鉄沿線の観光地として和泉葛城山よりも知名度が高いため、単に葛城山と呼ばれることもあるそうです。北の二上山、南の金剛山とともに連峰をなしている金剛山地の山の一つです。山の形状がなだらかであるため、この付近を葛城高原と呼ぶこともあるそうです。
近鉄電車アベノで一服剱さんの姿を見つけました。7時50分発の吉野行急行に乗り尺土駅で乗り換え、3つ先の御所駅で下車。ソリを手にした親子連れもドッと降りてきました。ロープウエイで山頂を目指す様です。私達は、バスには乗らずタクシーを利用することにしました。4人乗ればバス代と同じ金額で済むことは去年のツツジ登山の際に知っていました。
前回のドライバーさんは「葛城ロープウエイまで行ってください」と言うと「地の果てまででも行きまっせ〜」とノリの良いドライバーさんでしたが
この日のドライバーさんは昭和18年生まれ・・・(だ・だ・だ・大丈夫かいなぁ?)行先を告げると降車場所まで一言も発することもなくロープウエイ麓駅に到着しました。でもこの運転手さん正しくは昭和28年生まれだそうです。えーーーーーっどう見ても老けてまっせー。

ロープウエイ駅から上はアイゼンがないと危険なため広場にあるベンチを利用させてもらい早速アイゼンを装着しました。歩いているとロープウエイが頭上を通過して行きました。身動きができないほどに親子連れが乗っていました。イノシシ避けのりっぱな門を開け北尾根コースを登り櫛羅コースを降りると言う前回の逆コースを取りました。同じ山であっても季節を換えコースを変えると新鮮な気分になりました。北尾根コースはいきなりの急坂で「よいしょ・こらしょ」と掛け声を出すと「黙って歩け〜ヨイショ」な〜んやみんな同じやんか〜10分もしないうちに暑くてたまりません。登山道を大きく外し衣類調整と一服剱くんのまずは一服と相成りました。
 ぽっちー頑張る おーい年寄りを置いていくなー…忘れてました。 
この日は天気が良過ぎです…一服剱くんは夏衣装で頑張ってます。
歩くのが遅い原因はコレダ!…撮影総数は多いときは500枚にものぼります。 でも歩くのも遅いよ
↑おいおい…いっぱしの山姥やなあ

つぼ足歩行

アイゼン、スノーシュー、つぼ足はどのように使い分ければ良いか知ってもらうために、ダイトレまで1kmの地点でアイゼンを外してもらいました。今の積雪量と雪質ならつぼ足の方が楽に歩けます。深い雪の中では沈んでいくとき脛を前に曲げて穴を大きくして抜きやすくします。また良く踏まれてしまった所では膝を支点に蹴りこんで歩くようにします。
アイゼンは硬くしまった雪の上やアイスバーンの上で使います。また蒼氷の上では研ぎあげておくことも必要です。スノーシューは比較的傾斜の少ない林間部で威力を発揮しますし、慣れればモデルを選んで、ワカンのように使うことも可能です。
霧氷or樹氷 これは霧氷です
雪はたっぷりあり登山者が作った溝の様な登山道で「スノーシュー持ってきても役に立たないところやったなぁ」と言いながら見晴らしの良い展望台でまたまた衣類調整し「これ以上は脱げません」状態まで脱ぐ始末です。小学校低学年の男の子を2人連れた親子ずれが前になったり後ろになったりと頑張って登ってきます。他の子供達はロープウエイでス〜イスイと登っている中で自分の使うソリをしっかりと持ち、ソリを2倍も3倍も楽しむためには自分の足で登ろうと言う父親の教育なのだそうです。「ぼくら金メダルやな」と褒めてやりました。
小学校低学年の男の子を2人…「ぼくら金メダルやな」
ルート検討時は平石峠か岩橋山から入ることも考えましたが…ダイトレは、この分岐までトレースがありませんでした。北尾根で良かった。
山頂直下のキャンプ場前広場
大和葛城山の頂上でーす。人がいっぱーーーーいです。 
ツツジの咲く頃は2時間で頂上に到着しましたが、今回は深い雪道と、道中で一服剱さんにアイゼンの歩き方や時にはアイゼンを外しツボ足で蹴り込み歩行などを実践しながら登って行くと頂上到着は正午となりました。頂上直下には子供連れのグループが所狭しとソリ遊びを楽しんでいました。天気もポカポカで雪質も良く最高のゲレンデです。頂上で記念写真を撮り昼食場所をみつけ座った途端に風が吹き始めました。「風が無いと言っても標高959.2m、無風で済むわけないわなぁ」と言いながらポットから熱いお湯を注ぎ味噌汁をみんなで頂くことにしました。

すると何としたことか、いきなり突風が吹き、味噌汁を飲もうとしていた姫の顔に味噌汁が全部かかってしまいました。「あつっ!あつっ!」と言うが早いか雪を鷲掴みし顔面パックの様にに塗りました。自分で自分をレスキューしたのは初めてです。何をしているのかジョンもポッチーも一服剱さんも、とっさには理解できていなかった様子でした。ズボンもダウンも味噌汁がかかりボトボトです。しかも味噌汁くさ〜いっ!それよりも何よりも顔がヒリヒリし火傷状態じゃないのか心配です(面の皮厚いってか〜!)
昼食後滑落停止について話しましたが雪が融けかけていてうまくいきませんでした
昼食を済ませ子供達の遊ぶソリ山の片隅を利用して滑落停止の練習を試みるのですが雪が深すぎてうまく行きません。するとそばにいた若いお母さんが「これを使って滑ってみますか?」とソリを手渡そうとしてくれました。「ありがとう!結構ですよ」と断ると、若いお母さんはソリにまたがり「ギャーッ!」と遥か彼方、下へ滑り降りて林の中に突っ込んで消えていきました。それから戻った気配もなく怪我をしていなければいいのにと心配するほどの猛スピードでした。ソリ遊びと言えども子供達には危険すぎるほどの傾斜です。
滑落停止場所は下山道で探すことにして下っているとロープウエイから来たと思われる人達がゾロゾロと上がってきます。今日は天気も良いし楽しくソリ遊びが出来ますね。
「櫛羅コース」の看板を見つけ下山開始です。まだまだ登って来る人が多いです。雪も多く膝あたりまで積雪があり踏み跡から外れると身動きが出来ない状態になります。だからかも知れませんが、やたら登山道の真ん中で休憩をする人達が多く通過するのに苦労しきりです。「登山道から充分中に入って休憩しろ!リュックがはみ出ないように!」と常々教育されていますので深い雪の中であっても周りを踏み固めて足の置場を作ってから休憩を取っています。そんな我々にとって登山道の真ん中で休憩している姿を見ると「またかっ!」と腹立たしくなることも何度もありました。

恰好の滑落停止のトレーニング場所を見つけました。「ここにしよう!」という事になり1時間ほど一服剱さんの特訓が始まりました。雪まみれ(雪ダルマ?)になりながらとても楽しげに特訓を受けています。ウエアーは新調したばかりなのに大丈夫かなぁ?
 一服剱くんの雪中訓練
深雪の急傾斜の登り方、後続のビレイの仕方、グリップビレイ、滑落低支持のアイゼン・ピッケルの使い方など説明しました。
これらの技術は八ヶ岳のアイスバーンの上でやる予定でした。シゴキは次回ということで…乞うご期待 
1時間ほど練習を続けて「そろそろ帰ろうか」と帰り支度を始めました。雪を含んだロープやガチャ類は重たくなってしまいました。帰り道に5〜6人程の若者に囲まれて登って来る老人と出くわしました。登りにしては時間もかなり遅いです「コンニチワ」と挨拶を交わすと老人は何を思ったのかジョンに向かって「あんた!年はなんぼじゃ?」と聞きました。あまりに突然の質問なので驚いているジョンの代わりに姫が「もうすぐ古希です。68歳です」と答えると「わしゃあなぁ80歳じゃ〜!」と自慢げに言っておられました。後押しをしてもらいながらの介添え付きなのですが、どう見ても気になります。介添えの一人に「何か長いヒモがあればお爺ちゃんの胴体に巻いて前の人が引っ張ってあげるかストックを1本横にして前の人が誘導すればもっと楽になりますよ」と余計なお節介を言ってしまいました。でもすぐ実行されていましたので大分困っていたのだと理解できました。それにしても何故ジョンさんにいきなり年齢を尋ねたのか意味不明・・・・・
「二の滝」の看板のあるところまで戻ってきました。櫛羅コースには2つの滝があり(二の滝、櫛羅の滝)、役の行者が、この櫛羅の滝で修行をしていましたが、母が行者の修行に同行したので、行者は『女と一緒に修行は出来ない』と言って、この滝を母に譲り自分は(二の滝)で修行することにしたという話が伝わっています。

二の滝にも櫛羅の滝にも立ち寄ることなく、北尾根コース登山口を経てイノシシの柵のあるところまで戻ってきました。丁度15時です。アイゼンを外したりロープを片付けたりしていると、降りて来た登山者達がアイゼン片手にトイレに向かっています。気になるので付いて行くと洗面所でアイゼンを洗っているのです。何と非常識な!自分さえよければいいのか!と腹立たしくなりましたが怒る元気も残っていませんでした(笑)非常識登山者のために「アイゼン等を洗わないでください!下に水道あります」と大きな看板がいるのではないでしょうか。
帰路はルンルン…でもカジタックスのアイゼンは雪ダンゴ着いて大変だー。
御所駅行きのバスの時刻表を見ると次のバスは2時間も待たねばなりません。ロープウエイ切符売り場のおじさんにタクシーを呼んでもらう事にしました。「昭和18年生まれ?の朝のドライバーさんだったらどうしよう・・」と談笑しながら10分もするとタクシーがやって来ました。私達の前を通過しUターンをするのですが積雪のある広場を避けてなのかどうか、なかなか戻ってきません。「昭和18年生まれの運転手さんの方が腕がよかったか!。ちょっと腕わるいで〜」と悪口を言っているとやっと戻ってきました。女性ドライバーで繁忙期だけ呼び出される臨時ドライバーさんだそうです。(道理で〜納得。納得) 
ツツジの頃はバスがピストン運転していましたが、雪の頃も利用者が多いことがわかっているのですから3時の次は5時なんてことの無い、配車シテムにしてもらいたいものです。どこかに投稿しておこうと思っています。せめて利用者の多い土曜日・日曜日・祝日は臨時便の配慮がいるのではないでしょうか!

無事に御所駅に到着し待ち時間も少なくて近鉄アベノ駅に戻ってきました。今回のきっかけは八ヶ岳に行けなかった「ストレス登山」ではありましたが滑落停止と言う普段では実施できないトレーニングが充分時間をかけて出来た事で満足しています。3月に八ヶ岳リベンジを必ず実施します。お約束します。
みんなの感想
八ヶ岳山行が大雪のため高速バスの運休で取りやめとなりモヤモヤとスッキリしない朝でしたが代替登山「大和葛城山」の登山道に一歩足を踏み込むと「サクッ!サクッ!」と何とも言えない感触に、すぐにモヤモヤは消えてしまいました。もしバスが大阪を出発していたとしても途中の高速道で身動きできない状態に遭遇するところでした。残念ではありましたが3月にリベンジしようと言う意思を固めましたので「楽しみは後回し」という事にして元気回復しました。
ひ め
ツツジの時にも来ましたが、大和葛城山は距離も長くなくてボクの好きなコースです。アイゼンを履いて登りはきつかったです。雪は気持ちいいですね。人一倍寒がりなのでタップリ衣類を来て歩いてしまい汗まみれとなりました。次の雪との対面は「八ヶ岳」ですね。
Pochi
八ヶ岳は残念な結果になりましが、今日の大和葛城山遠征は良い天気に恵まれて、とても楽しい山行となりました。
今日は暑さを感じながらの往路でした。赤坂山ではウエアを脱ぐことなく体温調整できましたが、今回は脱がずにおれませんでした。同じ冬の山でもコンディションにより、対応を変えて行かねばならないことを学びました。
また滑落防止訓練では、綺麗に止まることはできませんでしたが、「こうやって止まるんだ」という訓練ができたことはとても良い勉強でした。
雪の量も多くてアイゼン歩行も幾分慣れてきました。ただ登るだけでなく、楽しく訓練しながらの山行でしたが、やはり心の中では、八ヶ岳への未練が残っています。是非とも今シーズンの内に再挑戦したいです(笑)
一服つるぎさん
急遽決まった、一服剱くんの雪中訓練、幸いに大和葛城山に40cmもの積雪があったため出かけました。やる気があるため覚えは早いように感じます。滑落停止を技術で止めることは困難なことです。落ちない歩行技術をマスターしてください。山には危険がいっぱいです、スワミベルトやガチャ類、8mm×10mくらいのロープなどはいつも携行するように努めてください。またその使い方は確実に覚えてください。
JON
写真・文:美智子姫