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ロープ操作は速く・正しく・美しく
秋深まる、9日の土曜日はWEB岳友の「マゼンタチーム」と合流して来夏に登攀する剱岳・源次郎尾根の第2峰を10mm×50mロープと6mm×20mのロープでセットして下降後回収する方法の裏ワザをお互いが確認するためのクライミングに出かけました。
しかし主たる目的はその後の「一杯飲み会」にありました。酒の肴はジョンの心の中にタラフク持参しているので酒さえあればいいのです。飲みながら、じっくりと聞いてもらおうという算段でした。(笑い)

午前8時30分と少し早めに阪急芦屋川駅前広場に集合時間です。この日は天候も良く芦屋川駅前広場はすごい混雑です。遠めにマゼンタチームを見つけ一年ぶりのご挨拶。周りを気にすることなく「やあ、やあ、やあ」「やあ、やあ、やあ」。
挨拶もそこそこに高座の滝を目指して歩き始めました。
高座の滝までの道のりは1年ぶりの再会に花が咲きお喋りをしながら前進です。ロックガーデンの入り口である滝の茶屋の前では、どこかの山岳会のおじさんがチラシを配っていたり、トイレに列が出来ていたりと紅葉を求めた人たちがかなり多そうです。

さすがに地獄谷に降りる人は少なく、まずはホワイトフェイスのゲレンデから登攀することにしました。「マゼンタチーム」はこの岩場の存在を知らないらしく初めての岩場をしきりに見上げていました。「登れないかも知れないナ・・」「そんな事はありません」などと言いながら、まずは岩壁の横から登り、支点作りを伝授します。支点に使う松の木は枯れてはいますが幹はしっかりしていて大丈夫だと説明をしました。
そう言いながらも相撲の鉄砲よろしく押してみます。まだまだ大丈夫です。
ハーネスを着けて、ガチャ類を携行して準備完了です。 
ホワイトフェイスから中央稜を見るとまるで「蟻の行列」の様に人・人・人で渋滞しています。日曜日が雨予報なので土曜日に人出が集中したのでしょうか。子供会や山岳会、ピクニック組とさまざまな人達が歓声をあげ賑やかに通過しているのがよく見えました。 
青がメインロープ・黄&緑が引き抜きロープです 一発目は姫が下降します
ホワイトフェイスの支点場所に到着すると、マゼンタチームの相棒は手際よく懸垂下降用、トップロープ用と2本のロープをセットし、みんなで懸垂下降で元の場所に戻り、まずは登攀練習をしました。マゼンタチームは初めてと言いながら二人ともス〜スイとわけなく余裕で登ることが出来、何度も経験のある姫がモタモタとしています。姫は朝いちばんの登攀は身体がなれてなく恐怖を感じることを言い訳がましく説明をしました。その後は本日の目的である源次郎尾根でのロープ操作をジョンが説明しました。
暑くも無く、寒くも無く岩棚の上は快適です
ホワイトフェイスを終え、地獄谷をA懸垂岩に向けて遡行します
アイゼントレーニング用の「試し岩」にチャレンジ中…攀れるかなあ アッ攀れた
蟹岩を越えて 
A懸垂岩へ移動 
「お腹が空いてきたー」マゼンタさんの声。
「もうすぐ次の岩場のA懸垂岩に到着するから、そこで昼食にしましょう。」

最後の滝を登り切り、第一鉄塔への分岐を過ぎてA懸垂岩に近づくと、ワイワイガヤガヤと大勢の騒々しい声が聞こえてきます。
「エー!。今日はA懸垂岩は使えないの?」もう諦めの境地です。おそるおそる近づいてみると、40人はいたでしょうか、2班に分かれて何やら講習をしているみたいです。見ればクライミングではなさそうなのでとりあえず昼食をとりながら様子を見ることにしました。
危険箇所の通過について、ロープでの確保や三点確保の仕方などの講習中です。

そのうち、40人の団体さんも昼食時間ということでA懸尾根に上がって行かれ、岩場が使えそうになったので食事が終わると早々にロープを出して場所の確保をさせていただきました。。
A懸垂岩の基部で昼食です
そこに3人の若者が、A懸尾根から降りて来て人の多さに圧倒された様子。しばらく40人の団体さんの行動を見つめていましたが、団体さんが食事場所を求めて消えていくと「待ってました」とばかりに岩を触り始めました。昼食をしながら見つめていると、A懸垂岩に手を掛け足を掛け、ロープフリーで登り始めました。「おっ!おっ!ロープ無しで危ないなぁ」と思って見ていたら、これ以上は危険と判断したらしくクライムダウンで降りてきました。
JONのビレイで姫がリードで登り始めると、私達のクライミングを興味深い眼差しで見ておられました。ジョンが「体験してみますか?」と声を掛けると「ハイッ!」と明るい声が返ってきました。
私達には大切な源次郎尾根のロープ操作講習の課題が残っていたのですが「若者達に正しく安全にクライミングや登山を身に付けて欲しい」という熱い願いからマゼンタチームがハーネスを外し彼達に貸してあげて登攀実践を、見守ることにしました。

若いっていいですね…何よりも身が軽い…やる気がある…
ただクライミング中の事故はほとんどが (全てと言ってもいいぐらい) ヒューマンエラーです。
二重、三重の安全策を講じた上で楽しんでくださいね。今回はヘルメットも手袋も無しで体験していただきましたが、次回からは着用してください。
岩を専門に楽しむクライマーを目指すのもよし、低いながらも究極のムーブを楽しむボルダーを目指すのもよし、日本における山岳地形を楽しむアルピニストを目指すのもいいでしょう。いずれにしても、正しい基礎を身に着けて、それを更に完成させることです。本が全てではありません、教えてもらったことが全てでは無いことを知って、どんな状況下でも安全確保に努めることを頭の隅に置いてください。
歩くことができれば登山を楽しめるというのは間違いです。
本格的な登山をするには、体力、装備、知識、技術、経験、六感と言うようなものが求められます。そしてそれら以上に大切なのが命を預けることが出来るパートナーです。幸い三国連の皆さんは良いパーナーに恵まれているようですので、今後が楽しみです。
若き3人の登山者はこれからクライマーへの道を辿ってくれることを切望しています
登攀開始です。彼達はボルタリング経験者でクライミングのセンスがあり手足の使い方はサマになっています。多くの時間をかけずに登ることができました。但し下降については思いがけない高度感で恐怖を感じたようでクライムダウンやロアダウン、懸垂下降と3人が2回づつ登攀し終えると「楽しいですっ!」と感嘆の声をあげていました。
大阪市淀川区の三国に住むと言う若者達のグループ名を姫が「三国連太郎チーム」と名付けましたが昭和のイメージが濃いことから却下、ならば阿波踊りのチームに付ける連をとって「三国連」と名付けました。
しかし若者に合っているとは思えませんので良いチーム名が出来ましたらご連絡ください。
その後は最初の目的であった源次郎尾根のロープの操作に時間を費やしました。
源次郎尾根は30bの懸垂下降が必要となる場所があり50メートルロープを折り返すと足りない部分が出てきます。かと言ってロープを2本持つにはかなりの重量となり体力が消耗します。そこで細引きヒモを利用して50メートルロープと結び、うまく引き抜く「裏ワザ」を伝授することとなったのです。マゼンタチームの相棒の理解力は優れており短時間で習得することができました。
ロープの強度を知ってもらうために細引きのなかの2mmスランドを一本抜き、何人ぶら下がれるかという実験をしました。
1人、2人、3人ぶら下がっても切れません、JONが下から力を加えると「ブチッ」と音がして切断しました。
「強いもんだ」が若者達の見解でした。ロープは間違った使い方をしないで、手入れを怠らなければ信頼のおける大丈夫なものです。
若者達からお礼の挽きたてコーヒーをご馳走になりました。
ロープを回収していると、どこからともなく「ガリ〜ガリ」と音がしてきました。何の音だろうと音の方に目をやると若者3人がコーヒー豆を挽き始めているのです。「何してるの?」と聞くと「クライミングを体験させて頂いたお礼にコーヒーを飲んで貰おうと思っています」とのこと・・・これには年金グループは大感激で山の中で挽きたてコーヒーをご馳走になりました。身も心も温まり、若者達との出逢いに感謝した次第です。
帰り支度を終え,
もしクライミングを覚えたいならと思い、連絡先としてとホームページのアドレスを教えてお別れしました。

彼らはまだピラーロックを経て風吹岩に行くようでした。 
三国連チームはB懸尾根ピラーロックへ、私達は地獄谷を少し下ってから左へ取り、第一鉄塔の上に出るコースへ向かいます。
 第一鉄塔が見える所まで来ると「え〜っこんなところから中央稜に出られるのですか?」マゼンタチームの声、いつも地獄谷を下っていた様で第一鉄塔の上に出ると驚いていた様子でした。
中央稜に出ると六甲名物のイノシシの子供が2頭たわむれていました。親から離れて遊んでいる様子です。ウリ坊ではなかったので人間で言うと幼児ではなく少年ぐらいだったと思います。
阪急電車を利用し梅田に出て「一杯飲み会」をすることにしました。しかし4人とも酒はジョッキーにせいぜい1杯が限度で、 もっぱら食べるばかりでしたがジョンの「心に秘めた酒の肴」もあり満腹〜!
沢登りの話、雪山の話など時間はあっと言う間に過ぎ、話は尽きないものの外の暗闇が気になり始め、名残惜しくも解散することにしました。お互いが腕を磨き安全で安心のできる登山を楽しみましょうと誓い合い別れることにしました。食べることに熱中しすぎて写真を撮るのを忘れましたが「黒豆の枝豆、漬物、イカの塩辛、なすびの煮物、秋刀魚の塩焼き、こがんこステーキ、串カツ、サラダ、エビマヨ、アツアゲ、〆はアイスクリームと抹茶ワラビ餅・杏仁豆腐」
「えーッ。呑みに行ってるのに酒が出てこないって、呑んだ飲んだ、四人合わせて生ビール中を4杯、小を一杯。これからは呑みに行くって言わずに食べに行くって言おおう…ね」 
芦屋の町に咲く「不断桜」

「年金グループと称して、若者達に年寄であることをわかり易く説明しましたが若干1名様はまだ年金を貰っていない年金予備軍であることを書き添えておきます。

ギョ・ぎょ・魚〜水槽の中に大きな魚がいる。
  ちゃうちゃう、人間やで!

 ただいま掃除中のようです!

みんなの感想
   三国連さんグループ
三国連 その1さん
楽しかったです!!!! 今日、A懸垂でお世話になりました、3人の内の1番最初に登った帽子をかぶってた者です。念願だったロッククライミングを経験できて本当に楽しかったです!
声を掛けていただいて、親切に教えていただけて嬉しかったです。
装備を揃えてクライミングを本格的に始めようと思いますので、またご指導お願いいたします。
本当に今日はありがとうございました 。
三国連 その2さん
遅くなりましたたが、先日はありがとうございます!
クライミングの楽しさを味わえて本当に良い経験でした…
自分は本当に初めてだったのですが、皆さんに教えて頂けて良かったと思います。
またご一緒させて頂ければと思っていますので、コーヒー片手にまたお邪魔させて頂きます!
この度は本当にありがとうございました。
三国連 その3さん
遅くなってしまいすいません。先日は、いろいろとありがとうございました!
ロッククライミングを楽しく経験させていただき、ありがとうございました!!
高いところが苦手で、怖すぎて足が震えてどうしようもない時でも、とても優しく教えていただき、怖いという感覚から楽しいという感覚に変えることができました!!本当に皆様に感謝しております。
また、お時間合いましたらご指導よろしくお願い致します。
本当にありがとうございました!またお会いできることを楽しみにしております。
  JONの声
足が震えようが、ビビろうが、あの岩棚に立てたことが、まず第一関門突破です。あとは回数で克服できます。
最初から多くの器具を買い求めなくてもいいですから。ハーネスとヘルメット、革手袋はいりますね。それと1000円くらいの保護メガネ、薄い色のサングラスでいいです。上を見ているとき砂塵が落ちてきます。
それだけあれば先ずは大丈夫、ロープやカラビナ、スリングなどは私達の物を使っていただければいいです。
人の持っているものを見せてもらったり、ショップで聞いたり手にとって見たりしながら自身に合っているものを選んでください。
それと、ショップでいろいろな資料やカタログをいただけますので読み漁ってください。良い事が多く学べまーす。
  マゼンタチーム・マゼンタさん
実のところ お会いするまで、付いていけるか、ホワイトフェイスが登れるか と 不安と緊張でしたが、待ち合せ場所で、お二人のお顔を拝見して 歩きながら 色々お話しているうちに、そんな不安や緊張が一掃されて すでに楽しくなってきました。
初めてのホワイトフェイスは初め見上げた時には「こんなところ無理無理」と 尻込みしてしまいましたが、なんとか登り切りホッ。ジョンさんには、正しい確保の仕方や、登る時にもっと足の置き場を細かく拾うようにとのことで スラブでの練習を取り入れたほうがいいというアドバイスをいただきました。
姫さんには私達に色々気を使っていただき、若者3人が登る際には、上でジョンさんの指示通りに 素早くロープをセットされるのに感心しました。
A懸での若者達との出会いもまた楽しかったですね。彼らは本当に気持ちのいい3人組でした。
今回の体験を機に岩登りのロープワーク等正しい知識を習い、スキルアップしてほしいですね。
梅田での飲み会も楽しく、ジョンさんは少しは気が晴れたでしょうか。
私達の今後の課題は、ジョンさんの冗談に対してのツッコミのスキルアップでしょうか??
  JONの声
マゼンタチームはお二人とも若いですね。また時間が合えばご一緒しましょう。トレーニングも食べ会も。
華麗なるムーブをお見せしたかったのですが、最近腹は出てくる、目方は増える、腕力は落ちる、おまけに手の指が伸びない力が入らない。でもそのほうが良かったです。オイラのムーブ、笑われるところでした。ガハハ。
冗談に対してのツッコミよろしくね。スルーされたら、かなり寂シーィ。でもオイラの冗談気を悪くしないでくださいね。
  マゼンタチーム・年金予備軍さん   
約一年ぶりの再会でしたが毎日の様にHPでお会いしていて、一方的ですが勝手ながら旧知の間柄のように思っていましたので、改まったご挨拶もせずいきなりの馴れ馴れしい態度で接してしまい失礼をしました。
以前から気になっていた「ホワイトフェース」なるゲレンデですがあんなに近くにあったなんて知りませんでした。
ツルッとした岩が一番に目につき、これはとてもとても僕たちの腕では登れないなと思いました。
左端の巻き道で上部に出て、早速、裏技の説明と姫さんのレポの中にある写真のようにロープをセッティング、そしてそのロープで懸垂下降。着地。
さてこれからが目的の「引き抜き」テストです。以前、自分だけで槇尾山のゲレンデで試した時には全く緩まず 「はて、どうしたものか。」と、色々と考えていたのですが、今回はJONさんからの直接の伝授。細引きの結び位置を変えてのテストです。
緊張とともに期待に胸ふくらませ細引きを引いてみます。「ん!!」びくともしない。やっぱり駄目か。
JONさんがメインロープを上部に向かって大きく揺らします。こうすることでタイオフ状態でしまった上部の結び目を少し緩める事ができるという。もう一度思いっきり細引きを引っ張りました。腕にうれしい感触が走りました。結び目が下に向かって降りてきます。成功です。
「あの白くなってる部分のルートは簡単だよ」と教えてもらい、折角来たんだから登らずに帰るのはもったいない。
伊東さんのビレーで取り付いてみます。登りの途中で一時停止の合図がありました。見ると下で伊東さんがスムーズなビレーの操作方法を教えてもらっています。
このルートはガバガバですんなりと登れてしまいましたが他のルートはたぶん手も足も出ないでしょう。

次に場所をA懸岩へ移動。気のいいJONさん、姫さんがその場にいた3人の若者にクライミングの楽しさをわかってもらおうと、にわか講習会の始まり。傍で聞いていましたがクライミング基礎の一部分ではありましたが再確認できました。
その後一番右端のルートを姫さんのビレーで挑戦しましたが今回もやっぱり登れずでした。
最後にここでも「引き抜きテスト」をしました。「ホワイトフェース」では立ち木に支点を取りましたがここでは岩に打ち込まれたアングルにつけられているリングに支点を取りました。ここでもうまく「引き抜き」ができました。次回は「捨てスリング」に支点を取った場合はどうなるか試してみようと思っています。
でもJONさんの体調がよければ来季の源次郎はご一緒させていただけるのでこの裏技は使うことはないと思いますけど。
今回は色々と勉強になりました。お忙しい中の講習、どうもありがとうございました。今後ともよろしくご指導お願いしたいと思います。
あっ、今回の「岩トレ」の目的はJONさんの心の内を聞く飲み会にあったんですか? 少しはお役に立てましたでしょうか?(笑)
  JONの声
いやー実に楽しかったですね。一年ぶりの出会いなんて思えませんね。
胸のうちは彼女にフラれて悶々としているとき、新しい彼女が出来たときのようにスカーッとしましたね。
ご心配をおかけしました。
来年、源次郎尾根にご一緒できたら10.3mm×60mがありますから、きたおかさんが背負ってね。よろしく。
  JON
マゼンタチームさんへ
源次郎尾根これで大丈夫ですね。来年力が残っていたらご一緒しましょう。いやいや連れて行ってください。へへへ

三国連 3人の若者へ
本格的に登山をやられるのなら岩登りは必須です。先ずは安全第一、結果オーライの「エイ・ヤー」の気合で物事をやってはいけません。ロープの結び方を覚え、使い方を覚えてください。ロープワークを知っているのではなく、使いこなせるようになってください。日本の山岳地形は世界的にも優れています。スキルアップをしてチャレンジしてください。
3人揃って週中に休みが取れたらご連絡ください、また行きましょう。
  ひ め
思いがけない若者達との出会いにテンションが上がりました。我々は体力は無いけれどもクライミング技術はある、ならば若者達にクライミングの楽しさを味わってほしいと思い登攀練習を見守り、私がクライミングを始めた頃を思い出していました。何事もまずは真剣に取り組み、習得すれば楽しみに変わることを若者達に知ってもらいたいと思います。年金組全員、若者達の登攀体験を見守り、有意義な時間を共有しました。人と人の繋がりには、もつれ合う繋がりばかりではないという事を改めて知りました。
マゼンタチームとは1年ぶりの再会でしたがいつもホームページで応援して下さっているので時の流れを感じることはありませんでした。い〜い1日でした。

 美智子姫:記0000