2014
「延期してよかった〜快晴のもと楽しめました・・アクシデント盛りだくさん」
スノーシュートレッキング・赤坂山(823.8 m)は2月8日の予定日が降水確率100%のため安全性と愉快さバロメーターを考慮し11日に変更しました。建国記念日の11日は、お日様マークが付いています。併せて滋賀県警からの「出発時間が遅くないですか?」のアドバイスを頂いた事から大阪駅発午前6時21分、京都発6時59分と電車を1本早く乗ることにしました。そのため京都駅と今津駅で乗り換えをしなくてはなりません。また湖国バスも「さらさ温泉」手前の「マキノ高原民宿村」のバス停で降車しなければなりません。マキノ高原民宿村から少し歩くことになりました。
今回の参加者はヒカルゲンジさん、一服剱さん、靖ちゃん、ジョン、ポッチー、姫の6人です。ヒカルゲンジさんは冬山でワカン経験はベテランですがスノーシューは初めての体験との事、一服剱さんもスキーはベテランですがスノーシューは初めてとのことでした。

マキノ駅で下車し4分の待ち時間で巡回バスに飛び乗りメタセコイア並木は通らないコースでちょっと残念な気もしましたが雪を付けないメタセコイア並木への期待は薄かったです。バスを「マキノ高原民宿村」で下車して登山口である「さらさの湯」まで少し歩きました。先日の関東地方が豪雪だったため野坂山地も大雪だろうと勇んで来たものの、予想に反してマキノスキー場は雪不足でした。
登山口まで雪の無い芝生の上を歩く始末です。今まででこんなに雪のないゲレンデは初めてです。
09:30  さらさ温泉
10:43  ブナの木平東屋
10:50
12:19  赤坂山 山頂
12:24
13:25  ブナの木平東屋
13:25  東屋が強風のため少々下山し
 風を避けて昼食
13:45
14:20  マキノ高原登山口ゴール
15:13  さらさ温泉バス停発 
15:50  JRマキノ駅発
湖国バス 「マキノ高原民宿村」バス停で下車…赤坂山登山口まで歩きます
バスを降りると、いつもなら雪の中をツボ足でマキノスキー場を通り抜けて登山口の看板付近でスノーシューを装着するのですが、この日はまったくと言っていいほどに雪はなく芝生歩きとなりました。1年ぶりのスノーシュー装着で、なかなか手際よくいきませんが「金具は前から止める」を思い出しながら準備が整いました。「アッ!切れたっ!」姫の声がしました。片足のスノーシューのゴムが切れたみたいです。素早く救急セットの中から靴ヒモを出して修理し始めました。「行けるか?」ジョンが覗き込みましたが「何とか行けそうやな。さぁ行こうか!」と準備が整うと赤坂山を目指します。去年はジョンのスノーシューのゴムが両方とも崩壊してしまった記憶が蘇りました。そろそろ交換時期に来ていたのかも知れません。天候は限りなく晴れ、空はスカイブルーです。悪天候の中の山行と違い心もウキウキしています。
マキノ高原スキー場はうっすらと白くなっていますが雪というよりは、夜露が凍ってアイスバーン状態になっているような感じでした。
一面、白そうですがところどころ芝生が出ています この影天気はバッチリ良さそうです 準備OKです
今日の登山口付近はまったく積雪がありません。例年なら後部の案内標識の半分ぐらいは雪に埋まっています。

スノーシューが無くても歩けそうなのですが持って歩くにも荷物になるためここで履きます。

午前9時30分スタートしました。
赤坂山への登山口からの登りは階段が続きます。いつもは雪に埋もれていて見えないのですが、今日は木製の階段もむき出しになっておりスノーシューを履いては歩きにくく階段を避けて少しでも雪のある道を自由に歩きながら登って行きました。ものの20分も歩かないうちに、姫のスノーシューのビンディングがが全壊してしまいました。
「修理しよう」と言ってくれましたが例年より雪も少なくツボ足で何とか歩けそうなため雪の中にスノーシューを隠して目印に赤いリボンを付けて放置し、ツボ足で前進しました。
さあ、気合を入れて元気いっぱいにスタートです。
雪道では、帰り道の吹雪の時を想定してコースにマーキングをしていく赤いリボンを忘れずに付けていきます。勝手知ったる道で不要とも思われる作業ですが、手間でもきちんとつけて行きます。ガースヒッチ(ひばり結び)の練習も兼ねています。結び方も使わないと忘れるのでトレーニングをかねて丁度良い機会です。
ブナの木平では、いつもは東屋の軒先まで積もっている雪も今日は全く持って少ない状態です
一時間少々でブナの木平と呼ばれる台地があり、東屋が建っています。ここを最初の休憩地と目標定め、ゆっくり歩いていきます。合羽や防寒着を着て歩き始めると20分もすれば暑くて湯気が出て来そうでした。少し寒いくらいのウエアリングでスタートすれば丁度よいのですが、まだジャンバーを脱ぐ気にはならず、汗をかかないように歩かなければなりません。
小さなカマクラ…緊急時には役に立ちそうです スノーシューは初めてという雪山のベテランも結構楽しんでおられます
「寒いと思ったら早めに着る、暑いと思ったら早めに脱ぐ」衣類調整の時間は早めの休憩を取ることで配慮していますが、それ以外は自分で判断して脱ぎ、列に遅れを取らぬように歩きながら短時間で、ウエアー調整をしなければなりません。

今年の赤坂山コースはツボ足でも歩けるほどの雪しかありません。雪の多いときは東屋の入り口に雪が覆いかぶり、中に入ることができませんでしたが、今回は雪が少なく東屋の中に簡単に進入することができました。ここで10分ほど休憩です。
東屋を出るとさすがに雪も多くなり、トレースもしっかりと付いています。人の歩いた足跡より自分で誰も踏んでいないところを歩くのもスノーシューの楽しみのひとつです。ツボ足の姫はひたすらみんなの足跡の上をソッと足を置き歩いて行きました。

ブナの木平からは少し下り、沢筋に降りていきます。沢筋から再び登り返す頃、一つの堰堤が現れます。
此処の通過がこのルートの一番の難所です。(難所っていうかなあ)フィックスロープが残地されていますが、私達は20mロープを携行していますのでそれを使います。初心者や丸いパイプフレームのスノーシューを使っている参加者が居られる時は安全構築をするほうが良いでしょう。とくに下りは危険です。下りでスリップ、沢まで落ちた人を見たこともありましたし、落ちなくても此処で転倒する人をよくみかけます。今回も帰路の事ですが単独行の方が転倒しました。幸い沢の中まで落ちはしませんでしたが、一つ間違えば惨事です。
堰堤を過ぎ100mほど行くと沢筋に別れを告げて、左岸に派生する尾根へとルートをとります。3回ほど折り返しながら進むと、稜線の直前にある送電線の鉄塔が見えてきます。そこが見極めのポイントになります。過去の話ですが、吹雪の時、ここから引き返したこともあります。
最後のカーブを大きく回ると、見上げると目指す鉄塔が見えてきました。たどり着くにはまだまだ時間がかかります。ポッチーの歩いた後にスノーシューのゴムの切れ端が落ちています。緊急用ゴムを使い応急処置をしましたが速度も出ず悪戦苦闘をしている様子です。 
しばらくするととうとうポッチーのスノーシューも崩壊してしまいました。スノーシューを雪の中に埋めてツボ足で前進しますが10分ほど歩いている姿を見ていると「これはツボ足で頂上までは無理やな」と、姫のとっさの判断で頂上を目指すスノーシュー組とツボ足待機組と二手に分かれて行動することをリーダーに提案しました。全員をここでUターンさすには気の毒すぎます。「姫が残ってくれるならOK」という事でツボ足組は風を避けてその場で赤坂山頂上から戻ってくる仲間達を待つことにしました。
待機場所から鉄塔あたりを見上げると雪煙が上がっています。「風が強そうやなぁ」視界も悪くなって行く様子がよくわかります。「吹雪いているんやろうなぁ」と話をしながら傾斜を利用してソリ遊びを堪能しました。多分いつもの電車やバスが到着する時間帯なのでしょうか。後から登って来る人達も多くスノーシューやワカン、アイゼンを装着しており、さすがにツボ足の人はいませんでした。
雪が少ないために、ほとんど夏道の上を歩いていきます。時折風の通り道に出ると倒されそうな風が吹いてきます。ストックを支持支点に台風姿勢をとりながら一歩また一歩。稜線に出ると大変だろうなあ。
途中でヒカルゲンジさんが倒れてしまいました。
「どうしました。風に倒されたの」「いや、バランスを崩したときに風にあおられました」「バランスを崩したときにパンチがきて倒れたのならスリップダウンですね」「うーん、そんな感じです」「ノックダウンでなくて良かったね」そんな会話を楽しみながらすすみます。
稜線の手前にある送電専用の鉄塔は言葉では形容できないような不気味な音をたてています。足早にそこを通過して少し下って登り返すと猛烈な風に体を揺すられます。
稜線に出て小さなピークを越えると次に見えるピークが赤坂山の山頂です …風が息をしている間が束の間の休息タイムです。
赤坂山の直下は突風に曝されています…2〜3歩歩いては台風姿勢、また歩いては台風姿勢の連続です。シュカブラも綺麗に出ていました。
左の写真は偶然撮った一枚です。
降りてくる単独行の登山者が突風に煽られ転倒する瞬間です。
スノーシューでトレッキングをしていると、アイゼン、ピッケルでの行動とは違い、風に煽られた時、一歩足を動かしてバランスをとろうとする時、スノーシューを引っ掛けたり、踏んだりすることがあります。こんな時は即転倒に繋がりますので、ちょっと注意が必要ですね。
赤坂山の山頂です …吹き飛ばされないように、何かに掴まっていてね…風下は崖だからねー
赤坂山の山頂には、ほとんど雪はありませんでした。ただ何かに掴まっていないと吹き飛ばされそうな風が轟々と吹いています。
その中にあって心を和ませてくれるのはシュカブラと、時折わずかな時間だが風が息をするように止んだとき、琵琶湖を見下ろす景色は最高の時間です。
バチバチと音を立てて頬に叩きつけてくる氷の粒は容赦なく私達の戦意を剥ぎ取っていきます。
何はともあれ写真を撮ろう。誰言うとも無くシャッターを押します。

「モニターが確認できない。」
「電源が入らない。」
「紐のついていないスマホは風に持っていかれそう。」


風に吹き消されながらも各自、自分の思いのたけをぶっつけて声を出しています。
これも雪山。写真だけ撮ったらすぐに下山します。
頂上は、なまじっかの風ではない。風速20mは吹いているかも知れません。這う這うの体で逃げるようにして下山開始です。下りで追い風を受けるのもまた歩きにくいもの、とにかく小さなコルに逃げ込もう。
鉄塔から下へはシリセードの連続、転げ落ちるように樹木の間を滑り落ちていきます。先行者の付けたお尻の跡に飛び込むように入って滑り落ちていきます。
頂上組を待っている間にポッチーにスワミベルトとカラビナを装着してもらい、姫もスワミベルト、カラビナ、シュリンゲ、GIGIセット、短いロープ(10b)の準備をしました。コースの中で1カ所だけ足を滑らせると川の中に滑落する個所があり残置ロープもかかってはいますがツボ足のポッチーの滑落防止に準備を整えておきました。

待つこと1時間30分、ジョンを先頭に靖ちゃん、ヒカルゲンジさん、一服剱さんの姿が見えました。「おかえり!どうでしたか?」「風が半端じゃなかったわ」と言いながら「とにかく東屋まで帰ってから昼食にしよう」と下山することにしました。
危険個所通過時には残地のロープを利用して下らなければなりません。しかしみんなは危険個所も難なく無事通過出来ました。しかし前を歩くよそのおじさんが思いっきり滑っていました。川に落ちることはなく止りましたがいつ来てもあの個所は危険です。

もうすぐ東屋と言う手前で靖ちゃんのリュックカバーが下に落ちてしまいました。「靖ちゃんが落ちたのでなくて良かったね」と言いながら、ツボ足ポッチーのために用意したシュリンゲやカラビナ、短いロープを使い無事回収しました。やれやれと思った途端、ビレイ中のロープが接触し姫のサングラスもまた飛んで落ちてしまいました。素早い救出劇の写真がないのがとても残念です。

昼食予定地の東屋の中は風が唸り声を上げて吹きぬけており、とても休憩する気にはなれませんでした。「もう少し下ろう!」とジョンが勢いよく、踏み跡の無い林の中を歩き始めました。その後にみんなが続いて歩くのですがツボ足組は膝まで埋まりながら「お〜い!ひどいとこ歩かすなぁ〜」と叫ぶと「すまん、すまんコロッと忘れてたわ」どうにか無事に、トレースに合流。風も無く日差しのある場所を見つけて昼食タイムとなりました。たまたま今回は陽だまりがあり落ち着いて食事をすることができましたが冬山では昼食時間と言うのは決めていません。そのため歩きながらでも食べられる食材、立ったままでも食べられる食材を用意することが好ましいです。
幼き日に戻って遊ぶ遊ぶ
姫の特製、暴走車両…ソリですよー…滑りすぎてごめんねー…アイムソーリー ゲレンデは茶色です
無事に下山しました…スキー場のゲレンデは茶色い地肌が広がっています…今日は温かったもんね。 
 昼食を終え斜面を見つけては尻シェードを楽しみながらマキノスキー場に到着しました。
上から見たマキノスキー場には雪はなく子供達も居ませんでした。帰りついたのが午後2時40分、滋賀県警のアドバイスは正しかったと言えると思います。
午後3時15分発のバスに乗りマキノ駅にむけてバスは走りました。
マキノ駅発15時50分の新快速・姫路行は突風のため6分遅れて到着。何とか座ることが出来ましたが、その後も何度も「強風のため待機します」「強風のため速度落として運転します」そんな車内アナウンスを耳にしながらウト・ウト、zzzzzz!。列車は15分遅れて京都駅に到着、ここで靖ちゃんとお別れ。そして20数分で大阪駅到着。
「では来週は八ヶ岳で!」と一服剱さんと別れました。夜明け前に家を出て、薄暗くなってから帰宅とは、よぉ遊ぶのぉ〜! 
 ザックのパッキングを終えマキノ駅行きのバスを待ちます
みんなの感想
スノーシューのゴムが夫婦仲良く切れてしまいました。八ヶ岳に出発前で良かったと胸を撫で下ろしました。常々、ツボ足歩きを伝授してもらっていましたので何とか遅れることなく付いて歩いていましたがポッチーまでもがツボ足とは、さすがに行程に支障が出るという事で、事前チェック不良を共に味わうことにしました。
スノーシュー時でも、軽アイゼン必携であることを学びました。
ひ め
いやいや、スノーシューのゴムが切れたのには驚きました。去年ジョンさんのゴムが切れた時「次はワシか」と思っていましたが、やはり経年劣化なんですね。ゴム交換しめて5600円・・・いやはや参った!参った!
しかし本体を販売しているショップならスペアパーツは在庫しておいてね。
Pochi
何年ぶりかの雪山参加、赤坂山スノーシュートレッキング、とても楽しかったです。
いつも雪山では輪カンジキを履いていますのでスノーシューを履くのは初めてのこと、こんなに良いものとは思いませんでした。
また頂上付近でストックによる耐風姿勢も初めてのことでしたのでなんとも新鮮でした。
八ヶ岳で突風は何度か体験しましたが、それ以上にきつく感じた赤坂山の突風、秒速20m以上は吹いていたように感じました。
日本海から吹き上げてくる突風も雪山の風物、これも含めて雪山ですね。
ヒカルゲンジさん
良い天気に恵まれて、楽しいスノーシュー初体験となりました。いや雪山初体験というべきでしょうか。
フカフカの雪をスノーシューで踏んだときの心地よさ。スノーシューの爪等の推進力の爽快感。
またピーク付近での強風の凄さ。冬山の楽しさと厳しさを体験したと思います。
また今回は雪山を実際に体験し疑問であった「体温調節」についても学びました。
八ヶ岳に臨むにあたり、金剛山、赤坂山を体験したことは、とても有意義でした。
実際の八ヶ岳はまた違うものがあるのでしょうが、少し余裕をもって臨めると思います。
皆さん今日もありがとうございました!
一服つるぎさん
昨年はスノーシューに参加出来なかったので 今回凄く楽しみにしてたスノーシュー 天気も景色もスノーシューも尻ソリも楽しかったです。
頂上の風は今までで一番すごかったけれど 360度の雪景色琵琶湖が最高に素晴らしいかったです。
ザックカバー拾って頂きありがとうございました。
靖っちゃん
今年の冬山はチョコット当たりが悪いようです。三峰山では美しい霧氷がほとんど見られず、金剛山では樹氷も全く見られず、赤坂山では雪が少なく、次週の八ヶ岳はいかがなものでしょうか。
低山ではロープを持っていると言うと笑うハイカーも多いですが、今回は70度くらいの傾斜の中ほどに飛ばされたザックカバーを取りに行きました。またその直後ビレーヤーがサングラスを飛ばしてしまい更に下へ、ウエストを支点に体を上下逆にしてピックオフ、回収成功です。これもまた楽しかったです。
JON
写真:ヒカルゲンジさん・文:美智子姫