初心者のための岩登り体験講座
「クライマーへの第一歩」
Kazu君の職場の後輩2人がクライミングを体験してみたいと言う話になり何度か予定をしたのですが雨の日が多く、いままで順延となり、7月22日三度目の正直でやっと実現することができました。阪急芦屋川駅午前9時に待ち合わせなのですがどちらも初対面のためうまく合流できるかどうか心配です。ベンチの隣にそれらしい2人連れが座りました。
ひょっとしてとジョンが「今日の受講生の名前は何て言う人やったかなぁ?」とわざと姫に質問をしてきました。ジョンにしては珍しい行動です(笑)隣の人の反応がありませんでしたので違うみたいです。次に若者が2人携帯電話を取り出して何やら相談していました。「まっさかぁ〜Kazu君の同僚や言うてるから、あんなに若くはないよね」と思いつつ2人と目が合いました。アイコンタクトで待ち合わせの2人だという事がわかり朝の挨拶を済ませ自己紹介、講師の紹介を終え高座の滝へと歩いていきました。若者はともに24歳、見るからに素直な好青年の第一印象を受けました。
クライミングはロープに絶大なる信頼をかけるので、まずはロープの強度チェックです。
3ミリ径の細引きに3人ぶら下がります。少々しゃくっても大丈夫、200kgは吊れます。
芦屋川には何度か訪れたことがあるらしいのですが地獄谷は初めての様でした。まず高座の滝のお稲荷様に一礼をしロックガーデンと地獄谷の分岐に到着しました。地獄谷への下りの道は雨で池の様になっており、行こうか戻ろうか迷っている団体もおりました。私達は斜面に這うようにして危険な道をロープを使いながらいつもの出発点までやっとの思いで到着しました。受講生は最初からびっくりしたかも知れません。(笑)前日訪れた時は水量も普通でしたが私達が帰りに遭遇した大雨が影響している様子です。出発準備をするためシートを敷き、その上に登攀道具を並べました。ハーネスの装着やヘルメットの必要性などを説明しました。そんな最中も横をすり抜け崩壊したゲートロック側を平気で歩いて行く人がほとんどでした。きっと水に登山靴を濡らすのを嫌がったのだと思います。私達は崩落した岩場歩きは危険のため利用せず、何事も体験ですから右側の取り付きからスタートしました。今日の受講生は「SYOくんと松つぁん」です。ともに24歳。職場が同じ仲良しの2人組です。紹介者のKazu君は東京に研修に行っており「後輩たちをよろしく頼みます」と葉書を貰っていました。
「では気を付けて行こう」と、ジョンの声がかかりスタートです。いきなりの水の洗礼を受けることとなりました。勢いよく水の中に足を入れたSYOくんの靴の中は多分グチョグチョで〜す。岩場への足の置き方など一般登山の説明から始まりました。滑落しないで歩くにはどんな工夫がいるのか説明し、ロープ無しでも行けると思うのですが地獄谷の最初の第一歩はロープを使うルールに乗っ取り、面倒くさがらず、ロープを使い、時々わざとテンションをかけてロープがいかに安全であるかという事を確認してもらいました。

スムーズに進んではいるものの後から後から登山者がやってきます。今日は地獄谷で何かイベントがあるのかと思うくらいひっきりなしにやってきます。先を譲ったりしていると通称サメ岩あたりで11時になってしまいました。サメ岩でしばらく休憩し小便小僧の滝から直登しA懸岩に到着したのが正午を過ぎていました。昼食後からいよいよクライミング体験が始まります。ここまでは一般登山の要領を体験してもらいました。自己流で登山始める人もいますが最初にきちんと学んでおけば将来安心です。
地獄谷を経て A懸垂岩・クライミングゲレンデに到着
A懸岩は見た目には傾斜もあまりなく簡単に登れそうですが「見ると、登るとは大違い」です。まず姫が唯一支点作りの出来る場所ですのでリードで登り、支点を作り、ロープアップをしランニングビレイ用のヌンチャクを抜き、懸垂下降でスルスルと降りてきました。若者達2人の出番がひしひしと迫ってきます。まずはエイトノットの説明などをし、1日で覚えてもらうには時間がないのでエイトノットの説明をしながらジョンが手際よくハーネスに装着して行きました。いよいよ岩に取り付いてもらうことにしました。岩場の半分ほどのところを利用して、ロアダウン、クライムダウンを何度が練習し、いよいよ上部まで登っていきます。上部には姫が待機し、ビレイやーはジョンと、役割分担をしたのですが上部にスズメ蜂らしきが1匹、羽音をたてていました。ここはジョンが刺された記念の場所です(笑)
ロープの結び方、安全確保のシステムの説明
いよいよ登攀訓練です
ロアダウンの姿勢は恐怖心が先に来てなかなか一歩が踏み出せず緊張の時間が過ぎて行きました。
「大丈夫初めはみんなそうだったの。鳥になった気持ちで両手でバランスを取りながら、はい!姿勢を作って!行こう!」
檄を飛ばし思い切ってロアダウンスタートです。正しい姿勢さえ作ることが出来れば簡単なのですが初めての事ゆえに「楽しい」という印象で体験を終了してもらえるか「怖かった」と言う印象で終了するかは今後の登山人生が違ってきます。 
第一歩、鳥になれました!。少し怖さも感じつつロープに身をゆだねても安全であることも感じつつ二人とも快調に岩場を楽しめるほどになってきました。A懸岩は日当たりも良く照りつける太陽はたまらなく暑いです。1本終了するたびに水分補給をしなければ脱水症状に陥りそうです。いよいよ懸垂下降の体験がはじまりました。上部をジョンに代わり姫はビレイヤーとなりました(スズメ蜂から逃げたんやね)懸垂下降を始める前に姫が懸垂下降で途中まで降りて負傷者スタイルを取りました。ビレイヤーが途中で失神した負傷者を安全に下降さすことができることを説明し、それぞれが2本懸垂下降を体験しました
。懸垂下降の感想を聞くと「気持ちいいです。高さの恐怖は消えました」さすが若者!覚えが早い!せっかくの懸垂下降でしたがカメラのバッテリーが切れ、勇姿が撮影できていません。残念です。
これ以上したら疲労感が漂うという一歩手前で体験講座終了です。二人でエイト結びを覚えるようにと細引きロープを進呈した後ロープの収納、道具の片づけなど手伝ってもらい、A懸岩を去ることにしました。第一鉄塔をめがけて急登し第一鉄塔で休憩をしました。

「あっここ来たことがあります」誰しもが地獄谷から登ってきたらこんなに高く登って来たのかと思うほど知らない間に登っていることに気が付きます。下山しながら朝登った地獄谷の位置関係をジョンが説明しながらロックガーデンまで戻ってきました。午後3時だと言うのにまだ登って行く人がいます。多分あの時間だと風吹岩あたりだと思うのですが突然の気象変化もあり雷雨の危険性があるため「午後3時は無事下山時間」であることを受講生に伝えました。

「滝の茶屋でかき氷を食べよう」前日と同じパターンになりましたが今日は雨に遭わずに済みそうです。火照った身体は、かき氷が喉を通過していくとスーッと暑さが引いていきました。滝の茶屋からはクールダウンの要領で阪急芦屋川駅まで歩きゴールとなりました。彼達の初体験が今後どのように役立つかわかりませんが「体験してみたい」と言う前向きな考えがきっと仕事にも良い影響を醸し出してくれると信じています。
先輩であるKazu君への報告はレポートを以て報告としましょうかね。
感 想
Syo
本日は大変お世話になりました。クライミングは思ったより道具が多くてビックリしました。不器用な僕は紐の結びに悪戦苦闘でした。降下が爽快で気持ち良かったです。ありがとうございました。

松っあん
本日は暑い中ありがとうございました。とても貴重な体験が出来たので充実した1日となりました。またsyoさんと山を登って行きたいと思いますので色々ご指導のほどよろしくお願いします!本日はありがとうございました。これからもよろしくお願いします♪

ひ め
お二人とも若いので柔軟性に富みクライミングが上達する要素を持っていると感じました。クライミングはアルプスなどの岩稜帯で岩場を通過するときに、立ちすくむ事の無いように訓練をするものです。槍ヶ岳を目指しているとお伺いしましたがマナーを守り一般登山の技術を磨き近い将来夢が実現できますように祈っています。若者達と接する機会があまりありませんのでとても新鮮で楽しい体験講座でした。

●講師ジョンからの一言
●両君とも覚えが早く、センスは良いと感じました。登攀に関しては2〜3回やれば芦屋界隈の岩場はこなせると思います。それに伴うように知識も増やしていかなければなりません。一に安全ニに安全。どうすれば事故を起こさないかを絶えず考えておかなければなりません。
●ロープの操作中、首に巻いたタオルを巻き込んでしまったら大変…女性の長い髪がロープに巻き込まれて大怪我をした例もあります。
●襟付きのシャツを着る…ロープで首筋を火傷した例は少なくありません。
●言われたことだけを守るのではなく、どうすれば安全かということを絶えず考えながら楽しんでください。
●六甲山系の岩場でも、毎年1件以上の死亡事故が発生していることを知っておいてください。ヒヤリ・ハットを起こさないように。
0 美智子姫:記0000