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アイゼントレーニングin芦屋・地獄谷 「11月22日は「いい夫婦の日」・・・ザイルで結ばれて」
3000m級の山々はすでに白銀の世界の模様です。自宅近くの銀杏並木は「どう?美しいでしょ?」と誇らしげに私達に囁きかけているようです。ついこの間までギンナンを落とし悪臭を漂わせていたお詫びだと言わんばかりに朝日に照らされて美しく輝き、思わず足を止めてカメラのシャッターを押してしまいました。吹き溜まりには落ち葉が小さな丘を作っていました。お掃除のおばさんは掃いても掃いても舞い落ちる落ち葉に諦めムードで無表情でサラサラと葉っぱ達をかき集めていました。もうすぐ冬の気配です。

久々にクローゼットからアイゼンを取り出してみました。去年は2月の武奈ヶ岳、3月の八ヶ岳、10月のアイランドピークで使ったきりで、そろそろ雪山に向けてアイゼントレーニングをしようと言うことで、またまた芦屋・地獄谷に出掛けることにしました。
今日11月22日は世間では「いい夫婦の日」だそうです。 
 駅までの道すがら銀杏並木が美しい  今日は8:30集合です 阪神・淀川駅で 
今日は久しぶりにポッチーも一緒です。時々芦屋から有馬へ抜ける道を歩いているポッチーは、暑い夏を避け秋もいつの間にか過ぎ、冬に向けてのアイゼントレーニングにいきなり参加することになりました。どうも年明け早々に行く夏沢鉱泉に同行する気合いが見受けられます。アイゼンを履くのは何と2年ぶりだそうで、初心に戻りアイゼントレーニングをしようという意気込みです。
(そうそう、その前向きな姿勢が楽しい山行に繋がるのですよ)

芦屋川沿いで信号待ちをしているとジョンが所属していた山岳会の長老が自転車でやって来ました。翌日からタイへ2週間クライミングに出かけるとのことです。リュックにピッケルを挿しヘルメットを付けた我々の後姿を見て「寒いのによう頑張る人達やなぁ」と思っていたそうです。まさか知り合いだったなんてね。 
   芦屋川にオシドリがと思いきや鴨が4、5羽  もう秋の様相です
ジョンのトレーニング用アイゼンの歯は まるで足袋のコハゼのようです  ぽっちー、家で練習してきな
今日はポッーの安全を確保するのと、姫のザイルワークを重点的にトレーニングします
今日の芦屋は人も少なく地獄谷も静かです。地獄谷の取り付きでハーネスを付けガチャ類を装着して準備をしパートナーチェックをしっかりとしました。ポッチーに関しては何せ2年ぶりだという事で入念にチェックをしました。ジョンのアイゼンの刃先がまるで「足袋のコハゼ」の様にまあるくなっていて「大丈夫なの?新しく尖った刃先のアイゼン持っているのに〜!」と言うと「地獄谷はこれで充分!」新しいアイゼンは本番用だそうです。 
試し岩:このアイゼン利きが悪いわ 落ちても大丈夫よー…ちゃんと保険掛けてるからー
私達が出発をしようとするとガイドらしき大柄の男性人と中年の女性がやって来ました。左側の崩壊した岩場のゲートロック側から取り付こうとしていましたが何か躊躇している様子でした。私達がいつもの右側の岩壁に取り付くのを見て、後ろから同じコースでやってきました。ガイドらしき人はヘルメットをかぶっていましたが女性はヘルメットもかぶらずスニーカーの様で水の流れる滝が来ると高巻きしながら進んで行きました。(高巻き道の方が危険だよ〜)
ドッコイショ…体が重いわ 試し岩:オイラお腹が邪魔だわ ちょっと腰を下ろしてロープの整理
アイゼンは2年ぶりと言うので安全を考慮して、アンザイレンを組むことになりました。ポツチーはアンザイレンは初めてなので最初はロープを垂らしたり、水に濡らしたりと戸惑っていましたがサメ岩あたりまで来ると慣れてきた様です。ロープが水に濡れると、上でビレイする時、首のあたりが濡れて冷たいのです。(でも冷たいって言わなかったよ!優しいね!へへへ)アンザイレンをする時はパートナーのそんな気持ちにも気を付けてロープ操作を致しましょう。

地獄谷は岩場、水中、ザレ場とすべての練習ができる絶好の場所だと思っています。もうすぐ土曜日・日曜日になると山岳会のグループがアイゼンを履いて練習に来るため地獄谷は混雑します。しかし平日は人も少なく、昨日も一人だけアイゼントレーニングのおじさんが入ってきました。「こんにちわっ!アイゼントレーニングですか?あれっ?ピッケルは?」と聞くとピッケル持って歩くのは苦手なので置いてきたそうです(笑)
アイゼン履いて梯子登り…槍の穂先以来だわ
いつもなら休憩地点のサメ岩まで1時間で到着するのですが今日はアイゼンでの正しい歩き方などを熱心に練習していたら何と2時間もかかってしまいました。小便小僧手前の最後の滝左側にアルミの梯子がかかっていていつもは使わないのですがアイゼンを履いての梯子の登り方を練習することにしました。きちんと梯子にアイゼンを乗せ、ピッケルを置く位置関係などを復習しました。
A懸尾根の上で昼食でーす…周りはゼーンブ秋です
A懸垂尾根から振り返ると芦屋・西宮・遥か彼方には奈良の街並みも見えています。山々は色とりどり紅葉していますが見ごろは過ぎており、まもなく冬を迎える気配がしました。A懸尾根の上で風を避けて昼食をとることにしました。日蔭を求めていた夏の季節から陽だまりを求める冬の季節にバトンタッチしたのです。動きが止ると風が冷たく感じ体温が低下するため短時間で移動です。A懸尾根からいきなりA懸垂岩頂上に降りることにしました。いつも同じ地獄谷コースであっても内容はおもしろいほど毎回違います。まずはジョンがビレイをして姫がA懸垂岩頂上の支点部分に飛び移ります。足の短い姫にとって一瞬「危ないっ!」と感じるところかあるのですがビレイロープがしっかりと身体を支えていますので安全に飛び移り、自己ビレイを取ることができました。その後はポッチー、ジョンと続いて飛び移りアイゼン・ピッケルで懸垂下降を楽しみました。
A懸尾根にあがります
 A懸尾根通過中です
恐い所ほど…楽しいー
 A懸尾根からA懸垂岩の上の棚に降りてそこから基部まで懸垂下降です…その後ロープを引き抜きます
 ピラーロックではアイゼンの前爪を使って上昇下降のトレーニングを繰り返し、「今日はこれくらいにしとこかっ!」出ました〜っ!ジョン恒例の終了ゴングです。中央稜から滝の茶屋に向けて下山しましたが、途中で出会う人もなく、イノシシにも出合うことなく芦屋川駅に到着したのが午後4時、JRを利用し野田阪神界隈で一杯飲もうと言うことになりお好み焼き屋に入りました。「いい夫婦の日に乾杯!」「いい山仲間に乾杯!」をしました。

アイゼントレーニングは山に行かなくても自宅近くの河川敷などを利用して練習ができます。アイゼンで上手く歩くのは練習回数が多ければ多いほどスムーズに歩くことができます。雪山に行くには若さや体力勝負ではなく必ずトレーニングをして出かけたいと思っています。(私達には若さも体力も残っていません)慣れてくるとアイゼンを履いていることさえ忘れるほどにフイットしてきます。もうこうなれば大丈夫です。
ロックガーデンの中の溝…これ以上肥ったら通過困難です
登山靴だけで登攀するのと、アイゼンを付けて登攀するのとでは、危険度合が違ってきます。雪山ではなくてはならないアイゼンではありますが自分の足でズボンの裾をひっかけ転倒したり、アイゼンの爪でアイゼンをひっかけたりと歩きにくいものです。雪山ではアイゼンをひっかけて転倒し滑落と言う事故も多発しています。アイゼンを新調したら何度も何度も装着の練習や、装着練習をしなければ本番で苦労をします。近くに河川敷があればりっぱな練習場となります。
ロックガーデンは最高のトレーニング場です
「アイゼン・ピッケル・ヘルメットは雪山の三点セット」と言われています。苦手だからこそ雪のない場所で練習を重ねる必要があるのです。私達もピッケルを持ってはいるものの、まだうまく使えません。途中で出会ったおじさんの言う通り、岩登り中にピッケルが邪魔な時もあります。それは上手く使えてないから邪魔になるのだと思います。しかしそこを練習しないと本番の雪山ではうまく歩けません。私はまだまだです。
ロックガーデンの中でも、姫の好きな横幅測定場所です
オイラ姫ポチふーふのレフリーをしています。
右手にはホイッスルを持つのではなく、ガソリン缶を持ってます。喧嘩には油を注ごう。これが解決の早道だ。 

みんなの感想
ポッチー
自宅からヨットハーバーまで毎日のように平道ウオーキングをしていますが、今回アップダウンの道がいかに登山に効果があるか思い知らされました。アイゼン歩行も、もっと練習をしないと夏沢鉱泉へは、おいてけぼりになってしまいそうです。次回からアンザイレンを卒業して自分の足でアイゼントレーニングが出来るよう頑張りたいと思いました。
ひ め
慣れない相手とのアンザイレンで少々疲れましたが、私自身のロープの練習になりました。アイゼンを履くと一歩一歩確実に踏んで前進することの大切さを復習しました。冬山への取り付きまでのアクセスを考えると、つい出不精になってしまいますが雪の魅力は格別です。
温泉付きの山小屋はなお素敵です。安全で安心な登山が楽しめるように努力をしなければと思っています。
JON
翌日は体がバラバラになったみたいです。爪先だけで登るのがいかに大変かよくわかります。
雪山ともなれば、荷物は増えるし、歩きにくいし、風が強い時などはもー大変。
雪山にいけるのもあと2シーズンくらいでしょうか。

 美智子姫:記0000