夏山トレーニング 第3弾 (3-3)
9月21日土曜日。
剱岳トレーニング最終回となりました。今回も参加メンバー勢揃いといいたいところなのですがkau君が体調不良で欠席・・・本番大丈夫かなぁ。
阪急芦屋川駅には先週に増してごった返していました。何故か今日は若者の登山者が多いです。大学のサークル仲間かも知れません。前回と同じく、駅から30分の芦屋川沿いの上り坂のウオーミングアップコースは空は真っ青、秋風が吹き、ところどころに彼岸花が咲いています。
そうかあ、もう彼岸かあ、そういえば昨日は彼岸の入りだったんですね。 
芦屋川沿いの登山ルート 彼岸花一輪 
滝の茶屋の壁面に取り付けてある登山届ボックスに登山届を入れました。
私達以外に投函するグループはおらず、ほとんどの人が投函すること無く高座の滝に向けて足早に通り過ぎて行きます。
ヒマラヤでは入山料を払い。公園局、軍隊、安全登山団体などから数回にわたって入山チェックを受けます。当然のことながらゴミの持ち帰りの誓約書もとられます。
それに比べれば日本の山は町の公園と一緒、ルールは有っても罰則は無い。装備も技術も関係ありません。行こうと思えば誰でもいけるのが日本の山です。またそれを誰も止めることができません。
遭難事故が発生すれば公共の機関が動いてくれる。警察庁、長野県警、冨山県警によれ山岳会などへの組織未加入者の遭難事故が圧倒的に多いという。
何処の山のどのルート入るにはどれくらいのレベルの技術と装備が必要か、理解してから登山をして欲しいと願わずにはいられません。どこかの会に所属して、山のいろはを学んで欲しいと思います。登山するにも山行のレベルは明確にされているのです。
引率するリーダーさんも同行者の安全を保障しているかどうかも問題です。
高座の滝に鎮座するお稲荷様へのご挨拶を済ませ、地獄谷からA懸垂岩、第一鉄塔に出て堰堤でミーティングをする予定で出発をしました。
今日は前回より水量が多いです 今日も地獄谷はほとんどがハイカーです
地獄谷入り口には、ひっきりなしに訪れる登山者で大賑わいです。私達がハーネスを着け準備をしている間に50人を軽く越えるハイカーが登って行きます。無事に通過してくれれば良いのですが。
「中級コースとガイドブックに書いてあったから来て見た」それで来てはいかんでしょう。

鮫岩の辺りで、人見知りをするジョンが珍しく若者に声をかけました。
「このコースをどうして知ったのですか?」「以前ロックガーデンを登っていたら下にも道がありそうなので来て見ました。このまま行けばどこに行くのですか?」ジョンが「地図は?コンパスは?」と尋ねると何も持たず道なき道に途方にくれていた様子でした。小便の滝まで行けば左右に道が分かれているので右方向に進みなさいと教えていました。私達も人混みが途切れた頃を見計らい前進しました。
台風の後なので水量もかなり多く、衣服も水で濡れてしまいましたが、真夏を思わせる猛暑に丁度沢登り状態で心地よかったです。
蟹岩およびその上部を通過。ロープを使う訓練です…素早くロープをセットして後続の安全を図ります
毎週、地獄谷トレーニングではありますがコースはいつも変化に富んでいます。今回はA懸尾根には進まないで直登しました。最後の滝登りで、勢いよく登ったのは良かったのですがリュックが岩に当たり落下寸前、危ないところでした。一歩一歩大事に登りながらA懸垂岩に到着です。「1回づつ登攀下降しよう」という事になり1回ではOKが出ず登攀コースを変えて2回懸垂下降を楽しみました。
 A懸垂岩で登下降の訓練…そしてビレイの訓練
みなさんそれぞれ良い形になってきました
登山靴での登攀にも慣れてきました
岩棚から折り返せるロープの長さが無いとき細引きを使って回収する方法 
 懸垂下降の支点にロープを通す  支点から先側に8ノットをつくる  下降側のロープに輪を掛けて編み上げる
 輪に細引きを結びつける この状態で懸垂下降   懸垂下降中
今回、A懸垂岩でやってみましたがザレた花崗岩の岩壁はロープが滑りにくいためメインのロープに煽りを与えながらロープの重さを軽減し、少しづつ細引きを引きながら回収しました。
使った細引きが3mmを二重にして使いましたが5mmか6mmは要るように感じました。

剱岳源次郎尾根の第2峰は30mの懸垂場があり折り返して引き抜くには60mのロープか30mのロープ2本が必要になります。

この方法を使えば30mロープと細引き30mあれば出来ることになりますが、少し練習されてから使われるほうが良いと思います。
それとこの方法で源次郎第2峰を下降される時、後続者が居るときは懸垂下降後、上部で結びを解除してもらうのも一計ですね。
下降後細引きを引いてロープを回収する
ラビットノットを利用したカウテールのつくりかた
カウテールと呼ばれる安全策は鎖場の通過に使われます。剱岳では数箇所に鎖場を通過するため、混雑時や荒天時また恐怖心に襲われたときなどに使います。

日陰を利用してA懸垂岩で昼食の後、ラビツトノットの練習をしました。

オリオンさん持参のマニュアルは懲りすぎていて解り難かったデース。
2日後に本番という事もあり、トレーニング最終回は体力温存という事で歩行距離を短くし、堰堤まで戻りツエルトの張り方講習をしてもらうことにしました。
ツエルトの張り方 
 ツエルトを広げます 石を4ツ拾ってきて四隅に置きます  ツエルトの両端にストックを立て
ツエルトは緊急時に使用する場合が多く、時間をかけずに張らなければなりません。
講習の結果、ツエルトを張ると決まったら周囲から大きな石(自分で抱えられる範囲で良し)を4個探してきます。ストックを2本、できればペグもあればいいことがわかりました。無いときはチャリ袋に小石をいれ、それに周囲のヒモをくくりつけるといいそうです。
(ペグを買おうっと!)
 ストックの上部から張り綱をとる 四隅を固定する   
全てのトレーニングを終えたのが午後2時30分。
頭の中をビールがチラつきだした頃、
「このまま上がっていったら風吹岩から岡本駅へいけますか」…と小学生くらいのお子様二人連れられたお母さん。
高座谷は道が解り難いので中央稜をお勧めしましたが、今からではギリギリですよと、何かアクシデントがあったら遭難ですよ、そう申し上げたいところをグッと我慢しました。

町の中はまだまだ秋の気配ですが、寒さ対策もしておかなければアルプスは冬の様相です。

芦屋ロックガーデン&地獄谷コースは、有に100を超えるコースが六甲山にはあります。山行がきまったら必ずトレーニングを積み、本番を想定して安全な山行に備えたいと思っています。トレーニングを積み重ねることによって本番の山行がスムーズに行き、不安も解消します。
参加者のひとりが言いました「誘ってもらえるうちが花だと思う」チャンスは逃がさないで、チャンスは後回しにしないで、技術向上と体力に見合った山行を70歳を過ぎてもできていれば 「し・あ・わ・せ〜」
参加者のみなさんからの質問等もさほどなく、集合場所と時間を再度確認をし阪急芦屋川駅に到着したのが午後3時。い〜い時間です。軽めのトレーニングのはずでしたが、みっちりと内容の濃いトレーニングとなりました。あとは天気に恵まれることを祈りつつ解散いたしました。

お地蔵様へのお礼の儀式を忘れることなく滝の茶屋まで降りてきました。
「今日はかき氷どうする?」の声に、ジョンが「いらんっ!まっすぐ帰る!当分立ち寄らない!」
ハハーン先週のあの無愛想な対応に嫌気がさしているな・・・
本格的な登山者は三連休を利用してアルプス界隈に出かけたのか顔見知りの人達に遭う事はありませんでした。

鹿島秀元:写真  美智子姫:記0000