「降りすぎやで〜!高座の滝が溢れてるやんか〜」 
アルプストレーニング その1 魚屋道
コースは芦屋川駅前〜第一堰堤〜高座谷〜魚屋道〜ゴルフ場〜雨ケ峠〜本庄橋〜七曲り〜一軒茶屋〜有馬温泉
 午前4時、雷とドシャ降りの雨の音で目が覚めました。「あかん・・雨でも実施しますって言うたけど警報まで出ており今日のトレーニングは中止やなぁ」と、うらめしく雨空を見上げていました。午前7時になったら参加者の皆さんに一斉メールを送信するため『参加者のみなさま、おはようございます。半端ではない雨です!。雷もなっています!。トレーニングとは言え警報も出ており危険が伴うため本日の行事は中止とさせて頂きます』と文章を作成し午前7時になるのを待っていました。
タイムスケジュール
09:00 芦屋川駅出発
09:40 第一堰堤 
09:46
10:40 魚屋道
11:30 雨ケ峠
11:40
13:00 一軒茶屋(昼食) 
 13:20
14:07 あづま屋
 14:17
14:50 虫地獄
15:15 有馬温泉バス停
   
 「たなばたさま」
ささの葉さらさら  のきばにゆれる
  お星さまきらきら  きんぎん砂子  (すなご)

五しきのたんざく  わたしがかいた
  お星さまきらきら  空からみてる
芦屋川駅から滝道を行くと堰堤脇に紫陽花が咲き、高座ノ滝は今までに無い水量が流れ落ちていました。
ところが午前6時を過ぎた頃、雨音が聞こえなくなり外に出てみたら、小雨に変わっていました。アルプス行きの雨のトレーニングも大切なため中止にしなくてもよさそうです。一斉メールを消去しているとトラ吉衛門さんからも天気を心配するメールをもらいました。「予定通り実施します。芦屋川で9時にお待ちしています」と返信をし、慌てて弁当作りに取り掛かりました。テレビを付けても降水確率は午前50%、午後30%と高く、気の重いトレーニング日和となりましたが阪神電車淀川駅から芦屋川駅に向けて出発しました。電車の中で「本庄橋が水で浸かっているかもしれないね。その時は引き返そう」と打ち合わせをし、阪急芦屋川駅で参加者の皆様のおでましを待ちました。
滝の茶屋からの石段 横の谷はすごい水流 高座の滝は轟音を立てて落下
お稲荷さんの手を合わせて 地獄谷堰堤広場はダム状態 いよいよ…中央稜です
今日の芦屋川駅前広場は前夜の大雨のためか土曜日にしては人が少なく、唯一どこかの会社の組合主催の登山のパーティがミーティングをしていました。やがて見覚えのあるトラ吉衛門さんの姿を発見しました。続いてオリオンさん、ミマっちさんも登場です。「久しぶり!元気やった?昨日の雨凄かったねっ!」夜明けの気の重い気分はみんなの顔をみたら吹っ飛びました。5月20日の播磨アルプス以来の再会です。挨拶とミーティングを済ませていよいよ出発です。高座の滝までの道のりはウォーミングアップとして有効利用し、傍らに咲いている野生の紫陽花の群生に見惚れながら、30分ほどで滝の茶屋に到着しました。いつもの事ですが既に汗でボトボトです、いきなり「ゴオーッ!」と言う音が耳に入ってきました。高座の滝の音です。今までに聞いたことのない轟音です。落ちてくる水量が多いため高座の滝の幅から水がはみ出していました。「高座の滝は長年いつも見ているが、こんな水量、初めてやなぁ!」と言いながらジョンがカメラのシャッターを切ります。ほんと、驚くほどの水量でした。いつものようにお稲荷様に挨拶と山行の無事を祈願し地獄谷を覗くと、まるで湖のような水たまりとなっていました。第一突堤も水であふれていてイノシシ達もきっと警報が出たのでしょうか、どこかに避難しているのでしょう。一頭も姿を見ることは出来ませんでした。仲間たちとは5月以来の再会ではありましたが足並みも揃い順調に前進です。流れる水が轟音を立てているため大きな声でも聞こえないほどです。
第一堰堤で出発準備 今日の堰堤広場は川です
今日は登山道が濡れているため全員足元に目を落しがちに進んでいきます。登山道に覆いかぶさるように枝が出ています。
トップの姫が「頭上注意〜」と叫んだのですが、解きすでに遅し、後ろで「ゴン!」と大きな音。「アイタッ!」とジョンが頭を打ったみたいです。でもいつもヘルメット着用なので大事には至りませんでした。よかった〜!
「チビこい人はいいよなあ」とはジョンの弁。「ポチは打ってへんで〜」「ポチは背中が丸まってるからその分低いんや〜」。レベルの低いところで闘ってます。
高座川の渡渉 水の中のお地蔵さま
高座谷を登っていきます。  キャッスルウオールも今日は静かです
 高座谷から外れてアカシア尾根の分岐でひとやすみ 雨ケ峠でふたやすみ
山小屋初お泊まりのトラ吉衛門さんは何かと不安げな様子で、歩きながら色々質問していました。トレーニングとは「肉体トレーニング」だけでなく不安も解消する「精神的トレーニング」のため経験豊富な先輩諸君がアドバイスをしていたのが印象的でした(かえって不安になりませんでしたか?・・笑)同じ山を目指して山行パーティが決まればコミュニケーションを取り合うため数回のトレーニングは必要不可欠なのです。

第一堰堤から魚屋道に出たところで短い休憩をとり、雨で濡れた登山道を小さな歩幅で滑らないように、木の根を踏まないように歩いていきました。ゴルフ場のイノシシ避けの柵を通り雨ケ峠の長くてつらい登りを終えると、やっとあづま屋の屋根が見えてきました。「休憩場所の屋根が見えました!」トップは真っ先に見えた情景を後続者に知らせることで疲労感を和らげることができます。雨ケ峠到着時間は11時30分、あづま屋の中は先客がおり弁当を広げていました。私達は最初の予定通り、ここでは休憩のみで一軒茶屋で昼食を取ることにしています。いままでの経験上、雨ケ峠で昼食を取ると満腹で身体が重く感じて七曲りがつらい山行となるのです。

此の頃になると太陽も時々顔を出していましたが雨ケ峠に到着と同時に小雨が降ってきました。やはりここは名前の通り、雨の降る場所なんですね。ジョンが珍しく合羽を出しています。リュックに合羽をかぶせ、いつでも着れるように準備をしたみたいです。いつもは最後まで合羽を着ないジョンの行動が、おまじないになったのか小雨は雨ケ峠を過ぎると嘘のように止みました。太陽も出て登山道に私達の影を映すほどに晴れてきました。本庄橋の飛び石は前夜の豪雨で浸かりかけており、やっとのことで登山靴の中を濡らさずに渡ることができました。もう少しで引き返さなければならないところでした。
 土樋割峠への分岐広場にて
住吉川渡渉点 ここを過ぎたら長くて辛い七曲りが待ってます 
何度かの飛び石を超えて七曲りにさしかかりました。オリオンさんが「姫さんがここで夜桜お七になったことがある」とトラ吉衛門さんに説明をしているのが耳に入り苦笑しちゃいました。むかしの話です。朝、家を出るとき晴天だったため「山のおきて」を破り、合羽を持たずに有馬越えをしていたのですが、突然、七曲りで雨に遭い、姫ひとりたけ合羽を持参していなくて止む無くシートをかぶりその姿が誰が名付けたのかその姿が「夜桜お七」の様だったと語り継がれていたのです。六甲山は気象の変化の激しい山で合羽を持たずに登山をしたことが今でも汚点となり深く反省をしている姫でありました。(もう・・・忘れてよ〜!ネ)
七曲りに入ります 七曲りも終わりです 「元気回復の橋」 でんでんむし
七曲りの終点あたりに木製の橋が出現します。この橋を渡ると、あと10分ほどで一軒茶屋に到着するので、不思議とみんな元気を回復するのです。「元気回復の橋」と言っても過言ではありません。「あと10分頑張ろう!」大雨の影響なのか土曜日だと言うのに茶屋は閉まっていました。午後1時一軒茶屋に到着です。きつかった登りから解放されて遅めの昼食をとりはじめると突然風が吹いてきました。最初は涼しくて気持ちがよかったのですが、かなり強い風のため急に肌寒くなり、休憩もそこそこに有馬に向けて下山することにしました。
下山道は、ややもすれば速度が出過ぎて膝を痛めるためトップを歩く姫が登りと同じ速度で降りていきます。ポチがまどろこしいのか先に行きたがる様子でしたが夏山トレーニングのため、アルプス歩きを徹底し、下山道にあるあづま屋で休憩をとりました。有馬まで一気に下山も可能なのですが「1時間歩いて10分休憩」のスタイルを守りながら全員が無事安全に快適に「虫地獄」にゴールしました。ゴール地点の虫地獄のそばには炭酸地獄もあり名前の由来をしらべて見ることにしました。
 魚屋道に入ります  魚屋道を下ります 途中のあずま屋で休憩  イタドリではありません…破竹です 
虫地獄からしばらく車道を歩き有馬の街並みに出ると、登り旗を先頭に観光客がゾロゾロと温泉に入って行く姿がありました。足湯も海外からの観光客で満杯です。車道はと言うとチェックインを急ぐ自家用車が多く、狭い道スレスレに行き交う車を避けながら山の中よりここが一番の「危険通過地」みたいです。

人の多さ、車の多さは日本三古湯(兵庫県・有馬温泉、愛媛県・道後温泉、和歌山県・白浜温泉)である有馬温泉の人気の証であることが伺えました。午後3時30分発のバスに乗り宝塚でみなさんと再会を約束して、阪急・JRとそれぞれの家路へと向かいました。合羽を濡らすことなく暑さも感じることなく快適なトレーニング日和でした。
有馬の地獄谷
射場山と愛宕山との間の谷を地獄谷と呼んでいます。ここは、数十万年前の地殻変動のときにできた的場山断層です。この谷には、鳥地獄・炭酸地獄・虫地獄などがあります。的場山断層の割れ目から、たくさんの炭酸ガスが噴き出て、虫や小鳥などが死んだところに、この名の由来があります。また、この付近に湧き出ている炭酸水は、かってその成分がわからず、町民から「毒水」として恐れられていました。この毒水の湧き出ていた「血の池」という炭酸泉に目をつけた三田城主の山崎家盛は、1597年に温泉場をつくろうとしました。これに驚いた町民は、太閤さんに直訴し、その工事をやめさせました。家盛は激怒して、当地の住民を皆殺しにすると言ったという話が残っています。明治以降に、虫や鳥などが死んだのが、炭酸ガスのためであることがわかりました。それからは、炭酸泉の掘削が行われ、湧き出た炭酸水は良質のおいしい飲料水として評判となりました。
みんなの感想
●トラ吉衛門さん
久しぶりに皆さんとお会いできてうれしかったです。今日はアルプスの訓練という事で、私アルプス初めてなのでみなさんよろしくお願いします。六甲山頂付近はとても寒く感じました。久々の芦屋川から有馬まで歩き、ジョンさんと姫さんから「歩き方合格!」と言ってもらえたことがとてもうれしかったです
●オリオンさん
心配していたお天気でしたが雨も降らずよかったです。今日は芦屋川から有馬という事で、歩き始めは少し股関節が痛くてどうなるかと思いましたが最後まで何とか歩けました。
●ポチさん
今日は雨を覚悟していましたが、お天気に恵まれ、皆さんの日ごろの行いが良いのか、雨に遭わず天気に恵まれ何よりでした。自分自身、まだまだトレーニングを積み重ねないといけないなと思いました。
●ミマッチさん
久しぶりに皆さんに会えてうれしかったです。今日は夏山トレーニングに参加しました。私自身のトレーニングのつもりで参加しました。途中からすこししんどかったかなぁと思っています。
●ひ め
滅多にお褒めの言葉を頂かないのですが「歩く速度が一定していてよかった」と言ってもらえ嬉しかったです。登りも下りも「のろまな亀」の如くゆっくり一歩を進めることでみんなが疲れ知らずで楽にゴールを目指せます。このことは1週間前の有馬越えの時、出会った外人女性の歩き方で証明されています。早く歩いても疲労が激しく結果的には「のろまな亀」歩きの方がゴールは早いという事を学びました。山歩きは色々勉強になることが多く今後も機会があればみなさんをお誘いしたいと思いました。
●ジョン
またまた「ひま・トレ」につづいての有馬越えです。
体調は本格的に回復とはいきませんが、ゆっくり歩けば何とか付いて行けそうでした。夏山までかなりのトレーニングを積まないととても付いていけないかもしれません。
0GPS記録&写真提供 鹿島秀元    美智子姫:記0000